第15話 「アイドル」という名の仕事②
「お前たち喜べ!東名阪でライブをやるぞ!」
「えー!すごい!豆腐なんて!」
「東京・名古屋・大阪?」
「そうよ!気合い入れていくわよ!」
「ちなみに今回は平澤と対バンだ」
「え!?ほんと!?」
「あぁ。平澤vs wonderっていうツアータイトルだ2週間後だから仕上げていけよ!」
「はーい!」
wonderとの対バンを提示したのは私だ。ファンの皆様には勝手に引退した私をよく思わない人もいるだろう。だけど成長した平澤結依を見せたい。ソロで頑張ってるよって伝えたい。誰が何を言おうとも。
「どうしたの結依ちゃん、暗い顔して。」
「え、してました?」
「してたよー、2週間後の対バンライブ、あれいいねー。wonderのマネージャーも喜んでたよ」
「無理言ってすみません。会場押さえられました?」
「ばっちり。なんだけどさー、3大ドームツアーになっちゃった」
「え!?キャバ埋まるんですかそれ!?」
「それがね、チケット即完売。ドームも全員埋まるよ」 「マジですか…」
「マジマジ。頑張ってね。」
そこから2週間、事務所に泊まり込みで歌唱練習とカバー曲の仕上げなど、ドームに向けての地獄が始まった。
まぁ地獄に足を突っ込んだの私だが。
1週間後
合同リハが始まった。
「よろしくお願いします」
「よろしく…結依!」
やつれきっていた私を結衣が抱きしめた。
「こんなに痩せちゃって…マネージャーは何をしてたの!?」
「いや、俺は辞めようって言ったんですけどね。」
「杏、私がそうしようって言ったの。持田さんは悪くない。大丈夫、ドームツアーには復活するから」
「結依ぃ…」
「さ、始めましょうか。最終はwonderか。厳しく見させて貰いますよ」
1曲目、Close To You
「大森さんズレてる、浅倉さんリズム意識して!変拍子だから難しいのは分かるけど、リズムが取れないと話にならない!」
2曲目、楽園
「この曲には文句言わないんだね。」
「言いますよ、これから。大森さんビブラート出来てない!杏、歌詞覚えてないでしょ!浅倉さん息伸びてないよ」
「鬼プロデューサーだ…」
「wonderの時もそうでしたよ。」
「そうなんですか…」
「休憩!30分!」
「はぁはぁ、ドーム公演って疲れるね…」
「2人ともドーム公演やったでしょ?」
「やったけどさ…」
「じゃあ弱音を吐かない。大森さんビブラート出来るようになってきたからそれは維持して。浅倉さんリズム取れてきたよ。」
「さすが鬼コーチ。飴と鞭を使い分けるんだ。」
「あれが平澤結依ってもんですよ。」
「なるほど…」
合同リハが終わり、みんなが解散する。私は持田さんの車に乗った。
「wonder組と一緒じゃなくていいの?」
「いいんですよ。私は元wonderですから。」
「シビアだねぇ。帰りにパフェ食べ行かない?」
「行きます、是非。」
どうやら有名なパフェ屋さんらしい。頼んだのはメニューに写ってるより大きないちごパフェだ。
「いただきます。」
「召し上がれ」
パシャっ
音がした。
「なんで写真撮るんですか」
「いや、日常の写真を撮っておけば写真集が作れるかなって。」
「策士ですね…まぁいいですけど」
結局食べてるところを何枚も撮られた。
「絶対写真集作ってくださいよ。」
「企画書書くね。」
車に乗る。戦いは1週間後だ。




