第26話 静かな机で、少しずつ
日曜日の午前。
水戸の街は、平日の朝とは少し違う顔をしていた。
通学の自転車が列を作るわけでもなく、制服姿の生徒が急ぎ足で駅へ流れていくわけでもない。
駅前のバス停には、買い物へ向かう人や、親子連れ、年配の人たちがゆっくりと並んでいる。
空はよく晴れていた。
けれど、日差しはもう春というより初夏に近い。
歩道の端に落ちる影が、少し濃くなっている。
横田なつきは、鞄の肩紐を両手で握りながら、市立図書館へ向かって歩いていた。
中間テストまで、あと少し。
今日は休日の図書館勉強会。
メンバーは、なつき、遠山茜、伊藤亜衣、大國春樹、板倉紅秋、三浦圭。
いつもの勉強会組。
島中良と田辺守はいない。
それだけで、なつきの胸は少し軽かった。
もちろん、テストへの不安はある。
簿記も数学も、まだ完璧ではない。
でも今日は、邪魔される心配をしなくていい。
空き教室へ向かう途中のように、誰かに場所を聞かれる緊張もない。
休日の図書館。
静かな机。
そこに、春樹がいる。
そう思うだけで、不安とは別の緊張が胸に生まれる。
昨日、茜の家で話したことを思い出す。
篠崎美優を見ると自信がなくなること。
春樹と美優の昔からの距離が怖いこと。
自分には何もないように思えてしまうこと。
茜は、なつきの話を遮らずに聞いてくれた。
そして言った。
昔からの距離と、今から作る距離は違う。
もう始まっている、と。
その言葉は、今日になってもなつきの中に残っていた。
今から作る距離。
今日の勉強会も、そのひとつになるのだろうか。
そうだったらいい。
なつきは図書館の前で一度立ち止まり、深呼吸した。
大きな建物のガラスに、空と街路樹が映っている。
入口の自動ドアの向こうには、静かなロビーが見えた。
少し早く来すぎたかもしれない。
そう思いながらスマホを見る。
集合時間の十分前。
まだ誰も来ていないかと思った、その時。
「なつき」
後ろから声がした。
振り返ると、茜がいた。
休日の私服姿。
淡い色のブラウスに、落ち着いた色のスカート。
学校の制服とは違うのに、やっぱり茜らしく整っている。
「茜ちゃん」
「早いわね」
「茜ちゃんも」
「遅れるのが嫌だから」
「分かる」
なつきは少し笑った。
茜はなつきの顔を見て、ほんの少し目を細める。
「昨日より顔が軽い」
「え?」
「少しだけね」
「……うん。昨日、話せたからかも」
「そう」
茜はそれ以上深く聞かなかった。
でも、その短い返事が優しかった。
「今日は頑張る」
なつきが言うと、茜は頷いた。
「頑張るのはいいけど、焦らないこと」
「はい」
「分からないところを分からないままにしない」
「はい」
「大國くんの前で変に固まらない」
「それは難しい」
「努力しなさい」
「はい……」
茜の現実的な注意に、なつきは苦笑した。
すると、少し離れたところから明るい声が飛んできた。
「おーい、朝から先生みたいな空気出てるぞー」
三浦圭だった。
片手に鞄、もう片方にはコンビニで買ったらしいペットボトル。
私服姿でも、三浦は三浦だった。
少しラフなTシャツに、動きやすそうなパンツ。
髪はいつもより少しだけ跳ねている。
「三浦くん、おはよう」
なつきが言うと、三浦はにっと笑った。
「横田、おはよう。遠山さん、おはようございます」
「なぜ私だけ敬語?」
「朝の委員長感が強かったので」
「今日は委員長ではない」
「休日委員長」
「やめて」
三浦は笑いながら近づいてきた。
そのすぐ後ろから、亜衣も現れた。
「おはよー。眠い」
第一声がそれだった。
亜衣はカジュアルな服装で、髪も少しだけいつもより柔らかくまとめている。
休日の亜衣は、学校より少し力が抜けて見えた。
「亜衣ちゃん、おはよう」
「なつき、おはよ。茜も三浦も早いね」
「亜衣が時間通り」
茜が言う。
「褒めて」
「普通」
「厳しい」
三浦が頷く。
「遠山さんの普通はハードル高い」
「あなたたちの普通が低いだけ」
「朝から強い!」
笑いが起きる。
図書館の前で大きく騒ぐわけにはいかないから、声は自然と控えめだった。
それでも、空気は明るい。
なつきは少しだけ安心した。
このメンバーでいると、不安が薄まる。
そこへ、最後の二人が来た。
板倉紅秋と、大國春樹。
紅秋は落ち着いた私服で、手にはノートとファイル。
春樹はシンプルなシャツに、軽い上着。
学校の制服ではない春樹を見るのは、まだ少し慣れなかった。
交流会の時にも見たはずなのに、今日の方が静かな分、余計に目に入ってしまう。
なつきは一瞬だけ息を止めた。
大國くんだ。
休日の。
私服の。
普通に歩いてくるだけなのに、胸が鳴る。
「おはよう」
紅秋が言った。
春樹も短く続ける。
「おはよう」
「おはよう、大國くん」
なつきは何とか普通に返した。
春樹は頷く。
「荷物、多い?」
「うん。ちょっと」
「簿記?」
「簿記と数学と英語と……あと本」
「本?」
「借りてるやつ」
言ってから、なつきは少しだけ照れた。
春樹はその本が何かすぐに分かったようだった。
「読んでる?」
「少しずつ」
「そっか」
それだけ。
でも、なつきには十分だった。
茜の言葉が胸の中で静かに響く。
今から作る距離。
本の話も、その一つ。
「入ろう」
紅秋が言った。
「席、空いてるうちに取った方がいい」
「さすが板倉、計画性」
三浦が言う。
「休日の図書館は混むから」
「現実的」
「勉強しに来たからね」
「はい」
三浦は素直に返事をした。
六人は図書館へ入った。
自動ドアが開くと、外の音が少し遠くなる。
ロビーには、紙と木の匂いが混ざったような、静かな空気が流れていた。
受付の横を通り、学習スペースへ向かう。
休日の図書館には、すでに何人かの学生がいた。
参考書を開く高校生。
ノートパソコンを使う大学生。
親子で絵本を選ぶ人。
新聞を読む年配の人。
それぞれが、自分の時間を静かに過ごしている。
三浦は入口で声を潜めた。
「やばい。すでに静寂に負けそう」
「早い」
亜衣が小声で突っ込む。
「図書館って、存在だけで圧ある」
「三浦くん、今日は静かに」
茜が言う。
「はい」
「返事も小さく」
「はい……」
三浦の小声が、逆におかしくて、なつきは笑いそうになった。
でも図書館だからこらえる。
六人は学習スペースの奥に、まとまって座れる席を見つけた。
大きな机を挟んで三人ずつ。
片側に、茜、なつき、亜衣。
向かい側に、紅秋、春樹、三浦。
空き教室の時と似た並び。
また、なつきの向かいは春樹だった。
偶然なのか。
それとも誰かが自然にそうしたのか。
分からない。
でも、向かいに春樹がいるだけで、なつきの心臓は少しだけ速くなる。
春樹は気にした様子もなく、問題集を開いた。
その落ち着きが少し羨ましい。
紅秋が小声で今日の予定を確認する。
「最初の一時間は簿記。休憩を挟んで数学。最後に英語か暗記科目」
「休憩ある?」
三浦がすぐに聞く。
「ある」
「よかった」
「でも三十分後ではない」
「心を読まれた」
亜衣が小声で笑う。
「私も休憩は早め希望」
「亜衣も」
茜が視線を向ける。
「最初から休憩を考えない」
「はい」
なつきは問題集を開いた。
今日は簿記の総復習。
手形、売掛金、買掛金、試算表。
この数日で何度も見ている範囲だ。
最初は怖かった。
でも少しずつ、前より分かるようになってきた。
春樹に教わった。
茜にも見てもらった。
空き教室でみんなと解いた。
その積み重ねが、問題集を開く手を少しだけ軽くしている。
「なつき」
茜が小声で言う。
「昨日やったところ、まず一問解いてみて」
「うん」
なつきは仕訳問題に取りかかった。
問題文を読む。
最後まで読む。
受け取ったのか、振り出したのか。
何が増えて、何が減るのか。
焦らない。
ノートに仕訳を書く。
借方。
貸方。
数字。
ゆっくり。
でも手は止まらない。
解き終わって、なつきは小さく息を吐いた。
「できた」
茜が確認する。
「合ってる」
「本当?」
「うん」
「やった」
思わず声が出そうになり、なつきは慌てて口を押さえた。
図書館。
小声。
隣で亜衣が笑いをこらえている。
三浦も向かいで親指を立てていた。
春樹がなつきのノートを見る。
「前より速い」
短い言葉だった。
でも、なつきの胸には大きく届いた。
「本当?」
「うん」
「昨日、茜ちゃんに見てもらったから」
「そう」
春樹は頷く。
「いいと思う」
いいと思う。
たったそれだけなのに、なつきの心はふわりと浮く。
でも今日は、昨日の茜の言葉がある。
舞い上がりすぎない。
でも、受け取る。
春樹が言ってくれたことを、ちゃんと自分の中に置く。
「ありがとう」
なつきは小さく言った。
春樹は短く返す。
「うん」
勉強は静かに進んでいった。
図書館だから、普段のように大きな声で冗談を言うことはできない。
でも、その分、六人の距離は少し違う形で近づいていた。
三浦は分からない問題を見つけるたびに、ノートの端に小さな顔を描いていた。
茜に見つかって、無言で消すように指示される。
亜衣は英単語の横に「無理」と書こうとして、紅秋に見られ、すぐに消した。
紅秋は全体の進み具合を見ながら、必要なところだけ短く説明する。
春樹はなつきや三浦が詰まると、問題文のどこを見るかを静かに指す。
なつきは、そのたびに少しずつ理解を積み重ねていった。
やがて一時間ほど経ち、紅秋が時計を見た。
「休憩しよう」
三浦が両手を上げかけて、図書館だと思い出してそっと下ろした。
「やった」
小声。
亜衣も机に伏せそうになり、茜に見られて姿勢を戻す。
「外のベンチ行かない?」
亜衣が小声で提案した。
「飲み物も飲みたいし」
「賛成」
三浦が即答する。
六人は荷物をまとめ、必要なものだけ持って図書館の外の休憩スペースへ移動した。
外へ出ると、さっきまでの静けさから解放されたように、三浦が大きく息を吐いた。
「しゃべれるって素晴らしい」
「大声はやめて」
茜が言う。
「はい」
「でも、確かに図書館って緊張する」
亜衣がペットボトルを開けながら言った。
「静かすぎて、自分のシャーペンの音が気になる」
「分かる」
なつきも頷く。
「でも集中できた」
「なつき、今日調子いいよね」
亜衣が言う。
「そうかな」
「うん。昨日何かあった?」
なつきは一瞬、茜を見る。
茜は何も言わず、麦茶を飲んでいた。
なつきは少しだけ笑った。
「茜ちゃんに、勉強見てもらった」
「あー、なるほど。茜式特訓」
「そんな名前はない」
茜が言う。
三浦が少し震えるふりをした。
「遠山式特訓、名前だけで強そう」
「三浦くんも受ける?」
「今日は遠慮します」
「テスト前なのに?」
「明日お願いします」
「逃げた」
亜衣が笑う。
空気が軽くなる。
なつきはその笑いの中で、少しだけ春樹を見た。
春樹はベンチの端で飲み物を飲んでいる。
紅秋と何か短く話していた。
その横顔は静かで、休日の光の中でもいつも通りだった。
なつきは、昨日の茜の言葉をもう一度思い出す。
大國くんは、なつきを見ていないわけじゃない。
見ていないなら、そんなことはしない。
春樹が自分をどう思っているかは分からない。
でも、完全に見えていないわけではない。
今日だって、前より速いと言ってくれた。
それだけで、十分嬉しい。
なつきは少し勇気を出して、春樹の方へ声をかけた。
「大國くん」
「うん」
「さっきのところ、前よりできてた?」
「できてた」
「本当に?」
「うん」
「どこが?」
聞いてから、なつきは少し驚いた。
前なら、褒められても「本当?」で終わっていた。
でも今は、どこができていたのか聞けた。
春樹も少しだけ考えて答える。
「問題文を最後まで読むようになってる」
「うん」
「あと、受け取ったか振り出したかを最初に確認してる」
「うん」
「だから迷いが減ってる」
迷いが減ってる。
その言葉が、勉強だけではなく、心にも響いた。
迷いはまだある。
春樹のことも。
美優のことも。
自分のことも。
でも、少しずつ減らせるのかもしれない。
問題文を最後まで読むみたいに。
焦らず、ひとつずつ確認していけば。
「ありがとう」
なつきが言うと、春樹はいつものように頷いた。
「うん」
亜衣が少し離れたところから、そのやり取りを見ていた。
からかわない。
ただ、少しだけ目を細める。
昨日、春樹と美優と蓮の距離を見た亜衣は、なつきが知らないものをひとつ持っている。
でも今日は、それを口に出さない。
今のなつきには、この小さな前進が必要だと思ったから。
休憩の後、勉強会は数学へ移った。
図書館へ戻る時、三浦は「今度こそ数学と和解する」と宣言した。
茜に「まず問題を読みなさい」と言われ、亜衣に「和解交渉はそこから」と続けられた。
席に戻り、再び静かな時間が始まる。
数学は、なつきにとって簿記とは違う難しさがあった。
文章題。
式を立てる。
途中で何をしているのか分からなくなる。
それでも今日は、一人で止まらなかった。
茜に聞く。
紅秋に確認する。
春樹に、問題文の読み方を聞く。
そのたびに、少しずつ進む。
三浦は最初こそ苦戦していたが、紅秋の説明を受けると意外と理解が早かった。
「三浦くん、飲み込みは悪くない」
紅秋が言うと、三浦は目を輝かせた。
「板倉に褒められた!」
「ただし集中が切れるのが早い」
「追加攻撃!」
「事実」
亜衣は英語の本文訳で苦戦していた。
「この文、長すぎない?」
「関係代名詞」
春樹が短く言う。
「関係しすぎ」
「切って読む」
「人生みたい」
「違う」
小声のやり取りに、なつきは笑いをこらえた。
図書館での勉強は、静かだけれど退屈ではなかった。
学校の空き教室とは違う。
家とも違う。
周りにも勉強している人がいる。
その中に、自分たちもいる。
中間テストへ向けて、同じ机を囲んでいる。
そのことが、なつきには少し嬉しかった。
午後が深まる頃、最後の確認が終わった。
紅秋がノートを閉じる。
「今日はここまでにしよう」
三浦が静かに机へ倒れた。
図書館なので声は出さない。
でも全身で疲れを表現している。
茜がその背中を軽く見た。
「寝ない」
三浦は無言で親指を立てた。
亜衣も伸びをしながら言った。
「やった感すごい」
「実際やった」
紅秋が言う。
「簿記はかなり進んだと思う」
「ほんと?」
亜衣が聞く。
「うん。少なくとも昨日よりは」
「その言い方、現実的だけど助かる」
なつきも自分のノートを見た。
ページが埋まっている。
間違いもある。
赤ペンの修正もある。
でも、空白ではない。
できなかったところに、ちゃんと向き合った跡がある。
それが嬉しかった。
帰り支度をして、六人は図書館を出た。
外は夕方に近づいていた。
午前中の強い日差しは少し柔らかくなり、風が涼しくなっている。
「疲れたけど、ちょっと安心した」
亜衣が言う。
「分かる」
なつきも頷いた。
「テスト、まだ怖いけど」
「怖いのは正常」
茜が言う。
「怖くなくなったら油断」
「茜の言葉、いつも逃げ道を塞ぐ」
三浦が言う。
「逃げないためよ」
「ありがたいけど怖い」
紅秋が笑う。
「明日は各自復習。明後日、学校で確認しよう」
「了解」
三浦が敬礼する。
「敬礼しなくていい」
「はい」
それぞれが駅やバス停へ向かう流れになった。
なつきは鞄を持ち直し、春樹に声をかけるか少し迷った。
今日のお礼。
簿記のこと。
本のこと。
何か言いたい。
でも、言葉がうまく出ない。
すると、春樹の方から言った。
「横田さん」
「はい」
「本、無理に進めなくていいから」
「え?」
「テスト前だから」
なつきは一瞬、胸が温かくなった。
本のことを覚えてくれていた。
しかも、無理に進めなくていいと言ってくれた。
「うん。でも、少しずつ読んでる」
「そっか」
「テスト終わったら、ちゃんと感想言うね」
「うん」
春樹は少しだけ頷いた。
「待ってる」
その言葉。
図書室でも聞いた。
でも、今日の「待ってる」は、夕方の図書館前で聞いたせいか、また違う響きがした。
なつきは胸の奥が静かに熱くなるのを感じた。
「うん」
それだけ返すのが精一杯だった。
茜が少し離れたところで待っている。
亜衣はなつきを見て、にやけそうになるのを我慢していた。
三浦は何かを察したのか、わざと空を見上げていた。
紅秋は気づいているのかいないのか、淡々と帰り道の確認をしている。
なつきは小さく息を吸った。
今から作る距離。
今日も、少しだけ作れた気がした。
美優のような昔からの距離ではない。
蓮のように長い友達の距離でもない。
でも、なつきにはなつきの距離がある。
本を読んで、感想を言う距離。
簿記を教わって、前よりできたと言ってもらえる距離。
テスト前に、同じ机で勉強する距離。
それはまだ細い。
でも、確かにある。
帰り道、なつきは茜と並んで歩いた。
「今日、少し進めた気がする」
なつきが言うと、茜は頷いた。
「勉強?」
「勉強も」
「他は?」
なつきは少しだけ笑った。
「いろいろ」
「そう」
茜はそれ以上聞かなかった。
でも、分かっているようだった。
「なつき」
「何?」
「昨日言ったこと、覚えてる?」
「うん」
「今から作る距離」
「覚えてる」
「今日も作ってたわよ」
なつきは足を止めそうになった。
茜を見る。
茜は前を向いたままだった。
「そうかな」
「そうよ」
「……うん」
なつきは頷いた。
胸の中に、小さな灯りがともる。
テストはまだ終わっていない。
恋もまだ何も始まっていないのかもしれない。
でも、なつきの中では確かに何かが進んでいる。
少しずつ。
本当に少しずつ。
駅へ向かう道の先で、夕方の空が薄く色づいていた。
なつきは鞄の肩紐を握り直す。
中には、今日埋めたノート。
春樹に借りた本。
そして、またひとつ増えた春樹との言葉。
待ってる。
その言葉を胸に置きながら、なつきは静かに歩き出した。
中間テスト前の休日。
ただの勉強会だった。
でも、なつきにとっては、また少しだけ前へ進めた一日だった。




