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徒然怒る  作者: きじとら
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㊻女と男


 拙作『千葉千日』をお読みの方ならば、私が将棋好きということがおわかりいただけることと思う。

 主要な登場人物を除き、ほとんどが女流棋士や棋士から名前を拝借しているからだ。

 

 まあ人物像と全くかけ離れているので、あてがきではないことだけをお断りしておく。

 

 さて、その女流棋士が来年4月1日より、四段の棋士として棋戦に参加することになる。

 

 その女性がどういう人物かはさておき、その一連について私の意見を述べよう。

 

 まず、その女流棋士は通常の手段(奨励会の三段リーグ)を突破できなかった。

 そのため、奨励会在籍中に参加していた女流棋戦を主戦場とすることに決めた。

 

 次に、棋士すべてを含む棋戦において、所定の成績を収めたことにより、棋士編入試験という四段への挑戦権を得た。

 残念ながら二勝三敗であった。

 

 次に、昨年の棋士総会において、新ルールが提案され、「女流棋戦の白玲戦において、タイトル通算五期」で「フリークラス棋士(四段)」となれる資格を得られる、と決まった。

 

 今年、その白玲戦を防衛し、通算五期となり、その女流棋士は資格を得た。

 

 そして、棋士となることを表明し、来年四月のデビューとなる。

 

 将棋連盟には様々な意見が寄せられており、女流棋士に対する励ましや応援のみならず、批判の声も多いようである。

 

 なぜ批判を浴びるのだろうか。

 

 私の率直な意見である。

 その女流には今後活躍してもらいたいし、叶うなら藤井竜王名人とタイトル戦を戦って欲しいものであるという、思いを込めていることを忘れないで欲しい。

 

 まず、傍観者の私から見ると、

 

 1. 三段リーグを勝ち抜けなかった

  →「惜しい成績もあった」というが、似たような、もしくはそれ以上に惜しい人もいる。

   自分で三段リーグでの挑戦を途中であきらめた。(年齢制限前に自主退会)

   「棋士になりたい」が主であるならば、三段リーグがだめでも、他のアマと同様にオープン(アマも女流も参加できる棋戦)で所定の成績を収め、他と同じように挑戦権を得るべきであったはずだ。(勿論、その女流棋士はその資格も得て、見事失敗している)

   

   更に言えば、男性の奨励会三段には、三段リーグに所属中に、女流棋戦のような場はない。

   女性にだけ開かれた制度なのである。

   

 2. 女流で第一人者として活躍し、多忙を極めている。

  →棋士というのは一つの対局において、相手の戦略だけでなく、最近の傾向、更にはAIでの解析・研究をする。だというのに、棋士約170名のみならず、女流棋士の数十名の研究を行い、様々な棋戦に参加するのは、並大抵の努力では足りない。

   言うならば、女流棋戦においても、男性棋士主体の棋戦においても、中途半端な勉強になるのではないのか? 暴言が許されるなら「舐めている」のではないか。

   

 3. 女流の棋戦は変わらず続ける。タイトルは返上しない。

  →棋士という制度に参加するのにもかかわらず、女流棋戦も参加し続ける。タイトルホルダーとしての立場は守る。

   女流棋士になるのには、「女性」でなければならない。


 政治的な話をすれば、女流棋戦でも一般棋戦でもスポンサーであり、かつ将棋連盟の新会館に多大なる援助をした「企業」の意向を取り入れたのだ。

 

 好意的な見方をすれば、女性が男性ばかりの世界に飛び込むのは良いことだと思う。是非活躍して、口ばかりのロートル棋士をばったばったとなぎ倒して欲しいものである。

 

 だが、しこりは残る。

 

 三段リーグ、棋士編入試験の失敗、いずれも棋士になれなかった。

 つまりは他のすべての棋士が諦める状況においても、諦めずに「政治」を使ったのである。

 

 ああ、その女流棋士が政治を使ったわけではない。

 その女流棋士を応援する「企業」が後押ししたのだ。誤解してはならない。

 

 この「タイトル五期」の「棋士編入」について、将棋棋士・女流棋士(段位制限あり)の総会において、ある若い棋士から問いかけがあったという。


「棋力の担保はとれているのか」


 一つには奨励会三段はその担保をとるための場であるし、編入試験も同様である。

 だが、女流という「女性しか参加しない棋戦」において、他の棋士との差は確認できないのだ。

 

 何を基準に、どのような根拠で「棋力」があると言い切れるのか。

 そういう意味だと私は解釈した。

 

 私は思う。

 その女流棋士は執念で棋士の椅子を掴んだ。

 その執念はすさまじいものである。

 ぜひとも活躍を願う。

 

 だが、一方で思う。

 ずるくないか?

 自分であきらめて、女流に転向したんだろ?

 棋士編入試験も負けただろ?

 なのに、なぜまだ固執する?

 

 まあ、いろんな大人の思惑が働いたのだろう。

 女性が活躍する社会。

 男性の中で戦えるのは、その女流か少し下がり気味のもう一人の女流タイトルホルダーか、新進気鋭の若手女流か、いまのところその三人のいずれかである。

 

 でもさ、これまで決してクローズではなかったんだよ。

 勝てずに四段になれなかっただけじゃないか。

 

 話は飛ぶが、女性だから、女性を、女性のための、という言葉が飛び交って久しい。

 

 それこそが、女性差別になっていると思わないのかな?

 

 女性だから優先される、優遇される、それ即ちもう一方の性よりも劣っている、足りないと言われているのと同じ意味になりかねないんだぞ?

 

 スポーツの世界では、女性と男性は別のグループで戦っている。

 ミックス、混合で両性が交わることはあるものの、基本的なルールにおいては性は別として扱われる。

 

 現に女性限定に男性から転向してきたジェンダー選手が入った競技はどうなった?

 

 女と男は同じではないのだ。

 

 体のつくりも違えば、性の周期、思考も異なるのかもしれない。

 

 おそらく別の生物なのだろう。

 

 ただ一つの共通点は、「人間」というくくりだけなのだ。

 

 まあ、その人間も、何をもって人間というのか大問題なのだけどね。

 

 * * *

 

 私は思う。

 誰しもが棋士になれるのは面白い。

 だが、それは棋士のレベル低下につながりかねない。

 

 藤井竜王名人と三歳の少年が戦うのは見てみたいが、一方で将棋を楽しむ藤井さんの時間を削っているのではないかなどと思ってしまう。

 

 勿論、彼は将棋の発展のために尽力されているし、多くの人に将棋の楽しさを広めようとしてくれている。

 

 本当にクレバーでやさしい青年なのだ。

 

 一方で、自分のことしか考えない棋士も多い。

 

 そして、今回の件である。

 

 ああ確かに、女性が棋士を相手に戦うのは面白いだろう。

 棋士も負けられないと奮起するかも知れない。

 

 だが、将棋というのはそういったものじゃない気がする。

 

 そんな盤外将棋ばかりしているから、見ている方はつまらなくなるのだ。

 

 

 スポンサーは大事だね。

 でもさ、少なくとも自分達の器の範囲でやれるのを目指したらどうだい?

 

 体裁とか権威とか言わずに、自分たちの身の丈にあった運営でいいじゃないか。

 

 それをファンがサポートする。

 

 新聞各社だって、もうスポンサーなんかやってられないよ。

 

 身の程を知れ、と自分にも言い聞かせるのであった。

 


〔おまけ〕


 本当は、男と女、スポーツと器、登山のリスクについて話したかったんだが、そこまで書けなかった。

 短いエッセイでは書ききれないのかも知れないね。

 偉大なテーマだもんね。

 

 西山さん、頑張れ。

 君が頑張らなきゃ次に続く人が出てこられないぞ!

 

 棋士諸君、頑張れ!

 歳をとろうが、あんたらは経験があるんだろ!

 死ぬまで勉強だよ!

 

 あと佐々木大地君、佐々木勇気君、君らはもう少し頑張れ。

 中村太地君、YouTubeもいいが将棋頑張ろうよ。

 

 S6?

 うん、露出は大事だね。

 でも、タイトルホルダーは参加しない方が良かったね。

 六連敗(NHK杯を含めれば)しちゃいけないとは言わないけど、将棋に集中しないから!と言われてしまうよ?

 

 AIが人間より賢いのは知っている。

 だが、将棋も人生も、最終的に次の一手を選ぶのは人間なのだ。

 

 生き死にまでAIの言う通りにならないよう、私は常に人間を応援するのである。

 

 

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