表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/112

第七十七章『愛しい人』

「ノクス!!」


ガブリエラの叫びが、

夜空へ響く。


黒い翼。


燃え上がる黒炎。


ノクスは一直線に怪物へ突っ込んでいった。


騎士たちが息を呑む。


「無茶だ!!」


「核へ直接……!」


怪物が咆哮する。


巨大な腕が、

ノクスを叩き潰そうと振り下ろされた。


だが。


ノクスは避けない。


赤い瞳が鋭く光る。


「邪魔」


次の瞬間。


黒炎が爆発した。


轟音。


怪物の腕が消し飛ぶ。


その勢いのまま、

ノクスは怪物の胸部へ到達した。


赤い核。


脈打つ光。


ノクスが手を伸ばす。


だが。


その瞬間。


怪物の身体から、

無数の黒い手が伸びた。


「っ!」


ノクスの腕を掴む。


足を絡め取る。


黒い泥が、

彼を飲み込もうとした。


ガブリエラの顔色が変わる。


「駄目!!」


ノクスの魔力が荒れ狂う。


黒炎が暴走しかけていた。


セレフィナの言葉が蘇る。


――最も愛する者を。


嫌だ。


そんな未来。


絶対嫌。


ガブリエラは走った。


レオンハルトが止める声も聞こえない。


ただ。


ノクスを失いたくなかった。


銀黒の光が溢れる。


翼が広がる。


ガブリエラは空へ飛び上がった。


怪物がこちらを見る。


黒い咆哮。


だが。


怖くなかった。


ノクスがいるから。


「離して!!」


銀黒の力が炸裂する。


光が黒い泥を切り裂いた。


ノクスを拘束していた手が砕け散る。


ノクスが目を見開いた。


「ガブリエラ!?」


彼女はそのまま、

ノクスへ抱きつくように飛び込む。


空中。


強く抱き締めた。


「っ……」


ノクスの身体が固まる。


ガブリエラは震える声で言う。


「一人で行かないで……!」


涙が滲む。


怖かった。


本当に。


失うかもしれないと思った瞬間、

息ができなくなった。


ノクスはしばらく何も言わなかった。


やがて。


苦しそうに笑う。


「……反則」


「え?」


ノクスの腕が、

ガブリエラを強く抱き返した。


熱い。


黒炎の熱。


でも。


その抱擁は優しかった。


「そんな顔されたら、

死ねなくなる」


ガブリエラの胸がいっぱいになる。


ノクスは額を寄せた。


至近距離。


赤い瞳が揺れている。


「なぁ、

ガブリエラ」


低い声。


真剣だった。


「俺、

多分もう無理」


「……?」


ノクスは苦笑する。


そして。


はっきり言った。


「お前のこと、

めちゃくちゃ愛してる」


世界が止まった気がした。


ガブリエラの呼吸が止まる。


心臓が激しく鳴る。


ノクスはそんな彼女を見て、

少しだけ照れたように笑った。


「今、

返事なくてもいい」


「でも」


彼の指が、

そっとガブリエラの涙を拭う。


「絶対、

他の奴には渡さねぇ」


その瞬間。


怪物が再び咆哮した。


巨大な黒い口が、

二人へ迫る。


だが。


ノクスは笑った。


「――だから、

一緒にぶっ壊すぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ