第16話 東名阪①
1日目。東京ドーム。
「わーすごい人!」
客席は満席だった。私とwonderの共演だからだろうか。
「みんな喉の調子はどう?水とか雨で喉を潤してね」
「はい!」
一番手は wonderだ。ちゃん踊って歌えるだろうか。
「wonderの皆さん出番ですー。」
「はい!」
「杏、頑張り過ぎずにね。」
「大丈夫。見ててね私の勇姿を。」
そう言って舞台に向かった地響きのような声がする。
「みなさん集まってどうもありがとうー!」
「今日は最高の一日にしましょうー!」
「1曲目!楽園!」
舞台袖で観ていたがらリハの時とは全然動きが違う。
キレがあるというか、なんというか。
楽園のアウトロからそのままLimitless Nightへ。キレのいいダンスと、杏が得意とする高音が会場を魅了する。
「みんな今日は来てくれてありがとうー!愛してるぜー!!」
会場のボルテージがあがる。杏は続けた。
「私たちは初めてドームに立ちました。こんなに沢山の人に見てもらって嬉しいです。本当にみんなありがとう!ただ、ここにwonderとしての平澤結依がいないのは残念ですが、今回は対バン形式なので楽しみにしててください」
MCを挟んで曲へ行く、ヘドバン曲 re:creationだ。会場の全員が頭を振ってるのはいい流れだ。
「まだまだいけるかドームー!」
\ワーッ/
「声足りないよーまだまだいけるのー!!」
\ワーッ/
「次の曲は激しいので皆さんついてください!Link!」
Linkは私が初めて作詞をした曲だ。おそらく杏がゴリオしたんだろう。
「私たちwonderは、東名阪ツアーをする事ができました!れもこれも皆さんのおかげです!本当にありがとうございます!」
歓声と拍手が湧き起こる私はマネージャーになたったつもりで喜んでいた。
「さすがだね、wonder」
「私がいたユニットですよ?」
「そうだね」
そう言って持田さんが笑う。私も釣られて笑った。
あっという間にwonderのライブが終わった。杏抱き合う。10分の休憩を挟んだら私の出番だ。
「頑張ってね、結依!」
「うん。もし石とか投げられたら助けてね」
そう言って笑うと杏が真剣な顔で
「そいつ○しに行くから」
「物騒!」
「結依さーん出番です。」
「あ、はーい。行ってくるね」
「うん、袖から見てるから。」
袖から出てくると、割れんばかりの歓声が私を包む。
一息吐いて、
「行けるか東京ドーーーーム!!!」
「うおおおっ」
「1曲目、頭振ってください!Screaming Desire!!」
シンバルが高く鳴り、曲が始まる。会場は全力で頭を振っていた。
「まだまだ行くよ!永遠…あ、まちがえた。あらためてVoice!」
その後「まぼろし」「恋愛ルール」と激しい曲が続く。
私は水を飲み干したあと会場に向かって拍手をした。
「素晴らしい。素晴らしいです。平澤結依とwonderのライブに来てくれてありがとうー!」
「うおおお!」
「今回の東名阪ツアーは元々wonderだけのツアーだったんですけど、うちのマネージャーが打診してくれて。私との対バンになりました。wonder好きの方、ごめんね?」
「そんなことないよー!」「結依ちゃん大好きー!」
「ありがとうー!大好きだよっ」
歓声が上がる。私はそれに満足感を得ていた。
「まだまだ行くよ!ついて来てね、聞いてください、ため息の理由」
ここからしっとりしたバラードが続く。「永遠」「君に伝えたかった言葉」「喪失」
喪失では泣いている人もいた。喪失を終えて軽くMCをする。泣いてるのは最前の子だったので、ステージを降りてハンカチを渡した。おどろいた顔をしていたが、また泣き出した。頭を撫でてるあげ、ステージに戻る。
「やっぱりさ、身近な人を亡くすって悲しいよね。だけどね、多分だけど笑っていれば亡くなった方も笑ってくれるんじゃないかなぁ。私はそう思う。なんとなくだけどね。」
「ちょっとしっとりしちゃったかな。じゃあ激しい曲いこか!じゃあ聞いてください! world wonder!」
大きな歓声が上がった。サプライズだ。
全16曲歌い踊りきったら。
「ありがとー!またねー!」
客席に一礼して、ステージ袖に向かった。




