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悪役令嬢予定だったので、修道院に駆け込みました  作者: Hatsuenya


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6/7

聖女様とて、資金繰りは大事です


 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 まだまだヒロイン聖女は出てきません。悪役令嬢未満な聖女オンリー&一部の攻略対象者でお送りしております。



 おはようございます。悪役令嬢になる予定だったマルガレーテです。


「おはようございます。お嬢様聖女様」


 もう、すっかり私の呼び名を訂正するのを諦めた私の専属侍女改め修道女クレア。仕事も今まで通り、相変わらずマイペースな侍女である。


 そして、はあぁ。溜め息出ちゃうわよ。


 何故か、修道院にいる筈なのに、実家の公爵家の私室と寸分違わず豪華な私の修道院の自室。


 良いのか?これで。


 私、聖女だよね?


 聖女と言ったら、清貧控えめ実生活が売りなのでは?

 3部屋どころか修道院の5部屋程ぶち抜いて作られた広々とした部屋。まあ、実家の私室よりは狭いけれど。


 溜め息、出ちゃうわよ。


「お嬢様聖女様。どうなされました?」


「いい加減、聖女と呼び慣れて頂戴、クレア。

 いえね、このキングサイズのベッドをどうやってこの部屋に入れたのかと思って」


「そりゃあ、もう。王城の魔術師の方が、窓をぶち抜いてベッドを入れ、窓を元通りに戻して下さいました」


 窓からって……ピアノの搬送じゃあるまいし。しかも、窓をぶち抜いてって、ベッドを分解した方が早かったんじゃないかしら。


「魔術師様曰く『こっちの方が手っ取り早ぇ』んだそうです」


 魔術師あるあるなんだろうか……。窓は元通りとは名ばかりで以前より大きくなり、修道院の中庭が見渡せる様になっていた。


 修道院の庭。それ即ち、畑である。何と素晴らしい……って、ちょっと見すぼらしい?


「本日は、公爵家の農作業師がやって来て、畑にテコ入れする予定です。お嬢様のペット達も、小屋が完成しましたので、直ちに連れて参りますね」


 農作業師。うちの公爵家には、庭師以外に農作業師なる職業の者がいる。私のせいで。

 そして、ペット……モノは言い様。鶏と牛に羊は、区分的には家畜だわよね。


「修道女の中には、元、家畜の世話をされてた方がいらっしゃいますので、そちらの方も問題ありません」


 いや、問題有り有りだから。私だって修道女になったんだから、畑仕事や自分のペットのお世話くらいしますからねっ。いや、むしろ、したいです!

 目指せ、スローライフ。目指せ、自給自足の清貧修道女生活よ。

 既に、この部屋からしてムリだけど。



 本日の予定……『孤児院の慰問』である。


 しかも、ご立派な王家の馬車&ジョルジオ殿下付き。勿論、側近であるマーチンお兄様も、もれなく付いている。


 護衛は、殿下の近衛騎士達&うちの聖騎士団長と副団長である。

 ハッキリ言おう。聖騎士団は現在、3名しかいない。元騎士だった余所の教会の神父様達が急遽、騎士団長と副団長を務めて下さっている。どちらも壮年の筋肉マシマシイケオジ神父で、格好いい。

 そして、王都の騎士団長の将来有望なイケメン息子さんが、筋肉は未発達ながら見習い騎士として名乗りを上げて下さった。

 枢機卿までもが、聖騎士団に名乗りを上げて下さったが、老齢の為、皆に押し止められたらしい。お気持ちだけ、頂いておこう。ありがとうございます。お身体大事にして下さいね。


「教会側と王都の騎士団で話し合って、有望な人材を検討中だからね。しばらくは、私と一緒に出掛けて欲しい」


 要するに、ジョルジオ殿下と一緒に出掛けて、今日の様に護衛をお借りすると言う事ね。


「殿下が忙しい日は、うちの公爵家から護衛を出すから、私と出掛けようね」


 それはもう、いつもと同じですね、お兄様。家から護衛を出して貰えるんなら、気心も知れてるし、いつでもお手軽に呼び出せそうです。


「ただ、うちの騎士団はお前の護衛となると、目の色変えて役目の争奪戦を始めるからね。押さえるのが大変なんだよ」


 そう言って、お兄様は溜め息を吐いた。申し訳ない。うちの騎士団は、悪役令嬢未満な私の我が儘から出来るお菓子が大好きなのだ。

 支配するには先ずは胃袋からな原理を実践してしまった結果よね。


 さてさて、そうこう話をしている内に、やって来ました本日の視察先の孤児院。

 元よりジョルジオ殿下は月に1度は王都内の孤児院を視察する公務がある。今回は、それに私も便乗して共に視察する事になった。

 聖女のお仕事&王子の婚約者のお仕事である。


「何だか嬉しいな。婚約者との初めての公務だよ」

 

 うっすらと頬を染める金髪美少年なジョルジオ殿下。可愛すぎて、何だか、こっちまで顔が熱くなって来た。


「2人で頬染めあって、何だか腹立たしいんですが?」


 相変わらず、不敬なお兄様である。

 何だったら、お兄様も一緒に頬染めあっても良いんですよ?私にそっくりで女の子の様に可愛らしいお兄様が頬を染めると、それはそれは眼福だと思うのよ。


「私は、先ずは院長の話を聞いて帳簿を見る事になっている。マルガレーテとマーチンは、孤児院内の見学をさせて貰ってくれ」


 ジョルジオ殿下はご自分の護衛と共に院長室へ、私とマーチンは聖騎士団長達と共に、出迎えてくれた孤児院の修道女の案内で、院内を見学する事になった。


 院内では、小さい子供達は何かの木の葉っぱをむしって棒にしており、大きな子供達は、皆で籠を編んでいた。おや?あの材料は、ひょっとして。


「まあ、国の補助金やお貴族様の寄付金だけでは、流石に生活出来なくて。皆で孤児院の裏に生えている竹を使って籠を編んで売っているんですよ。

 竹林は放っておくと孤児院を侵略するし、籠の材料としては、うってつけなんですが、最近は売れ行きが悪くて」


 確かに子供達は少しばかり栄養が足らなく痩せ細っていて顔色が悪く、服だってボロボロの継ぎはぎだらけ。

 廊下や部屋の床も所々、板を打ち付けてあるし、天井と壁には雨漏りの染みが所々に付いている。


「聖女様には、お見苦しいでしょうが、これがここいらの孤児院の現状です」


 修道女の服は教会から支給されるものの、案内役の修道女もかなりやつれて栄養不足なのがわかる。


 でも、これはチャンスじゃない!?


「お兄様、竹と言えば、蒸籠……蒸し器が作れます。うちの公爵家でこちらの孤児院と提携して、蒸籠を作って貰って蒸籠を使った料理のレシピと共に販売するのは、どうでしょう?」


 子供達だって、手に職を付ければ、将来の役に立つんじゃないかな。





「蒸し器の料理レシピとは、どんなのだ?」


「それは、フワフワほこほこの白いパンの中に、肉汁たっぷりのお肉が入ってたり、トマトソースにチーズとハム、アンコと呼ばれる甘いペーストが入ってたりする『蒸しまん』なるものが、あります。中でも、オススメは肉まんですよ、ジョルジオ殿下」


「マルガレーテ。私は、卵で作ったカスタードプリンと呼ばれるお菓子が好きだよ。上に少し苦味のあるカラメルソースをかければ、えも言われぬ美味しさ。

 ミルクプリン、かぼちゃプリンにコーヒープリン」


「コーヒープリン!?そんなものがあるのか?マルガレーテ、私も食したいぞ!」





 攻略対象者ジョルジオ王子の食いしん坊度が、一気に爆上がりした!ぴろりろりろりろりーん!!



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