小話 セルシオ編(オマケ)
【キティが残した取材メモの一つ】
20☓☓年5月16日 アーサー・ベリャーエフ氏の運転手だったライオネル・ルーカス氏に取材した時のこと。
ルーカス氏は、そのときのパーティーの経緯について、興奮気味にこう語りだしてくれた。
あの日、その少女があまりに正確に車の部位を語ったので、不気味に思いながらも念のためにそこを調べてみた。そしたらなんと、冷房を効かせていたそのクーラーが実は故障していて、一定の温度を保てないことが分かった。今まで運転手の自分でも気づかなかった絶妙な不備を、少女は外から読み取っていたと言うのだ。
それが一番恐ろしい体験だったと彼は語る。あの子は、あの娘は何かある、と。
あの娘にはきっと、人間の持ち得ない能力がある。それが、いわゆる彼女が度々語る「鉄の意思」ではないのかと、ルーカス氏は饒舌に語り、ジョージのことではなく、いっそ、カンジョンのお嬢さんについて調べてみたらどうだとまで言ってきた。
彼女に取材して、その能力について何かしらの結論が出たら、きっとそれは色んな脳科学の常識を変える、と、まで彼は言い切った。「オカルト雑誌に受けるんじゃかいか」という、軽口どころでないあまりの覇気に、ついつい私も興味を惹かれざる得なかった。
しかし、カンジョン・ミナとの接触もまた、苦難であろう。もし、巡り巡って縁が出来たのであったら、同性同士、友人としての距離感でもって謀りたいものである。
イゾルデ・エリザ




