雉も鳴かずば
32話です。
コケッ。
「世界が壊れる?」
「俺たちの?」
急に何を言っているのだ?
突拍子のない話に理解ができない。
「そうだ、早くても後2日で完全に」
「え?」
「2日!?」
「……ちょっと待ってください」
話を飲み込めていない。
一度落ち着いて、話を一からしてもらうことになった。
「これを説明するには周波数が関係している、これを見てくれ」
躑躅森はリモコンを取り出し、二つの棒線が映ったグラフを見せてきた。
二つの棒線は微かにゆらりゆらりと動きながらも、平行に進んでいる。
「周波数は万物に存在している……これは地球のマントル辺りから発せられている周波数を可視化したものだ」
これが地球の周波数……。
ならばもう一つの棒線はなんだ……?。
「そして、以前から観測していた周波数と極めて酷似したものが同一の地点から観測された」
そう言いながら、もう一つの棒線を指差す。
「こいつが観測されたのは2週間前ほどだ……マギア君、これと同時期に起きたことは思い浮かぶかい?」
「『穴』だ」
マギアは鋭く答えを返した。
確かに、2週間前だ。
私とマギアが出会ったのも。
あの『穴』に出くわしたのも。
「『穴』……詳しい者曰く、こちらの周波数と、あちらの周波数が完璧に一致した瞬間に起こる反発による現象らしいね」
言われてみれば……空間のヒビである『穴』が起きるなら、それぐらいのことが起きているのは納得だ。
「マギア君は初期の『穴』を通ったんだよね……どうだった?」
「2回目、3回目に比べて、とても長かった」
思い返すと、2回目は3分程度、3回目は30秒程度だった覚えがある。
マギアが通った1回目の『穴』は分からないそうだが、確実に通過時間は短縮されている。
「そうか……やはり……これが2日前のものだ」
二つの棒線は動きが重なり始めている。
僅かなズレが残っているだけだ。
「以前と比べ、更に位相が一致している……通過時間も8秒程度だった」
グラフの棒線の重なりに比例して、通過時間が短くなっている。
「そして、後2日程度で周波数が完全に同一になる見込みだそうだ」
「……それが起きると、どうなるんですか」
疑問が口から飛び出した。
頭で考えても答えにたどり着かない脳は最適解を選んだ。
「完全に同一になる前に、僅かなズレの修整が行われる」
「ズレの修整……」
「何が起こるかは分からない……
予測されているのは二つの世界の融合……それがどのような形で起こるかも分からない」
「それが起きると予測されているのですか……」
「確定ではない……そんなことは起きず、今この瞬間に地球が無くなるかもしれない」
「俺たちに地球の崩壊は止められないぞ」
「分かっている……君たちには根源を止めてほしい……」
「根源?」
「そうだ……ここからは私の憶測でしかないのだが……」
思わずツバを飲む。
答えを求めている脳が反射で動く。
「この周波数にはいくつかおかしいところがある」
「おかしなところ……」
「それを解決してほしい」
「私たちにできれば……」
今か今かと、この部屋にいる人間が答えを待っている。
しかしこの部屋の人間は皆、答えを待てない。
「この事象は――」
――パスッ……――
後ろから聞こえた。
後ろにいるはずがない。
部屋から音が消える。
理解が置いてかれる。
「えっ……」
後ろを確認することもできず、声だけが出た。
気づけばマギアが近くにいた。
躑躅森は自身の手を眺めていた。
「ん?……なんだ、これは……」
削りの練習をしてました。




