第21話 東名阪④
「何でよ!何で結依だけそんな仕打ちを受けるの?あたしプロデューサー○してくる!」
「まって杏!規制音入ったよ今!」
「離して!○さないと気がすまない!」
「私は平気だから!落ち着いて!」
結局マネージャーを殴って落ち着かせた。マネージャーごめん。
「wonderさん出番でー…」
「ほら、みんな出番だから。一曲目はinfernoだから、発散してきて。ほらほら。」
何とか3人をステージに向かわせた。ハラハラしながらマネージャーと私は見ていた。
「マイク投げ捨てたりしないかな?すごい不機嫌そうだけど。」
「やりかねないな…楽器隊と浅倉大森が間違えなければ…あ、間違えた。」
「浅倉さんだね。この世のものじゃない顔してるよ杏。」
「頼む…無事に終わってくれ…」
なんとか6きを歌い終わり、袖に戻ってきた杏の顔は鬼の形相をしていた。
「杏お疲れさま」
「結依呼ばれてるよ。行かないと。 」
「いや、もう時間ないし.」
「平塚が出てアナウンスするしかないな
「えー?」分かった…」
伊達メガネをかけとステージへ向かう。
「皆さーん?今日はご来場ありがとうございました!これで本公演は終わりました!また大阪でお会いしましょう!ありがとうございましたー!」
名残惜しそうな声が聞こえてくるが時間は時間だ。
「さ、撤収するから。楽屋戻って。」
3人を楽屋に戻して、私は高山さんと京セラドーム大阪の打ち合わせをして、楽屋に行くと浅倉さんが泣いていた。
「何があったの…」
「今日ミスしたところを指摘したら泣いちゃったって訳」
「ミスはしたけどそこはフォローしないと…」
「今のwonderはミスが許されないの!みんなそこが分かってない!」
怒り心頭の杏に、ため息を吐いて耳打ちをした。
「そんな杏、嫌いだよ?」
一瞬でトーンダウンした。好きということは時には鎮静剤にもなるのだ。
「さ、帰るよ。」
帰宅の支度を終えた3人を高山さんの車に乗せて、私は持田さんの車に乗った。
「大変だねー、結依ちゃんも」
「こういう形でwonderに関わるとは思いませんでした。」
「そうだよね。ソロのペース少し緩めるね。」
「ありがとうございます。」
ここまで思ってくれるマネージャーは初めてだ。高山さんがどうとか言わないけど。
「着いたよ」
「ありがとうございました。」
「また連絡するからね。」
「はい。」
持田さんが去っていき、私は家に入る。杏はまだみたいだ。ソファーに座り今日のバンテリンドームでの取材記事を読む。やっぱり私の出番が少なかったとが記事になっていた。
「私は大丈夫なんだけどなぁ。」
夕飯を作ろうとした時に、杏からLINEが入った。
「駅前のデニーズ来れる?夕飯そこで済ませよう。」
多分今日のライブの話だな。部屋の電気を消し、鍵をかけてデニーズへ向かった。




