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Huma Gear  作者: 近藤セカイ
終章“機械仕掛けの英雄”『マギア編』

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45/46

『人(ヒューマ)』

実質的な最終回です。

45話まで駆け抜けました。

みてミン?の挿絵がうまく挿すことができてるかが不安です。

 相対する2人はにらみ合う。こんな事をしたのはいつぶりだろうか。鉋は心の中でそう思う。すると鼻先に何かが当たる。

 

「雨か……そういえば予報では降ると言ってたな……」


「えっ、やるって言ったじゃん。」


「冗談だ、場を和ませようと思ってな……お互いの最後だ」


「調子が狂うな……、ほらっ!気を取り直して!やるよ!マギア!」


「ああ、……いくぞ!カンナァ!」


 初撃は足裏と大剣が正面からぶつかりあった。鉋はマギアの勢いを殺そうと足裏をぶつけて止めようとした。しかし――


 マギアはその勢いよくぶつかってきた鉋ごと弾き飛ばす。どれだけ力を入れようが関係ない。いつものように全て弾き飛ばすだけだ。


 やっぱり、凄いパワーだ。この様子だと正面からのぶつかり合いは無理だ。パワーでは負けてるならば、速度で上回る。

 

 鉋の出力は鳴神を運用しなければMAXの60%に達した。同時にマギアは自身のギアを1つ上げた。

そして消える鉋と、それを目で追うマギア。鉋はマギアの利き手である右手の後方から攻めた。

 しかし、後ろに回り蹴りをお見舞いすると同時にマギアの大剣は一周し、鉋の胴を捉らえようとする。鉋は間一髪で躱したが、一つの問題が発生する。


 ……速度で上回っても、動物的な反射神経でそれを潰されてしまう。

敵に回ってマギアの恐ろしさがよく分かってしまう。


「俺の回転斬りを避けるとは流石だな!カンナ!いい動きだ!」


「言うね。見えてるの?私の動き?」


「何となくだが……?そこだ!で斬った。」


 そこだ!じゃない。それで当てられるコチラの最高出力の身にもなれ。予想外だし、戦い方は唯一無二だ。勝てるか勝てないかで言われたらまず勝てないだろう。


「来ないのか?なら、こっちから行くぞ!!」


 来る!見てから回避じゃ絶対に間に合わない!生半可な回避だと当てられる。避けるのに優先しろ!……いや、ここで逃げたら勝てない!考えろ!マギアと対等に戦う方法――


「ふんっ!」

 

 ぶんという鈍い音が鳴り、大剣が空を切る。マギアが斬りつけたときには鉋はそこにはいなかった。

鉋は上空にいた。


「考えたな!カンナ!しかし、そこから攻撃ができるか?そのまま着地で落とされろ!」


 言ってろ。私は水龍との戦いで新技を編み出したんだよ。水を蹴る応用!


 鉋が凄まじい速度で空を蹴る。蹴られた空気はマギアに向かって飛んだ。そしてもう一度空気を押し出すように蹴った。すると押しだされた空気が鉋を押した。


「くっ、空を蹴っただと!」


 人間カタパルトのように飛び出した鉋はマギアに向かう。マギアの超人的な迎撃もこの速度なら受けれない。


「ぐぬっ!……ぅ!」


 鉋の奇襲の一撃はマギアの大剣の腹に受け止められた。入れば勝負が決まっていたはずだ。それを受け止めたのはマギアの感の良さとも言えるだろう。


「いい一撃だ。俺じゃなければ決まっていたかもな!フンッ!」


 マギアは大剣を振るい、大剣に蹴りを入れている鉋を弾く。


「ここからは俺のギアを最大に上げるぞ!カンナ!」


 マギアはその有り余る力を抑えるために力を部分的に封印していた。窮地の際にその敵を倒すために肉体が力を振り絞るそれだ。それは火事場の馬鹿力とも呼べる代物であるが、それと違うのは一挙手一投足が桁違いになり、それが常時続くという持続性だ。炎帝に勝てたのもこの火事場の馬鹿力のようなもののおかげでもある。それをマギアは意識的に引き出せるようになっていた。


 ヒューマのない男など勝てる。誰でもマギアの本気を見るまではそう思うだろう。あの水龍もマギアに挑まれた際は正気かと嘲笑ったが、その嘲笑は数分後の自分に返された。マギアを怪物と最初に呼んだのは他ならないそれを見ていた悪の仲間であった。殺されないために彼に従い、そして殺された。今ここで笑っているマギアはそのような男である。


 一方、鉋には何も秘策がないわけではなかった。疑似鳴神の部分的な60%や空蹴りによる空気弾。そして、権蔵さんから受け取ったマギアの弱点。それらが噛み合えば勝てると考えていた。マギアを怪物から人へと戻すその秘策を実行する為に先ほどから動いていた。


 その行動は民衆が思う怪物退治とはかけ離れた空想だった。


「やあぁぁあ!」


「叫んでも俺には届かないぞ!!」


 足だけに電気を集中させた疑似鳴神は政府から使用を一分以内に収める事を前提に使用を許可された技である。その速度はギアを上げたマギアを防戦一方にさせるほどであった。


「分かってるよ!それでも私にはこれしかないんだから!」


「そうだな、カンナもそうなのか……」


 一分間、鉋はマギアを蹴り続けた。受け続けたマギアは鉋の衰退をその身で感じた。


「終わりだ、カンナ。ここまでして俺にダメージを与えられない。この日は俺の勝ちにしよう。また今度。新しい英雄を送ってもらおう。」


「はぁ、まだぁ!」


「いいんだ……。俺は。カンナに殺されたかった。だけど、俺はカンナ以外には殺されたくないが、カンナがこうなるなら俺は生きていってもいい。」


「いいか、カンナ……。俺は――」


 その時、マギアが大剣を手放した。それは鉋に莫大な衝撃をあたえた。


 武器を手放した?。降参?、舐めプ?。それとも――


「ゔっ――」


 考えがまとまる前にマギアは鉋の首根っこを掴んだ。その巨大な手はいとも簡単に首全体を覆い、暴れる足を抑えた。


「カンナ……苦しめはしない……あっちでお祖父さんに謝っていてくれ……約束を守れなくて済まないと……」


 ジタバタと動く鉋を容易に抑え込むマギアは腕に力を入れる。次第に鉋の顔が青くうっ血していく。手は自由を求めてマギアの手を離そうと必死に掴む。


 鉋の口がパクパクと、音にならない声を出している。それを見たマギアは最後の言葉を聞こうと首の拘束を緩めた。


「カンナ、何か言いたいことはあるか?」


「……私は……まだ、――諦めてない!!」


 鉋は自身の指の先を噛み切った。血が流れ痛みが走る。そして、噛み切った指先をマギアの首に当てた。


「確か……効いたよ……ね!!」


 その瞬間、スタンガンのような電流がマギアの首元から身体中に駆け巡る。痛みで身体の拘束が緩み、その瞬間に最大出力で腕を動かす。


「ハァハァ……前から異様に効いてたもんね、電気!!」


「……そうだったな!俺は異様に電気に弱かった!」


 そして、2人は同じ方向に走る、

それがある場所へ。マギアが奇襲の為に落としたそれを拾った者がこの場の勝者となる。


「負けるかぁ!!」


「うおおお!!!」


 それを取ったのは――


マギアだった。

 

 それを壊したのは――

カンナだった。


 マギアの大剣は先日の組織壊滅以前から酷使されていた。その大剣をメンテナンスする術もなく。最後に研いだのは管理人戦の前だった。道具に頼る戦いをしていたマギアはそれを失えば戦闘力が激減する。そのために鉋はマギアの大剣を蹴り続けた。マギアを攻撃できるときがあっても決して攻撃先を変えなかった。マギアもそれを理解していた。 しかし、この戦いが楽しくて続いてほしくてたまらなかった。


 マギアは折れた大剣の剣先が無くなり、もはや戦いでは使えない代物になった事を体感で理解した。鉋の攻撃はマギアに向かう。

 民衆にこれが“トドメ”だと言わんばかりに 鉋はためを作った。そして――

解き放った。


 道具からの束縛に、怪物を怪物たらしめていたギアを。

マギアはその一撃を受け止めた。

 そしてふらつき倒れた。


「……負けだ……さぁ、殺してくれカンナ……道具をなくした俺は所詮、ただの人間だ。……そうだな、トドメはそいつで頼む。」


 倒れたマギアは微かに動く指先でもう一つの相棒を指差す。


「これで?……分かった。」


 鉋は怪物を怪物たらしめていたギアを拾った。それはもはや鉋ですら持ち上げることができる代物だった。


「やるよ……いい……」


「待ってくれ……そんな顔しないでくれよ……」


「だって……だって……」


「そうだな……最後に一つだけ“お願い”をしてもいいか?」


「何?」


「笑っていてくれ。あの世から俺たちがいつでも見つけれるように……笑ってくれ。」


「こう……?」


「上手だ。英雄は笑ってないと……駄目だろ……」


挿絵(By みてみん)


「じゃあな、カンナ、また会おうな」


「バイバイ……マギア!」


 カンナは笑顔でその折れた大剣をマギアに突き刺した。

 その光景は、確かに全ての民衆の心に残ったであろう。


――

Fin 『Huma Gear』

後日談に後1話だけお付き合いください。

よろしければ感想をください(承認欲求モンスター)。

鉋とカンナの表記ミスがあまりにも難しい。

カンナと叫ぶ奴がいる回は特に。

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