かけてくれ
遅れ馳せ参じました30話です。
シンプルに時間が無かったです。
小説を書くときだけ限定の時止めが欲しいです。
1日ぶりの帰宅だ……。
前にヒューマ世界に落ちたときはこっぴどく叱られた……。
開ける手が躊躇する。
マギアをちらりと見ると、目を合わせてくれない。
以前は叱られた長さで言うと、マギアの方が長かった。
「ねえ……こっそりと入らない……」
驚いたような顔をした後にニヤッと笑ったマギア。
「そうだな……バレなければ……怒れない」
「いくよ……こっそりと」
「ああ……こっそりだ」
ガチャ……ギィ
そこにはおじいちゃんが座っていた……。
「遅かったな……まぁ……こっちに来い……」
怒られない!?何時もだったら開幕で怒号が吹き荒れるのに!
今日は機嫌がいい日なのか?
リビングに私たちが入るとドアが閉まる。
咳込んで声を入れる。
「よしっ……お前ら!!座れぇ!!」
やはり……駄目だった!
ーー1時間後ーー
やっと……終わった……。
ベットに全力で脱力する。
私が解放されても、マギアはかれこれ30分は怒られている気がする。
スマホを見て、メモに書いてある番号を見る。
連絡するにこしたことはないが、何をするにしてもマギアが居なくては話を進められない……。
私の答えは既に決まっている。
後は相手の出方次第だ。
ーー30分後ーー
ノックが鳴る。
「入るぞ、カンナ」
「良いよ入って」
マギアが神妙そうな顔つきをしながら入ってきた。
「緊張してるの?電話するだけなのに?」
少しムッときたのか、それでも普段通りに返してくる。
「そんなわけないだろ?それよりも分かりきった答えだったな、かけるんだろ?」
言われなくてもだ。
スマホを取り出し、番号を一つ一つ丁寧にタップしていく。
通話マークを押す際に指が止まる。
「カンナ?」
「何でもない……かけるよ!官房長官に!」
〜♫〜♫
「おおっ!まずは連絡をくれたことが素直に嬉しいよ、それでどんな用だい?」
フランクそうに聞こえるが、こちらの出方を伺っているようにも聞こえる。
ならば
「駆け引きは無しで……素直な取引をしましょう」
「ほう……それで、内容は?」
間髪入れずに頭に入れていた内容を繰り返す。
「私はあなたが知っている情報を全
て聞く」
「私の得は?」
「私たちと直接話せることです」
「そして、私たちを見て判断できることです」
「随分……大きく出たね」
「私たちと話したいのは、あなたですよね」
「……それもそうだね」
ここまでは想定内……。思っていた内容をメインにできている。
「日にちはどうする?私は何時でもいいよ、時間なら作れる」
「明日でもいいです、早い方でお願いします」
食い気味に答えたが、違和感はないだろう。
「それでは……明日の15時30分にしよう、迎えは君たちの家の前に送ろう」
「目的地は車内で聞いてくれ」
目的地が分からないのは大した問題ではない……。
もしもの武力ならマギアも私にもある。
「話はまとまったね、他に聞きたいことは?」
聞きたいこと……そう思えば……
「私たちと……なぜ話したいのですか?」
電話越しに笑い声が聞こえる。
「それは……ヒューマを信じているからだ」
ヒューマを信じている?
「ヒューマを使いこなす者たちを信じてるのだよ……」
「それは……純粋すぎませんか?」
「私は性善説信者なんだよ」
「これは……賭けだよ……私の信じる者たちへの」
「それに私の勘もそう言っている」
「……そうですか……ありがとうございます」
「そうかい、それでは……また後日」
ーープツッーー
後日、私たちは何かあった場合の準備を終わらていた。
マギアの大剣の整備。
私のヒューマの充電。
これから何をするかをおじいちゃんに説明をして、許可を貰った。
マギアとは個別で何か話をしていたが、私を守れよとかそのような話だろう。
昨日マギアを叱りすぎたのか声もかすれていた。
無理をしないといいのだが……。
そうしている間に時間はきた。
〜♫〜
インターホンから音が鳴る。
時間的にも迎えが来たようだ。
「じゃあ……行ってくるね!おじいちゃん!」
「……」
返事がない……変なところで無愛想な人だ。
ドアを開けると、黒服のスーツの若いお兄さんがいた。
お兄さんの後ろには分かりやすい高級車があり、運転手も乗っている。
「加羅木鉋様とマギア様の在宅ですね」
お兄さんは続ける。
「私、躑躅森先生からご指示を受けた者です」
車のドアを空けて誘う。
「車にお乗りください先生がお待ちです」
それから、30分ぐらい車道を走っていたのだろう。
向かい先はマンションらしいが……。
そんなことよりもマギアが駄目そうだ。
乗り物系は試したことがなかったのだが、こんなにも酔うとは驚きである。
「ゔぅぅ……かんな……」
「外を見ててね……少しは楽になるから……」
「すみません……マギア様、もう少しで着きますので、ご辛抱ください」
どうやら着いたようだ。
マギアが我先に外に飛び出し、地面にへばりつく。
「揺れない地面がある……うゔぅ」
ほっといたらもとに戻るだろう……。
それよりもこのビルだろうか?
「ここですか……どのフロアが」
「全てです」
「えっ?」
「このビルは躑躅森先生が若かりし頃にご購入されたものです」
「ここ……いえ、ここら全てのビルは躑躅森先生の研究のために使われていました」
「へ、へぇ~……」
「で……でかいなぁ、かんな……」
ほら、少しの時間を置けばましになっている。
「こちらにお乗りください」
エレベーターの最上階のボタンを押し、すごい速度で駆け上がっていく。
そして最上階。
お兄さんがチャイムを鳴らそうと前に出ると、ドアが空いた。
そこから出てきたのは見覚えのある、昨日ホログラムで見た人物その人だ。
「時間通りだね!よく来てくれた!さあ、リラックスして……マギア君?大丈夫かい?」
「だい……だいじょうぶです……」
「少しだけ、ゆっくりさせたら戻ると思うので……」
「そうかい、では……ここにかけてくれ」
目の前にある椅子は、見たこともないほど豪華だった。
マギアはそれにへたり込む。
すごく高そうだし、マギアはそれによだれを垂らしている。
請求とかされないだろうか……。
思わず息を飲む。
「し、失礼します……」
キャラの名前と年齢とざっくり詳細
躑躅森誠一52歳
厚生労働省勤めのお偉いさんです。
角谷四十郎37歳
自衛官上がりの研究員です。
『対特』の隊長兼あの施設の研究者の総括でもあります。
加羅木佐助74歳
カンナの祖父です。奥さんは10年前に亡くなり、息子夫妻は6年前の事故で2人とも亡くなってからは、カンナと2人暮らしです。




