【2】食器棚の抗菌シート
持久力はありませんが、最初は飛ばします。
食器棚に敷く抗菌シートを買いました──7年前くらいに。
ロールになっていて、幅は合わせて買ったので、
ただ敷けばいいのですが、敷いていません。
台所の目立つところに立てて置いてあります。
まだ敷いていません。
7年前といえば、コロナ禍より前です。
その頃生まれた子供がいれば小学生です。
そろそろ柿も実をつけようかというほどです。
何故私はロールのまま置いているのか。
見るたびに、ほぼ毎日「ああ、やらないとなぁ」と思っています。
でも、抗菌シートを敷くには、食器棚のすべての食器を出して、
セスキを吹きかけて掃除して、
それからシートを敷いて、また食器を戻す。
これをやらなくてはなりません。
行程を考えると、重い腰にコンクリートブロックが装着されるようです。
7年も経つと、『何故敷けないのか、抗菌シート』という
小説を考えたりします。
ジャンルはホラーあたりがいいかなとか考えたりします。
見えざる手が、抗菌シートを掴もうとする私の手首を押さえ──
抗菌シートの外装フィルムの端がやや茶色に変色しています。
ここで東日本の2,005人くらいの人が、
『それ、まだ抗菌が有効だと思っている?』と言う気がしています。
抗菌の賞味期限──賞味はしません、有効期限てどれくらいなのでしょうか。
7年、は無理そうです。
もう抗菌していないと思われる抗菌シートは、ただのロールだと思われます。
もっと長ければスポーツチャンバラに使えたかもしれませんし、
もっと硬ければ腰の下に入れてゴロゴロとコリを解せたかもしれません。
とても残念です。
もはやどうすればいいのか分かりません。
毎日視界には入っています、食器棚の抗菌シート。
『どうするんだよ、敷くのか敷かねぇのか』
そう、あのロールに責められているようです。
いや、そんな柄の悪いロールではありません。
本来、抗菌という仕事を真面目にするロールなのです。
『まさか棄てるのか……』
ちょっとハッシュタグに「バッドエンド」が要るかもしれません。




