聖騎士がいなくなってたので、募集しました
読みに来て下さって、ありがとうございます。
復帰しました~( ≧∀≦)ノ
骨折は治ってないけど、手は、ずいぶん動く様になったので、ぼちぼち再開します。
大修道女マチルダ side
その日、私は2度目の驚愕状態に陥った。
1度目は、急に駆け込んで来た弟の孫娘が、聖女になった事。そして、2度目は……。
「何だって!?聖騎士が、1人もいない!?」
聖女の部屋を改装するにあたり、今まで何処に居るんだか何をしているんだか知らないが存在だけはしていた筈の聖騎士団が消滅し、聖騎士が1人も存在しない事が判明した。
しかも、人知れず!前大司祭によって!勝手に!!
「じゃあ、魔獣退治は誰が行ってたんだい」
「辺境騎士団と辺境神官じゃよ」
私の問いに、レスティバン枢機卿が、溜め息混じりに呟いた。
「私は子供の頃から聖騎士に憧れておったのだが、仕方なく辺境騎士団に神官として入り込み、経験と実績を重ねた上、神聖国アルテアへと渡り、大司祭の上の枢機卿となり帰国し、件の大司祭の奴をクビにしてやったわい。ぐわーっはっはっは!ホ、ゲホゲホ」
高笑いし過ぎてむせ込んだレスティバン枢機卿の背中を、お付きの司祭が擦り、サッと水の入ったコップを差し出した。
手慣れているけれど、何処から出したんだろう、謎だねぇ。
「いかな私でも、流石に聖女不在では聖騎士団の復活は無理でな、せめてもと、『聖女が生まれた暁には、同時に聖騎士の選抜を行い、枢機卿の下に聖騎士団を立ち上げる』と言う項目を追加した」
教会の下じゃなく、枢機卿の下って……どんだけ聖騎士団に加わりたかったんだか。いや、むしろ、あんたの後任の枢機卿が、聖騎士団を私物化して聖女を牛耳ったらどうするんだ。まったく。
「心配するな。我らは支援団体だ。神聖国アルテアにおいても、この国においても、我らのトップは常に聖女となる」
それは、それで不安だけどね。何せ、マルガレーテが聖女なんだから。
「と言うわけで!聖騎士選抜戦を行うぞ」
「聖騎士に、なりたいかーっ!!」
「うおおおーーーっっ!!」
野太い男達の大盛況の声が地面を揺るがす雷の様に鳴り響き、騎士団の演習場に急遽作られた観覧席に座る私や枢機卿、大神官、そして自ら前のめりに観覧を希望した国王陛下は、その声量に身体を揺らした。
それに対して、陛下と共に最前列に座るマルガレーテと第一王子を肩を寄せあってイチャイチャ……よく見れば、ぷるぷると震えるマルガレーテが第一王子に勝手に抱きつかれているだけか。
「スゴい熱量!渦巻く筋肉の山っっ!」
何だか、先日、マルガレーテが行った孤児院から引っ付いて来たミンティアとか言う新しい修道女見習いが、やたらと興奮している。
私の斜め後ろに立っているからか、彼女の声が私には丸聞こえだが、他の人には聞こえない位の小さな声だから良いけれど。これは、ちっとばかり、教育をした方が良いかもしれない。
「おおっ!流石、各部隊の騎士達からの選りすぐり共。壮観、壮観!」
国王陛下のはしゃぐ声と共に競技が始まった。第一次審査の体力勝負は、昨日既に終わっており、今日は上位100名の第二審査の障害物競争が行われる。
「勿論、私が今回の競技内容を考えました。何しろ、私の下に集う聖騎士ですからな。この位は楽々と突破して貰わないと」
嬉々とはしゃぐ枢機卿の声がする。演習場では、突如として盛り上がる地面を飛び越え、目の前に現れる壁を駆け登り、急に失くなる足元の地面を飛び越え、横から飛んでくる小さな竜巻を……。
誰が、考えたんだい?ちょっとばかり無茶苦茶じゃないか。
「流石、魔術師団。第一次審査の体力勝負で負けた奴らに第二次審査の攻撃を任せたら、腹いせに、えげつない攻撃を仕掛けよる」
枢機卿……それを許したんだね。
死屍累々とは、この事かね。
壁にぶつかる者、穴から抜けれない者、竜巻に拐われて場外に運び出される者、果ては隣に走っていた者とぶつかり倒れる者も続出した。
「ふふん。我が近衛師団のガルムとエブレムのコンビには、敵うまい」
「なんの!神官部隊のバウマン、ジェスター、アルザスも負けません」
「陛下、大神官。辺境部隊のゴーザ、アイゼンは他の者達の追従を許しませんよ」
国王陛下、大神官、枢機卿……ちょっとばかり、楽しみ過ぎじゃあないかね。
生き残った中には(死んでる者はいないと信じたい)、細マッチョと呼ばれる様な奴らや、小柄な騎士が混ざってるのは、魔術師団の者達か?
「ほら、ご覧、マルガレーテ。グレイザーも三人チームで頑張ってるよ」
「え!?殿下。聖騎士見習いのグレイザー様は、出場しなくても良いのでは?」
「グレイザーは、真面目だからね。同級生の2人と組んで、正々堂々と聖騎士の座を勝ち取るって言ってたよ」
ふーん。中々、やるじゃないか、グレイザー。その心意気や、良し!修道院に帰って来たら、今日は、たーんとご馳走を食べさせてあげる様に調理担当に伝えておこう。
それにしても、地面陥没に、いきなりの大水、荒れる水面を泳ぎ渡る者、水上を走る者。残った者達は化け物……もとい超人さね。
聖騎士って、こんな集団なのかい?
「キャーッ!グレイザー様ーっ!右、危ないっ!」
「ミンティア、落ち着いて、落ち着いて」
「行け!行け!ガルム、エブレム!後ろにマッテンブルが迫ってるぞ」
「陛下、乗り出すと危のうございます。着席願います」
「バウマン!近衛に負けるなよ!あのチビ、魔術師団の女魔術師のリルムじゃないか?」
「ゴーザ!避けろーっゲヘゲヘ……おのれ、魔術師団め卑怯な。ゲヘゲヘ」
「大神官、落ち着いて下さい。枢機卿、お願いですから、座ってお水を飲んで下さい。お歳を考えて!座れってば」
観客席も大暴れ~( ≧∀≦)ノ
「生き残り戦だっけ!?」
「このまま第三次審査の乱闘に雪崩れ込んでも、いいんじゃないか?」
聖騎士の道は険しい!?




