第18話 Interlude:2人の話
翌朝。杏は起きてこなかった。朝食は作って置いておいたが食べるかどうか。鍵を掛けて大学へ向かう。
今日の授業は「創作概論」と「日本文学文化史A」「日本文学文化概論A」」の3コマ。その後はレッスンだ。
「あ、結依ちゃんおはよう!ライブ大成功おめでとう!」
梨奈ちゃんだ。おはよう、と返すと梨奈ちゃんが私の顔を見て、言った。
「体調悪い?顔色がすごい白いよ?」
「そうかな?大丈夫だよ。今日は3コマ梨奈ちゃんと一緒だしね。」
「うーん…なんかあったら言いなよ?代返でも何でもするから」
「ふふ、ありがとう。」
結果的に入院することになった。2日間。
3コマ目が終わって、立ち上がれなくなったのだ。
(おい、平澤結依ちゃん運ばれてるぞ)
(あんまりジロジロ見るなよ)
診断は過労だった。胃の粘膜が爛れていたので2日間入院らしい。
「結依ちゃんに無理させちゃったな。ごめん。」
「持田さんのせいじゃないです。私のスケジュール管理が甘かったから」
「担当アイドルにそこまでさせられないよ。」
「大丈夫です。ところで杏には?」
「言ってないよ。一応高山さんには伝えたけど」
「ありがとうございます。しばらくは内緒に」
「結依!!!!!」
杏がやってきた。何で?
「あの、すまない。持田さんとの会話を聞かれてな…」
「結依大丈夫!?無理しすぎたんだよ…」
「また心配掛けたね、大丈夫だよ、明日には退院出来るから」
「ほんとぉ?」
「本当だよ。だから泣き止んで」
「うん…」
杏も持田さんたちも帰り、1人点滴を見ながら考えていた。もちろんwonderへの復帰についてだ。そもそも私は浅倉さんと大森さんのためにwonderを卒業した訳で。私と杏の二強になってしまったら、2人がかわいそうだ。
もちろん自分のエゴだとは分かっている。だけど、wonderは3人がちょうどいいのだ。ソロを楽しんでいる自分もいるが。大学もある。ソロだとそこらへんも融通が利くが、wonderではそれが難しい。
考えれば考える程何が正解か分からなくなる。頭の中中がこんがらがる。
「どうするかなぁ…」
翌日。退院の日。支払いを終えて入り口に行くと持田さんがいた。
「持田さん」
「送ってくよ」
「ありがとうございます。」
「あと領収書は取っておいてね。経費で落とすって社長が行ってた。」
「いいんですか?」
「いいんじゃない?」
「そうですか…あ、着きましたね。これ、領収書です。」
「はい、確かに。じゃあお大事に。」
そう言って持田さんは去っていった。部屋に入ると、杏がいた。
「あれ?レッスンは?」
「ライブ前だから1日休みになったの。」
「そっか。良かったね。」
「ねぇ」
「分かってる。ちゃんと話合おう」
結依の向かいに座る。
「はっきり言うと、私はwonderには戻らない。」
「…」
「ただworldには携わっていたいから、プロデューサーになる。持田さんもだから高山さんも了承済みだから」
「ほんと?!」
「名古屋からプロデューサーに携わるからね。」
「うん!よろしく!」
恐らく正解はこれだろう。これだと信じたい。




