表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
wonder! とある2人の恋愛事情  作者: かなたん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/80

第31話 レコーディング②

翌朝。今日は私はお休みの日。杏はもう出かけたらしい。台所が散乱していた。カーテンを開けて日光を取り入れ、台所を片付ける。小麦粉なんか何に使ったんだろ。


 台所を片付けると同時に私の朝ごはんも適当に作る。提供された曲を流しながら。


 食事を終え、私は本格的に暗譜作業を始める。音源を流し、ひたすら楽譜を見つめ、気になる点や「もっとこうしたい」という考えを楽譜に書いたりしていた。私に与えられたのは3曲。2曲は暗譜が終わった。いつでも歌えますよ。


「暇だなぁ。大学のレポートも終わったし、暗譜も2曲した。買い物も無いしなぁ。あ。」


 思い立った私は私服に着替えて家を出る。途中のミスタードーナツでドーナツを買って向かうのはレッスン場である。レッスン場までは家から30分電車に揺られたところにある。


 30分後。最寄駅に着いた。歩いているとたまたま持田さんを見つけた。


「持田さん?」

「おぉ、結依ちゃん。お出かけ?」

「暇なんでレッスンでも見に行こうかと」

「同じだね。俺もレッスン場に顔出そうと思って。これ、プリン。結依ちゃんの分もあるからね。」

「ありがとうございます。」

「じゃあ一緒に行こうか」

「はい。」


 レッスン場。ドアを開けた瞬間怒号が聞こえた。


「きゃっ」

「おっと、大丈夫かい?」

「ありがとうございます。びっくりした。」

「なんかやらかして導火線に火をつけたな」

 

 杏たちが練習してるところに顔を出す。振付師のお姉さんが烈火の如く怒っている。そこを撮影するカメラ。


 あ、初回限定はドキュメンタリーDVD付くんだ忘れてた。


「はいはいお疲れ様〜俺と結依ちゃんからの差し入れだよ〜」

「結依!」


 一目散に駆けつけて来た。犬みたい。


「結依の好きなドーナツ買ってきたよ。」

「ほんと!!ありがとう!」

「みんなにもあるからね〜」

「はーい!」


 ドーナツもぐもぐタイムである。結依が今日のレッスンの内容を愚痴ってくる。


「しょうがないよ。てっぺん目指さなきゃ。」

「うん…」

「ちょっとぉ!結依ちゃんなら私のレッスン着いてこれるわよ!経験値が足りないのけ・い・け・ん・ち・が」

「何おぅ!?」」

「落ち着きなよ杏…」


「うーす、おまえら…お、平塚か。ちょうど良かった。シングル1曲増えるぞ」

「げ、」

「げ、じゃない。これ音源な。あと楽譜。

「1週間で覚えろよ。」

「え、無理なんだけど」

「大丈夫。頼んだぞ」

「持田さん!」

「やるしかないね」


 そう言って持田さんが稽古場から姿を消した。今度会ったら脛を蹴ってやろう。とりあえず楽譜と音源をかばんにしまい、レッスンを見ていた。


 今日の鬼軍曹はいつにも増し怖かった。あの杏が泣き出す位だ。見てるだけで心臓がバクバクする。

 レッスンが終わって、泣いてる杏に声を掛ける。


「大丈夫?」

「大丈夫じゃない…」

「もうレッスン終わりでしょ?一緒に帰ろ」

「帰る…」

 


 レッスン場を出て帰路に着く。専ら今日のレッスンの内容についてだ。

 

「鬼軍曹、私の気にしてるところ付いてきた…」

「高音が出にくいこと?」

「そう。君のための唄がかなり高音連発するんだけど、歌えなくて。ひたすら高音出す練習させられてさ。辛かった。」

「そっか。マックでも行く?」

「行きたい」

「じゃあそこのマック行こっか?ね、元気出して。」


 まるで小学生と母親の会話だな。その後も愚痴は続く。


「だいたいなんで私が浅倉さん大森さんのカバーしなきゃいけないの、私は私の歌唱練習がしたいの!」

「杏、声おっきいよ。バレちゃうから。」

「バレたっていい!むしろバラすか!」


 最終兵器を手にし、杏にLINEを送った。落ち着いてくれるといいが。


「何?LINE…はわぁぁぁぁ!」


 一気にテンションが急降下していく。送ったのは、そう私の小さい頃の写真(たぶん七五三)である。


「ン”カワイイッ」

「落ち着いた?」

「ありがとう…ありがとう…」

「ポテト冷めちゃうから早く食べよ」


 累計滞在時間1時間30分。片付けをして帰路に着く。


「美味しかったねぇ。たまにはいいね。」

「そうだねぇ。あの写真宝物にするね。」

「いいよ。明日から頑張れそう?」

「うん!鬼軍曹を倒す!」

「その粋だよ杏!」


 日差しが沈むのが少しずつ早くなってきた。もう冬も近い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ