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悪役令嬢予定だったので、修道院に駆け込みました  作者: Hatsuenya


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王子と聖女と、シスコンの兄の宣伝力


 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 ジョルジオ王子は、やる事はガッツリと、しっかりきっちりやる主義です。



 スピード婚約ってヤツである。


 私が聖女になったと言う事で、修道院を含む教会側、王家、カンタルナ公爵家の三つ巴で前日から画策されていたらしく、更に王子の誕生会と言う公の場での王子の求婚と言う事実も重なって、その日の内に婚約の手続きが終了した。

 しかも、本家本元の神聖国アルテアの聖女の承認と、女神様の祝福付きである。


 そう、私の運命も、逃げる事が叶わずに終了した。


「いや、だってさ。毎日、毎日、私の執務室にやって来て、仕事をしながらマーチンが惚気るんだよ。

 やれ、今日のマルガレーテの服装がどうとか、可愛らしさがどうとか、昨日はマルガレーテは、こんな事をしたとか。それはそれは、嬉しそうに。

 しかも、仕事をしながら、ここはこういう風にした方が効率的だとマルガレーテが言っていた。それは、こうした方が良いとマルガレーテに教わった。

 もう、私の生活にどれだけ、君の話が飛び交っていたと思う?」


 どれだけですかねー。


 ジョルジオ殿下が、一息ついてくれたので、お茶でも一口飲んでは如何?と言いたいけれど、どうやらそんな雰囲気では、ないらしい。

 しかも、私を逃がさないと言う風に、殿下はソファーで私の隣に座り、両手で私の両手を握りしめている。


「もう、私の生活の一部となってたよ。一緒に住んでないのが不思議な程だ」


 何処まで、お兄様は喋りまくったのか。そして、どれだけお兄様は、私をヨイショしていたのか。


「なのに、どうしても、どうやっても君に会えなくて。マーチンなんて、『妹は門外不出ですので』と言うし、カンタルナ公爵は『娘は、嫁にやるつもりはないので、外に出しません』の一点張り。

 仕方がないから、君の双子の兄であるマーチンの女の子版を想像するしかなかったんだけれど。まあ、マーチンは確かに美少年だから、ちょっと倒錯的で困った事態になりかけたと言うか」


 !?そ、そこは、ちょっと詳しく聞きたいかも。

 私が話に食い付いたと思ったのか、殿下は、ちょっと苦笑いをした。


「なりかけただけで、何も、ないからね」


 キッパリと殿下に言われ、両手にぎゅっと力を込められた。

 ないのか~ないのか~。ちょっと、残念。

 真偽の程を確かめようと下から殿下を見上げて見つめると、殿下は少し顔を赤らめた。


「本当に、ないから」


 本当に、ないらしい。

 でも、マーチンお兄様も殿下も、どちらも美少年なので、あったらあったでそれは、とても美味しいシチュエーションでは、ないかと思う。


「と、とにかく、ようやく、君に会えたと思ったら、思った以上に綺麗で可愛くて、しかも聖女だったら引く手あまたでしょう。

 誰かに取られたら大変だから、その、つい、『結婚して欲しい』って、言ってしまったんだよ。

 公の場なら、私と君の立場なら、断れないしね」


 確信犯だ。世の中には、囲い込む前に、いきなり檻を上から被せてガチャリと閉じ込める奴がいるらしい。


「そんな私だけれど、よろしくね。もう、逃げられないからね。

 長々と喋ってしまったけれど、マルガレーテにも言いたい事は、あるよね。お願いを聞いてあげれるかどうかは、わからないけれど、言いたい事があるなら、今がチャンスだよ」


 興奮した殿下の長々とした話が終わって、今度は私の番らしい。

 私の言いたい事は、1つだけ。


「殿下、お願いです。婚約破棄は、絶対、しないで下さいね」


 殿下は、ビックリした様な顔になったが、握っていた私の手を離すと、いきなりガバッと私に抱き着き、私の頭に顔をスリスリとすり寄せた。


「可愛い。そんな事、するわけないじゃないか。もう、それは、私の事を好きって言っているのと同じだよね。うん。もう、今日から城に一緒に住んじゃう?そうしたら、毎日会えるよね」


 何だか、ゲームでは、こんな感じのキャラじゃなかった気がする。確かに、まだゲーム開始の2年前だけれど、何かこう、危ない感じがするような?


 コホンと小さな咳払いが聞こえた。


「マルガレーテの家は、カンタルナ公爵家です。殿下とは、未だ婚約者同士です。マルガレーテは私と共に、公爵家に帰りますので」


 お兄様が、殿下を睨め付けた。

 ちょっと、それは、不敬じゃないの?いや、言葉にしたり、何かをした訳じゃないから、OKなの?


「何を仰いますやら。失礼ながら、マルガレーテ様は聖女であらせられますので、ご自分の修道院に大修道女様と私と共に、お帰りになります」


 ふんすと鼻息を荒くしながら、クレアが息巻いた。こっちの方が、殿下に不敬を働きそうで怖い。





「マルガレーテお嬢様、修道院に戻りますよね。戻って、新作のお菓子をお作りになりますよね!?」


「はいはい、わかったわかった。わかったから、どうどうどう」


「マルガレーテ、修道院に帰るだと?公爵家に帰るんじゃないのか!?」


「お兄様、私、聖女になりましたので、お家には帰れません」


「じゃあ、王城に暮らした方がましじゃないか。少なくとも王城だったら毎日、私が登城するから会えるじゃないか。くそー、殿下、やっぱりマルガレーテを王城に」


「うーん。マルガレーテは、修道院か。じゃあ、今から王城内に聖女専用の修道院か女神様の教会を建てて。将来は王妃になるから、問題ないよね。むしろ、必須だな。それまで我慢しろマーチン。

 出来上がる迄は、私は公務として毎日、修道院に通うか」





 マルガレーテを取り込む為なら、何だってやりそうなジョルジオです。


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