第30話 レコーディング①
今日はミーティングだった。内容はシングルとアルバムの発売が決定したそうだ。
「アルバムは市川が4曲、平塚が4曲、浅倉と大森が2曲ずつだ。これが楽譜と音源な」
QRコードと楽譜が渡された。こういうとこはアップデートするんだよな。高山さんの給料はアップデートしないのに。
「平塚なんか言ったか」
「言ってないよ。」
「1週間後にレッスンだからな。極力覚えてこいよ。」
「はーい」
自宅
「結依の新曲聴きたい!」
「うーん。この曲なんかは?」
杏は顔が小さいのでヘッドホンを持たなきゃいけないのだ。イヤホンにしたら、と助言すると、直接頭に音楽が届くのが嫌らしい。
「いい曲だね!
「私もそう思った。私の好きなロックテイストでね。」
「そうそう!」
「でもアイドルの曲にロックが混じっていいのかな」
「結衣に提供されたんだからいいんじゃない?」
そう言って買って来たさくらんぼを口に含んだ。
「まぁいいか。ご飯の支度するね」
「結依お腹空いてる?」
「実は空いてないんだよね。」
「お弁当遅かったしね。今日はご飯いいかな」
「私も。お腹空いてないし。」
杏が自分の隣を叩く。「こっちおいで」のサインだ。
「私もかっこいい曲やりたいなぁ。甘々な曲ばっかなんだもん。」
「じゃあ杏に一曲あげようか。高山さんに相談して。」
「やったー!」
こうして杏の曲が増え、私の曲が減った。ロックな杏も見てみたいからね。
レッスン。柔軟体操をしていると、浅倉さんが話しかけてきた。
「結依ちゃんここのフリなんだけど、こういう風にした方が良くないかな。」
「あー、そうだね。それで行こっか。」
「うん!」
「最近浅倉さん意見するようになってきたよね。すごくいいことだよ。」
「そ、そうかな」
「いいことだよ。どんどん意見出してね。wonderが良くなるためにも」
「…うん!」
柔軟体操も終わり、発声練習に入る。厳しく扱かれたあと、20分の休憩を挟んでレコーディングだ。
「最初の番は結依だっけ?」
「そうだよ、今日は3曲。」
「その次が大森さんで、浅倉さんが」
「結依ちゃん最後なんだね。」
「何でだろうね。」
レコーディングが始まった。1番楽曲を聴き込んでいた杏はつつがなくレコーディングを終えた。大森さん浅倉さんとレコーディングを終え、私の番が回って来た。16:30。
「お願いします。」
「ちょっと止めてください。今ギター音外れましたよね?私も外しました。Aメロからもう一度お願いします。」
「ごめんなさい、サビもう一回いいですか?」
「うわぁ、流石結依ちゃん」
「持田さんだ。どうしたの?」
「ここで打ち合わせがあるから来たんだけど、結依ちゃん厳しいね。」
「自分に厳しく他人に厳しくだから」
「デメリットしかないじゃん笑う〜」
「あ、マイクスタンド倒した。キレたね。」
2時間後、レコーディングが終わった。
「修羅場だったね」
「最高の作品になると思うよ。あれ、浅倉さん大森さんは?」
「先に帰ったよ」
「そっか。」
「おうお前たち。悪いがこの後もう一件打ち合わせがあるから持田さんに送ってもらってくれ。」
「よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
「任せておいて。」
自宅に着き、2人で倒れ込む。
「疲れた…」
「でもいいアルバムになるよ、きっと。」
「そうだね。お風呂沸かすね。」
立ちあがろうとすると、杏が服の裾を掴む。
「ねぇ」
杏からなんで珍しい。珍しすぎる。私は服を脱ぎ捨てた。
――――――――――――暗転――――――――――
「とりあえずお風呂沸かすね。」
「う、うん。」
今日の夜は、激しかった。
「杏から自発的に…うんうん」
水を溜めてお風呂を沸かしリビングに戻ると、まだ杏は顔を真っ赤にしていた。
「いいかげん慣れなよ。同棲ってそういうもんだよ。」
「うん…」
今日のご飯は肉じゃがだ。杏の大好物である。
「今日の肉じゃが甘くない?」
「砂糖入れすぎたかな。残していいよ。」
「残さない。」
いい子だ。
ご飯から1時間。杏はストレッチを、私は洗い物をしていた。洗い物を終えた頃には杏も柔軟体操を終えていた。
「もう寝る?」
「寝ようかな…」
「じゃあ寝よう。ほら、おいで」
「うん…」
私の隣に入るとすぐ寝入ってしまった。何だこの可愛い生き物。




