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状況把握が早すぎる元自衛官令嬢、婚約破棄を片付けたら皇太子殿下に執着されました  作者: S@Y@


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65/75

第65話:未来の作戦計画。……殿下、子作りを名目にして毎晩の居残り残業(無制限一本勝負)を確定ルートにするのは職権乱用です!


「状況把握、開始。時刻は午後九時。公務復帰から数日。私は今、王宮の執務室で国境出張の最終報告書をまとめていたのだけれど。……隣にいる夫が、私の何気ない一言を聞いた瞬間、持っていた最高級の万年筆をポロリと落とし、完全にフリーズしている。状況、天才皇太子の思考回路が想定外の特大幸福インフレによって全面シャットダウンね」


そろそろ、二人の子どもがいてもいいかもしれない。

本当に、ただの雑談のつもりで、私の口からぽろりと言葉が零れただけだったのだ。


しかし、ルファード殿下は宝石のような紫の瞳をこれまでにないほど見開き、カタカタと小さく震えながら私を見つめていた。


「ア、アルティナ……! 今、なんと言ったんだい……? 俺とお前の、子ども……? 俺たちの愛の結晶ニューフェイスを、この手に抱く戦術的未来ルートを、お前も考えてくれていたなんて……っ!」


「で、殿下! そんな、捨てられた仔犬みたいにウルウルした瞳で至近距離から見つめないでください! 私の高性能レーダー(心臓)が最大戦速(大バクバク)のアラートを叩き出して持ちません……っ!」


殿下は弾かれたように立ち上がると、私の華奢な腰をガッチリとホールド(抱獲)。

書類をすべて机の向こうへ一掃し、壊れるほどの力強さでその逞しい胸の中に私を監禁した。

耳元で熱く、低く掠れた声が、ゾクゾクするような質量で鼓膜を揺らす。


「逃がさないよ。お前がその可愛い唇でそんな最高の宣戦布告おねだりをしてくれたんだ。今夜からは公務をすべて文官に丸投げして、朝が来るまで徹底的に、それこそ『子作りという名の超高負荷な夜間居残り残業』をフル稼働で執行する契約だからね」


「ん、む……っ!? おのれ肉食獣上司ーーー!! 気が早い上に、それを口実にして毎晩ベッドの上に監禁(朝までコース)しようとするのをやめてくださいーーー!? 私の体力が育児の前にゼロになっちゃうじゃないのよーーー!?」


私の抗議など、殿下の底なしの執着の前には一秒も持たなかった。

そのままお姫様抱っこでベッドへと強制連行され、衣服を優しく、けれど迅速に解除されていく。


(……うん、状況把握。もし本当に子どもができたら、あの過保護な夫のことだから、私の周囲に24時間体制で最高の結界を張って指先一つ動かさせない『絶対安静監禁ルート』に叩き込むのは秒読み段階だわ。それに、あのキリアン団長だって『我らの聖母の御子……っ! 第一騎士団長の名に懸けて、ゆりかごの24時間密着警備を執行いたします!』って、血の涙を流しながら狂信的お世話ロボと化して突撃してくるに決まっているもの)


王宮のドタバタインフレ劇がさらに加速する未来を予感して、私は嬉しさと気恥ずかしさで真っ赤になりながら、夫の甘すぎる抱擁に身体をふにゃふにゃに溶かされるのだった。


「まずは今夜、15手先まで愛を注ぎ込んで、お前の身体に俺の子供を宿す確率を100%にするよ……アルティナ」


「あ、ふゃ……っ、でん、は……っ!」


(でも……殿下に似た綺麗な紫の瞳をした可愛い赤ちゃん(新兵)なら、私の静かなスローライフを24時間体制で侵略されても、全力で防衛(溺愛)しちゃうかもしれないわね……!)


こうして、アルティナの何気ない一言は、皇太子殿下の愛の防衛線を完全崩壊させ、王宮の寝室を過去最高に熱く濃厚な「未来の家族計画(夜間戦闘戦線)」へと突入させるのだった。元自衛官令嬢アルティナの、ものぐさスローライフへの道は、愛する夫の執念の種まき(溺愛)によって、どこまでも甘く、激しく包囲され続けていく。


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