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Huma Gear  作者: 近藤セカイ
終章“機械仕掛けの英雄”『マギア編』

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41/46

『見せ方』

41話です。

書き方をこっちに変えてから書きやすいです。

――「私が、あなた方の“英雄ヒーロー”になってみせます」


――少女が放った言葉から一晩が明ける。

 

 あの会見はメディア媒体や各SNS、さらには匿名掲示板などで拡散されて大きな反響を見せた。

 その結果、世論は3つに分かれた。

 

 一つは肯定派閥。未曾有の危機を防ぐために政府の切り札が出てきてくれたと喜びの声を挙げた者たち。

 二つは否定派閥。主にヒューマに関して悪い意見を事前に持っていたものや躑躅森旧官房長官が“対特”を作った際から反対意見を持っていた者たち。それらの者達はこの宣言にも良い感触を出していない。

 三つは無干渉。これはどの時代にも生まれる自身は関係ないと、その事象に関わることを放棄した者たちだ。

 割合から見た統計では否定的な意見が多く見られた。

 

 理由はいくつかあるだろうが、それが少女だから、それがヒューマ使いだから、それが口だけに見えるから、それが無駄な期待だけをさせるから。


 鉋の思惑は外れたわけではなかった、最初から好意的な意見を貰えるとは思っていない。

 逆に注目を集めることが最初の一歩であると確信していたからである。


「これは思惑通りか?」


官房長官はスマホでネット掲示板の様子を見て、鉋に問いかける。


「うわ、散々ですね……」


 官房長官に見せられたスマホ画面は昨日の夜に書き込まれたログのようだ。


―― 

【速報】“管理人”撃破したJK、政府側だったらしいwwww


1:風吹けば名無し

英雄になるらしいぞ


8:風吹けば名無し

管理人倒したのマジなら普通に凄くね?


13:風吹けば名無し

でも結局ヒューマじゃん


19:風吹けば名無し

対特の隠し玉とか完全に漫画で草


24:風吹けば名無し

いやあの映像見たけどマジで速すぎ

て何したかわからんかった


31:風吹けば名無し

どうせ政府のプロパガンダだろ


35:風吹けば名無し

てかマギアとかいう奴に斬られてたよな?


42:風吹けば名無し

裏切られたのにまた戦うの普通に可哀想


49:風吹けば名無し

管理人倒したのこいつしかおらんのやろ?

だったら頼るしかなくね


53:風吹けば名無し

またヒューマかよ

結局全部こいつらが原因だろ


58:風吹けば名無し

こいつが出てくるのは遅いから

ババアが怪我したんだけど


61:風吹けば名無し

正直可愛いから応援するわ


74:風吹けば名無し

↑こういうのが一番怖い


81:風吹けば名無し

世界崩壊寸前なのにお前ら平和だな


94:風吹けば名無し

政府が女子高生前に出してる時点で終わってるだろ


102:風吹けば名無し

でも「英雄になります」は正直ちょっと好き


118:風吹けば名無し

マギアって奴、三日で世界規模組織作ったの普通に化け物すぎる


127:風吹けば名無し

管理人倒した化け物 vs 三日で世界掌握した化け物


131:風吹けば名無し

終わってて草


142:風吹けば名無し

世はまさに大世紀末!


――


「これは……面白いですね……。私の予想通りです。」


「そうだな。それで今後はどうするんだ?」


「うーん……積み上げるしかないですね」


「何をだ?」


「英雄活動ですよ」


「具体的には?」


「私には足りないものがありますが分かります?」


鉋の問いかけに官房長官はしばらく考えるが沈黙が目立つ。


「実績と信頼です。それらを勝ち取るための分かりやすい方法は結果と過程を見せつけることにあります。」


「ほほう。それで」


「マギアの小さなアジトをいくつかリストアップしてください。それと何人かテレビ記者を雇っておいてください。私の名前を出せば食いつくはずです。」


「なるほど……記者達に過程と結果を撮らせて、世論を揺さぶるわけか。」


「そういうことです。私は私の準備があるので、リストアップした後に、記者達の準備ができたら所定の位置に行ってもらってください。」


「準備とは?」


「他にも実績は欲しいですから」


 数時間後、鉋の携帯にメールが届く。内容は準備ができたとのことだ。

 添付ファイルに判明している小さなアジトの場所が記載されていた。

 また、テレビクルーの手配も完了し、あちらからも好感触であるとのことだ。


「すみません。電話で失礼しますね。メールでは伝えにくいことなんで。大丈夫ですか?」


「今は比較的に余裕がある。何がしたい?」


「全体に指示を出すので、よく聞いていてください。スピーカーでお願いします。まず、ターゲットはd-2地点のアジト。私の現在地はA2地点なのでその直線上に分かりやすく配置をお願いします。ここからそうですね……。3分もあれば着くので。」


「了解だ。その後は?」


「鎮圧後は流れでd-2地点を襲撃します。テレビクルーはそこを撮れるように配置していてください。安全を配慮して周囲の護衛をお願いします。」


「了解、検討を祈る。」


 よし、指示は飛ばせた。後は予定通りにやるだけだ。

 距離にしては大体3キロ程度か。ビルの上を走っていけばすぐ着くだろう。

 

――「キャーッ!!助けて!誰か!」


 甲高い悲鳴が聞こえる。悲鳴の主は真下のビルで男に捕まっていた。

周りには野次馬やその男を静止しようとしている者やスマホを構えている者たちが雑多している。


「近寄んじゃねえ!こいつがぶっ殺されてえか!」


 男は手にナイフを持っており、周囲を威嚇していた。周りの動きは男を刺激するだけだ。

 その様子に誰も手を出せなかった。唯一人を除いて。

 瞬きをするほどの一瞬でビルの上から雷が落ちるような衝撃が広がる。


 雷に撃たれた男はその場でバタリと倒れる。その衝撃を間近で受けた女性は無事なのかと周囲が心配すると、彼女は野次馬から離れた開けた場所に立っていた。

 

「大丈夫ですか?お怪我は?」


「あ……はい、大丈夫です!ありがとうございます!」


「いえ、お怪我がなくて何よりです」


 その時、ブーブーと、鉋の携帯が鳴る。


「すみません。私はこれで。」


 凄まじい速度で立ち去った彼女はその場にいた民衆の記憶にもスマホの記録にも残ったであろう。


 その足は先ほど指示していた地点へと足早に走っていた。

 ここからは使えるものは全て使ってやる。全てを巻き込んで私の理想通りにしてやる。


「d-2地点に着きました……。ここですか?例のアジトは……。」


 到着するやいなや先に現地入りしていたテレビクルーが集まる。あくまで彼らは消耗品として視聴率を上げるためのネタとして捉えたようだ。 

 

「おっ!来たぞ!来たぞ!話題の英雄少女ヒーローガールだ!」

 

 ディレクターと思わしき人物が鉋を指差し、カメラが鉋の顔を捉える。


「私がいいと言うまでここにいてください。中の殲滅を行ってきます。その後の取材はそちらの自由で大丈夫です。……ここはオフレコでお願いします。」


「おっ!見せ方を理解している感じ?いいね!使いやすい映像を頼むよ!数字が取れそうなヤツ。」


 にやりと薄ら笑みを浮かべながら、ネタと話している。


「それは中のもの次第ですね。この規模でしたら……。3分もあれば終わるので……。これを渡しておきますね。インカムです。これで殲滅が終わったら指示を出しますので。終わったのか?みたいな感じで入ってきてくれて構いませんよ。それじゃ――ここからは撮っていいですよ。」 


 出だしは最低限の出力で徐々にギアをあげていく、テレビカメラが追えるように徐々に速度を上げるように。そして、人を映していたカメラは線を映していた。

 そして、2分後インカムに応答があった。


「終わりました。少し掃除をするので少々待っててください。編集が大変になりそうですからね。」


「了解〜。いいね〜!扱いやすいよ!」


 数分後、テレビクルー達はそこにある宝の山に目を輝かせていた。

 そして、その日の特番にはデカデカと“テレビ初公開”と名前を出すだろう。

 そこには様々な物が置かれていた。

 恐らく上からの指示の記録や危険ドラッグに重火器や人身売買の記録などが発見された。

 悪の温床という言葉がお似合いな場所であり、クルー達はこれはこれはと周囲を隈無く探索していた。

 その様子を鉋は尻目にして見ていた。


 ちなみにその日の夜の特番の見出しはこうだった。

 【テレビ初公開!英雄少女が悪の組織解剖SP!!】


 この番組どころかテレビ局は数十年ぶりに20%を記録した。プロデューサー曰く今後もよい関係を築きたいとのことだ。

 私はそれによい返事を返したと思っているし、相手もそう思っているだろう。


 Xのトレンドにも――

#英雄少女

#マギア

#瞬殺 

#殺人以外の犯罪は全てやった

――などが埋め尽くされた。


 鉋は以降も順調に英雄活動を進めていった。世論は数日前と比べて好意的な意見が10%も増加するという傾向が見られた。


 ――そして、事件は起きる。

最近どっかの馬鹿が構造上では5話で終わるとかほざいてましたけど……。

そんな訳あるか!!

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