物語の始めは、入学式からでしょう
読みに来て下さって、ありがとうございます。
学園生活、スタートです( ≧∀≦)ノ
本来のゲームのオープニングは、マルガレーテや攻略対象者達が学園に入学して2年後、ヒロインのミンティアが3年生に転入する日だった。
「あー、ゲームのオープニングハプニングの王子様にぶつかるシーン、やっとく?」
「それ、今の私がやると、ジョルジオ殿下とマーチン様に引っ掴まれて、『何やっている。気を付けろ』とポイっと捨てられそうだから、止めてちょうだい」
見たかったオープニングシーンだけれど、ミンティアに拒否られて割愛となった。残念。
「どうしてもと言うのなら、マルガレーテ様が、やれば良いのよ」
冗談じゃない。前回の様にまかり間違って再び事故チューになり、ジョルジオ殿下が鼻血だらけになって、入学式の殿下の挨拶が出来なくなったらどうするのよ。
その分、私の聖女の挨拶時間が2倍になりでもしたら、あんたを恨むからね。
今日のお供の聖騎士の1人は、聖騎士見習いから晴れて聖騎士になったグレイザー様。
馬車が学園に着くと、馬車から降りる私に手を貸してくれた。
私の後にミンティアが続く。
「あっ!」
足元がふらつき、馬車から落ちそうになったミンティアをグレイザー様が抱き止める。
おっと、これは転入初日のぶつかりシーン、グレイザー様バージョン?
目を皿にして拝まねば。
グレイザーに抱き止められたミンティアは、不安そうな目でグレイザー様を見上げ、グレイザー様は優しく微笑み……。
「ミンティア様、先日も申し上げましたが、体幹が出来ておりませんね。体幹を鍛えるトレーニングを増やしましょう」
「ひい~っ」
何故か2人の間には、ロマンスだのイチャイチャイベントだの、あったもんじゃない。
先日の魔獣討伐で馬から落ちかけ、ミンティアはグレイザー様に抱き止められた。
やだ~良い雰囲気。これって、ミンティアとグレイザーのイベントスチルよねー。やったー!
と思って、目をハートにしていた私でしたが、実際の所は、ミンティアの体幹のなさに呆れたグレイザーが心配してトレーニングをさせるきっかけとなっただけらしい。
元々のゲームのヒロインのミンティアは運動神経も抜群のチート女子であったものの、現在の転生ヒロインのミンティアは運動神経が、ちょっと怪しい。
とにかく、ミンティアの推しのグレイザー様に構ってもらえてよかったわね~と私がミンティアに言ったら、
「何言ってるの!?あれは、鬼よ。トレーニングの鬼よ、脳筋なのよっ!」
と、ミンティアに死にそうな顔で返されてしまった。
そー言えば、ゲーム内で、リズムに合わせてボタンを押して、ミンティアの運動能力を上げる特訓をするミニゲームがあったけれど、あれはグレイザーがミンティアに特訓させてたのか。知らんかったわ~。
グレイザーにトレーニング時間を2倍に増やすと言われたミンティアは、げんなりしていた。
「おはよう。マルガレーテ。ああ、制服姿も良く似合うな。
それから、ミンティアも、おはよう」
ジョルジオ殿下が、朝から眩しい笑顔で私達を迎えてくれた。私とミンティアは、慌てて制服のスカートを摘み、カーテシーをする。
女生徒の制服のスカートは、ロングスカートだ。貴族のドレスの様にコルセットや嵩張る下着だの何だのは着けていないが、スカート丈だけは足の見えないロングでないと許されないらしい。
「おはようございます。ジョルジオ殿下」
挨拶する私の元に、ササっとお兄様が出てきて私に腕を絡めた。
「おはよう、マルガレーテ。会えなくて寂しかったよ。制服姿もなんて愛らしいんだ」
「おはようございます、お兄様。お兄様も素敵よ。私よりもお兄様の方がお似合いだわ」
実際、まだまだ美少年枠を抜けれてないマーチンお兄様やジョルジオ殿下の制服姿が、可愛らしくて、ずっと拝んでいたい。
コホンと咳払いが聞こえ、私はグイッと引っ張られて、気が付くとジョルジオ殿下の腕の中にいた。
相変わらず、強引なお方である。そして、回を増す毎に、素早くなっている。
「うーん。我ながら、素早すぎだな。この間みたいに、ちょっとばかり失敗してもよかったな。ね、マルガレーテ?」
はにかみながら、殿下は私の顔を覗き込んだ。殿下のこう言う所が可愛い。私も本の少し顔が赤くなっている気がする。
「まあ、でも今日はきちんとエスコートしなくてはね。
そうそう、こちらは私の側近候補のセシオス・デベントンとハインリヒ・ワーグナー。それから、そちらに控えているのは神官見習いのアスカニオ。マルガレーテとミンティアの付き人だそうだ」
セシオス様は、少し癖のあるミントグリーンの髪でグレーの瞳。グレイザー様の従兄弟に当たる元気な騎士候補。
ハインリヒ様は、宰相閣下の息子で黒い髪に切れ長の榛色の瞳が特徴で、物静かでキリッとしている。
そして、アスカニオは茶色い髪で茶色い瞳の優しげな雰囲気。
三人三様のイケメン揃いである。
ただし、アスカニオだけは攻略対象者ではない。彼はゲームには出てこない筈。
彼は私とミンティアと同じ歳の神官見習いで、急遽、ミンティアの様に学園の入学試験を受ける事になった。
勿論、成績は優秀で私達と同じAクラスに入った。私達の為に。ご苦労様な話よね、申し訳ない。
「いえいえ、こう言う時の為の付き人の神官見習いです。
マルガレーテ様とミンティア様は私がエスコートなり何なり致しますので、殿下は、どうぞ、お先にいらして下さいませ」
不敬なぞ何のその、おとなしそうな顔をして、柔らかな物腰でふんわりとした笑顔だけれど、キッパリとアスカニオは言いきった。
ジョルジオ殿下はムッとしており、お兄様達はギョッとしているけれど、グレイザー様だけは同じく聖女に仕える職業仲間だからか、ニヤリと笑っている。
神官見習いアスカニオ、中々一筋縄ではいかないキャラかも?
「私は、マルガレーテの婚約者だぞ」
「はい、存じ上げております」
「エスコートは婚約者の権利だ」
「私の仕事は、聖女様方のお世話です。聖女様方の荷物持ち、下足番、お茶の用意、お勉強のお手伝いも、そして、聖女様方にお食事を『あーん』して食べさせる事も、顔に付いた食べ物を『ほら、こんな所に付いてますよ』と取って差し上げるのも私の仕事」
「おい、こら、待て!お前、何を顔を赤らめて言っている。そんな事は、許さんからな!」
とりあえず、大神殿からも新たなキャラが投入されました。暴走しそうな付き人です。わくわく。




