【28】三日坊主の読経と王宮魔法部のイケメン
すごい、続いている。
ずっと三日坊主の読経が聞こえているのにです。
「其~れ~見~た~事か~」
般若心経の冒頭を思い出してください、あのリズムでお願いします。
もう本当に人としてどうか?というくらいに、
立てた予定をこなしていく実力がありません。
食器棚の抗菌シートはロールのまま今も立っています。
ロールから「この場所の永住許可」を要求されそうなくらいに、
もう、その場所が定位置になっています。
書籍化する小説の校正や書き下ろしは、
人間生活(食べる、寝る)より最優先にしています。
手帳に鉛筆マークのシールを貼って
「〆切 ♡ 」なんてやってはいけないと知っています。
これまで〆切を守れなかったことはありません。
〆切よりもっと早く出し続けています。
これにはコツがあります。
「朝食+2,000字」
「昼食+2,000字」
「シャトレーゼのアイス+3,000字」
「夕食+2,000字」
食前酒ならぬ、「食前字」です。
書いたり校正したりしないと食事にありつけないなら、やります。
東日本で5番目くらいにオノレを知っています。
この方法ならものすごくきちんと結果を出します。
これを人には言わないほうがいい、以外に問題点はありません。
そろそろ嫌な空気が流れています。
私が、この世で何よりも苦手とするアレがやってきます。
その邪悪なものの正体は……。
「衣替え」
洗って片付けなければならない季節はよく雨が降ります。
今も降っています、最近ずっと。
何袖を着ればいいのか分からず、着ても違う気がして。
半袖半袖半袖長袖半袖長袖
みたいな毎日でいつ半袖を片付けろというのか。
カラっと乾かしてからしまい込みたいのに
なんかこう部屋の隅で「じわぁ……」と乾いていく。
「まだ畳まない!そこで下がっていろ!」と言ってやるのです。
そのうち服を吊るしたハンガーだらけになります。
半袖半袖半袖長袖半袖長袖の、半袖だけをうまく優先して乾かして片付ける。
不織布の袋の中に畳んで納めて、ふうと額の汗を拭うと
洗濯籠の中に「まだ洗ってもらっていません」ヅラした半袖が。
「オノレ、半袖……」
これを先の不織布の袋の中に入れるのを放置して、
薄手の長袖が先に入ったりします。
そんな中で、Nクールのシーツやカバーが何か言いたげにこっちを見ています。
言いたいことがあるなら言えばいいのに、彼らは先輩を使うのです。
「ああ、まだやらないね。おれなんか7年もここから見てるんだけどさ。今やろうと思ってたのになんて小5男子くらいしか言わないのに、平気で言うしね。しかもそれすら言わなくなる。期待してはダメだよ、来年の5月になれば思い出すって」
食器棚の抗菌シートロール先輩です。
でもたぶん、私だけではないと思うのです。
趣味:衣替え
という人がもしこの世に存在していたら聞いてみたいです。
「衣替え」との平和的共存は可能なのかどうか。
食事の前にやればいいような気がしますが、その小さな席は
譲れないものが座っているのでダメなのです。
なんかこう画期的な魔法があるはずです。
王宮所属の魔法部署にいる、実は高位貴族の三男くらいの
前髪が長くけだるい雰囲気の『前髪上げたら実はイケメン』が、
全部魔法で解決してくれる気がしています。




