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状況把握が早すぎる元自衛官令嬢、婚約破棄を片付けたら皇太子殿下に執着されました  作者: S@Y@


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第62話:過保護な寝室のセキュリティホール。……騎士様、看病のために伝説の魔獣の肉を自力で狩って持参するのは規律違反です!


「……はぁ。状況把握、開始。時刻は午後二時。過保護看ベや(絶対安静圏)に引きこもって二日目。私は今、殿下にマッサージ(ただし怪我に障らない超ソフトタッチ)を施されていたのだけれど。……突如、我が防衛陣地の強固な魔導結界が、内側からの物理的な一撃によって戦略的に大破したわ。状況、想定内の暴走(忠犬の乱入)ね」


バガァァァン!! と、昨日ルファード殿下が直したばかりの寝室のドアが、またしても派手な音を立てて吹き飛んだ。


「アルティナ殿下ーーーッ!!! 不覚、不覚にございますッ! 貴女のその尊き背中に傷を負わせるなど、このキリアン、万死に値する大失態……っ! 罪滅ぼしとして、貴女の細胞を最大戦速で超回復(フルHP)させるための最高級食材を持参いたしました!」


そこに立っていたのは、警護失敗のショックでゲッソリと頬を削げさせつつも、灰色の瞳に「狂信的なリスペクト」をギラギラと滾らせた第一騎士団長・キリアンだった。


彼が両手でうやうやしく掲げている銀のトレイの上には、まだビリビリと電力を放っている『迅雷ドラゴンの極上赤身肉(仕留めたて)』が山盛りになっている。


「状況把握、完了しましたキリアン団長。……まずは規律違反(ドアの破壊)について減給処分です。あと、そのお見舞い品――国境地帯にしか生息していないはずのS級危険魔獣ですが、まさかこれを確保するために、任務をサボって往復強行軍(弾丸ハンティング)を執行したのですか!?」


「その通りです! 貴女の健康のためなら、私は国家の防衛線を一時離脱することなど恐れません!」


フンスと胸を張るキリアン。

しかし、私の隣で特製ハーブティーを淹れていたルファード殿下の周囲から、一瞬で大気抵抗がゼロになるほどの絶対零度の殺気(独占欲)が吹き荒れた。


「キリアン、お前は本当に懲りないな。アルティナの寝室に虫(暗殺者)を通した罪で現在減給・自宅謹慎処分のはずだが? その上、勝手に王宮の最高結界をクラッシュして生肉を持ち込むとは、いよいよ処刑台の確定ルートへ直行したいと見える」


「くっ、ルファード殿下……っ! 私はアルティナ様の背中の傷(勲章)を治したいだけです! 殿下のように『看病を口実にして四六時中ベッドの上で抱きついているだけの過保護監禁』とはワケが違う!」


バチバチと火花を散らす、天才皇太子と狂信的騎士。


(……うん、どちらも私への愛のベクトルがインフレしすぎて、ただの病人(私)の寝室が国家最高レベルの戦術シミュレーションの盤面と化しているわね。状況、私の胃壁の防衛体力が持ちません)


この男たちの不毛な「看病マウント合戦」を放置すれば、今日の夕食のメニューが『ドラゴンの生肉ステーキ・殿下のあーん添え』という、私の消化器官ミリタリースペックでも処理不可能なオーバーフロー状態になる未来を秒で看破した。


「状況把握、完了しました! お二人とも、その過剰なバックアップ(労り)は私の精神的防衛基準を著しく侵害しています! キリアン団長は今すぐそのお肉を厨房へパージ(搬入)してスープに加工してもらいなさい! 殿下も、看病にかこつけて私の太ももを strategic に撫で回すのを即座に停止してください……っ!」


私が真っ赤な顔で枕を二人に同時攻撃すると、殿下はフッと妖艶に微笑んで私の手を握り、キリアンは「なんと素晴らしい先手必勝の制裁……っ!」と涙目を浮かべて感動するのだった。


(なんで怪我をして引きこもっているのに、王宮のドタバタインフレがさらに加速してるのよーーー!! 誰か私に本当の意味での『静かな完全週休七日』を支給してちょうだいーーー!?)


こうして、アルティナの看病生活二日目は、過保護すぎる夫と暴走する忠犬騎士の「代理看病戦争」によって、再びベッドの上が甘く激しい大混戦の幕を開けるのだった。元自衛官令嬢アルティナの、ものぐさスローライフへの戦線は、男たちの重すぎる執着と優しさによって、今日も徹底的に侵略され続けている。


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