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悪役令嬢予定だったので、修道院に駆け込みました  作者: Hatsuenya


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聖女の予定だった私は、攻略イベントをこなせない

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 今回は、ヒロインのミンティアの視点です。



         ミンティア side



 今日は、第一王子ジョルジオ様とマーチン・カンタルナ公爵令息が孤児院にやって来る日。

 さあ、ミンティア!いよいよ乙女ゲーム『光の聖女は……(残りのタイトルは思い出せないけど)』の始まりよ!




 私、ミンティアは王都のとある孤児院に住む13歳の孤児の女の子。年老いた院長の修道女と院長よりも少しばかり若いけれど目の悪いメグ修道女、そして孤児院の仲間達と共に貧しくとも楽しく暮らしていたの。


 ただし、私には、前世で日本と言う国に住んでいたOLと言う社畜なお仕事をしていた記憶がある。

 ハッキリ言おう!憧れの大好きだったゲームの世界のヒロインになったけれど、この世界は、とにかく不便。不衛生。


 そして、何より、ご飯が不味い!!


 いや、孤児院が貧乏だからかも知れないけど……。

 おまけに、前世の私は外食・コンビニ弁当&冷凍食品orレトルト推奨派で、ございました。反省しろ、私。

 この世界では、母親代わりのメグ修道女から野菜の切り方や調理を教えてもらった。


 ありがとう、メグ修道女。


 とりあえず、スープは作れる様になったけど、メグ修道女は隙あらば、私が切っている野菜を横取りして切り始める。

 自分の目が悪くなって、良く見えないにも関わらず。


「ミ、ミンティア姉ちゃん……私が切ろうか?」


 何故か妹分達も、そう言って私を手伝ってくれようとする。ああ、何て健気な良い子達なんだろう。


「いいのよ。ミカ。今日は私が作ってあげるから大丈夫よ」


「い、いや。ミンティアお姉ちゃんの料理は、その「ダメだよミカ……ミンティア姉ちゃんは練習しないと、ここを出たら生きていけないよ」」


 まあ、時々は失敗はするけれど、まあ、人生は慣れよね。経験、経験。

 ゲームでもミンティアは手作りクッキーを焼いて攻略対象者に配ってたしね。リズムに乗って、タンタタタン。タタンタタン。

 まあ、調理画面のリズムゲームは、ちょっと苦手だったけれど……。




 豪華な馬車に乗ってやって来たジョルジオ王子様御一行は、若くて可愛い修道女を伴ってやって来た。

 ジョルジオ王子様とマーチン公爵令息は、どちらも攻略対象者だ。ゲーム開始前の想い出イベントなので、どちらも13歳の美少年。


 ちょっと、ゲームのスチルよりも、更に可愛くないっ!?


 正直、転生してから孤児院やその周辺しか見た事がなかったので、くすんでいた世界が華やかにパッと色付いた様に思えた。

 それどころか、ジョルジオとマーチンが輝きすぎて、目が痛い。


 いやもう1人、更に輝きすぎてるのが修道女の美少女だった。こちらは、本当に光っている。マーチンにそっくりな美少女……って、マーチンの双子の妹の悪役令嬢マルガレーテじゃない!?


 どうして、修道服で、ここにいるの?


「先日聖女になったマルガレーテだ」


 ジョルジオ王子がマルガレーテをエスコートして、皆に紹介してくれた。


 院長先生やメグ修道女は、目をキラキラと輝かせて拝まんばかりになっているし、孤児院の兄妹達は目と口を大きく開けて、マルガレーテを見つめるだけだった。


 って、何で、悪役令嬢が、聖女に、なってるのよ!?


 聖女になるのは、ヒロインの私なんですが?


 ジョルジオ王子は院長室に、マーチンとマルガレーテは私達の内職である竹籠作りを見学していた。

 目をカッと見開いて私達の手元を見ていたマルガレーテは、やがてマーチンと何かコソコソ喋っている。


「……竹……セイ……」


 何を喋っているのか、残念ながら、よく聞こえないわね。でも、まーねー。悪役令嬢だから、私達の悪口でも言っているのかもしれない。ふーんだ。別に、いいけど?


「肉まん食べたい」


 ボソッとマルガレーテが呟いた。


 え!?今、何て言った?肉まん?公爵令嬢が、肉まん?聞き間違いよね。

 それとも、本当にあるんだろうか、肉まん。


 だったら、私も食べたい。肉まん。


 この世界にあるなら、是非とも食べたい。肉まん。


 マルガレーテと話していた修道女が慌てて出て行き、もう1人の修道女が大きな何かを取り出し


 あれは、ひょっとして、鍋と蒸籠?


 やはり、肉まんは存在するのか!?


 うおおおおぉぉぉ!!


 マルガレーテとお付きの修道女、そしてメグ修道女は、台所へと消えて行った。

 私も、肉まんへの期待にワクワクしながら3人の後を付いて行こうとしたけれど、誰かに呼び止められた。

 チッ……。


「ねえ君、頼みがあるんだが。籠の作り方を教えてくれないか」


 振り向くと、ジョルジオ王子がキラキラと目を輝かせて私を見ていた。


「私にも教えて欲しい」


 マーチンまでもが、私を見つめてはにかんでいる。


 これは!ジョルジオ王子とマーチンとミンティアの想い出のイベント発生よっ。



「おい、マーチン。マルガレーテは何処だ?」


「また何か思い付いたみたいですよ」


「何だって!?」


「『肉まん食べたい』とか言ってましたね」


「肉まん!?何だかわからんが、肉料理か。いや、だが、この孤児院には肉は、なさそうだぞ」





 肉まん……肉料理ですかね。もっと、こう、違う何かな気がします。いや、実際は肉料理なんだろうけれど。

 蒸かしまん気分で、おやつに分類したいです。ふかふか。



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