表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/112

第六十六章『聖女セレフィナ』

『やっと見つけた』


冷たい声が、

頭の奥へ直接響く。


ガブリエラは頭を押さえた。


視界が歪む。


白い神殿。


赤い血。


そして。


長い銀髪の女。


微笑んでいる。


なのに、

その笑顔は妙に恐ろしかった。


「っ……ぁ……」


ノクスがガブリエラを抱き支える。


「しっかりしろ」


低い声。


その温度で、

少しだけ意識が戻る。


レオンハルトも険しい顔で覗き込んだ。


「何が見えた」


ガブリエラは荒い息を整える。


胸騒ぎが酷い。


「……分からない」


でも。


一つだけ分かる。


“セレフィナ”は危険だ。


それも、

今までとは違う種類の。


騎士が不安そうに続ける。


「彼女は突然、

南部の大神殿へ現れたそうです」


「奇跡を起こしたと……」


ノクスが鼻で笑う。


「胡散臭ぇ」


レオンハルトは顎へ手を当てる。


「神殿側の反応は」


「既に“真なる聖女”として崇め始めています」


ガブリエラの背筋が冷えた。


真なる聖女。


その言葉。


まるで。


“偽物”がいると言っているみたいだ。


レオンハルトも同じことを思ったらしい。


視線がガブリエラへ向く。


ノクスの空気が冷えた。


「……気に入らねぇな」


ガブリエラはゆっくり息を吐く。


頭痛はまだ残っている。


でも。


妙にはっきりしていた。


セレフィナは、

自分を探している。


その確信だけがある。


その時。


突然、

窓の外が騒がしくなった。


悲鳴。


ざわめき。


騎士が顔色を変える。


「外が……!」


全員が窓を見る。


すると。


皇宮の上空に、

巨大な白い鳥が現れていた。


純白の翼。


神々しい光。


まるで神話の生き物。


人々が騒然となる。


「聖獣……!?」


鳥は空中を旋回し、

ゆっくり皇宮の庭へ降り立った。


その背に。


一人の女が立っている。


銀色の長い髪。


白い神官服。


そして。


透き通るような金色の瞳。


ガブリエラの呼吸が止まった。


記憶の中の女。


セレフィナ。


彼女は微笑んでいた。


美しい。


だが。


背筋が凍るほど冷たい笑み。


皇宮中が静まり返る。


セレフィナは真っ直ぐ、

ガブリエラを見上げた。


そして。


優雅に微笑む。


『お久しぶりですね』


頭の奥へ、

直接声が響く。


ガブリエラの瞳が揺れる。


知らない。


でも。


知っている。


セレフィナはゆっくり口を開いた。


「――神殺しの巫女」


空気が凍った。


騎士たちが息を呑む。


レオンハルトの表情が険しくなる。


ノクスは完全に殺気を滲ませていた。


だが。


セレフィナは全く怯えない。


むしろ。


楽しそうだった。


彼女はガブリエラだけを見つめる。


「会いたかったです」


その声に。


ガブリエラの本能が、

危険を叫んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ