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状況把握が早すぎる元自衛官令嬢、婚約破棄を片付けたら皇太子殿下に執着されました  作者: S@Y@


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第73話:新兵の初留守番防衛戦。……キリアン団長、ゆりかごの周囲に鉄壁の「魚鱗の陣」を敷いて完全武装で添い寝するのは規律違反です!


「状況把握、開始。時刻は午後二時。公務のため、私と殿下は二時間ほど部屋を空けるのだけれど。……留守番の警備を任されたキリアン団長以下、第一騎士団の面々が、正装のフルプレートアーマー(総大将仕様)に身を包み、泣きながらゆりかごを幾重にも包囲している。状況、ただのベビーシッターのはずが、国家存亡を賭けた最終防衛ラインの構築ね」


我が新兵(赤ちゃん)が「ママ」と発声した衝撃の作戦成功から数週間。

今日はどうしても外せない王宮の公式式典があり、私たちは数時間だけ我が子を信頼できる(はずの)第一騎士団に託すことになった。


しかし、キリアン団長の脳内戦術マップは、これを「魔王軍の奇襲から御子を死守する聖戦」と勘違いしたらしい。


「アルティナ殿下! ご安心の上、式典へ進軍(出撃)してくださいッ! このキリアンの命、いや第一騎士団全員の肉体を盾とし、蚊の一匹、ダニのコンマ一ミリの侵入すら許さぬ鉄壁の『ゆりかご防衛陣形』を維持いたしますッ! もし御子が泣かれた場合は、私が鎧の摩擦音(消音仕様)による最新のあやし術を執行しますッ!」


「で、殿下! あんな鉄のフルアーマーの男たちに囲まれたら、我が子が恐怖のあまり最大戦速のアラート(ギャン泣き)を叩き出します! 今すぐキリアン団長の正装をパージ(私服に着替え)させてください……っ!」


戦略的撤退(警備の縮小)を要求するものの、隣に立つルファード殿下は、いつも以上に冷徹で、けれど底なしの親バカ仕様な紫の瞳でキリアンをに見下ろした。


「ふむ。キリアン、お前の気迫だけは評価してやろう。だが、もし俺の天使(我が子)の髪の毛一本にでも埃がついたり、お前のむさ苦しい涙がゆりかごに一滴でも着陸(落下)した場合……お前たち全員を国家の最果てまでパージ(強制転任)した上で、シベリア並みの極寒の地で永久にスクワットを執行してもらう規律マイルールにするからね」


「ひえっ……! 殿下の独占欲と過保護がパパになってさらにインフレしている……っ! しかしそれもご褒美ッ! 総員、瞬きを禁止する! 呼吸も消音サイレントミリタリースペックで行えッ!」


「おおおっ!」と静かに咽び泣きながら、一切の微動だにせずゆりかごを見守る筋肉質の男たち。


(……うん、状況把握。この男たち、私がいない間、本当に24時間体制の監視レーダーと化して赤ちゃんの一挙一動にガチ惚れする気満々だわ。状況、私の平穏な子育てスローライフが、夫と騎士団の『超過保護包囲網』によって二重に侵略されているわね)


ルファード殿下は私を安心させるように、ごく自然な手つきで私の腰をホールド(ハグ)。そのままお姫様抱っこの一歩手前の距離まで引き寄せると、私の耳元で低く甘い声で囁いた。


「さあアルティナ、前線の警備(お留守番)は不審者キリアンたちに丸投げして、俺たちは最大戦速で式典を終わらせよう。帰ってきたら、頑張って留守を守った我が子へのご褒美と……俺の腕の中から脱走しようとしたお前への、濃厚な夜間居残り残業スキンシップをたっぷり執行させてもらうからね」


「ん、む……っ!? おのれ肉食獣上司、パパになっても公務のドサクサに紛れて私をベッド監禁(朝までコース)に引きずり込もうとする戦術をパージしなさいーーー!?」


私が羞恥心のインフレで顔を真っ赤に染めながら叫ぶものの、殿下はフッと意地悪く微笑み、そのまま私をエスコートして式典会場へと連行していくのだった。


なお、数時間後に私たちが最大戦速で帰還した際、我が子はキリアンの指をしゃぶりながら完全に寝かしつけられており、騎士団全員が「御子が俺の指を……っ! これぞ神の救済……っ!」と、声を出さずに涙のサイレントスクワットを執行している凄まじい光景(完全勝利)が待っているのだった。


こうして、アルティナの初お留守番ミッションは、親バカパパの冷酷な脅迫と、騎士団の血と涙のサイレント防衛、そして夫婦のさらに深まる激甘な包囲網によって、王宮の歴史に新たなるハッピーコメディの戦果を刻むのだった。元自衛官令嬢アルティナの、静かにサボりたい戦線は、愛する夫と愛しい我が子、そして頼もしすぎる(?)忠犬たちの溺愛によって、今日も優しく、永久に包囲され続けている。


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