第三投:儂がいなくとも
そして俺がゴウガイ先生の弟子になってから、5年の月日が流れた――。
「うむ、よかろう、合格じゃ。これで【地の型】は完璧に習得したな」
「ほ、本当ですか!」
18歳になった俺は、遂にゴウガイ先生から、ゴウガイ流合気道における基本の型である、【地の型】をマスターしたとお墨付きを貰ったのである。
嗚呼、ここまで本当に長かった――。
入門して半年でブラッドリー先輩をはじめとした兄弟子がみんな出て行ってしまい、弟子が俺一人になってしまった時はどうなるかと思ったが、今日まで辛い修業に耐えてきて、本当によかった――!
「では次はいよいよ、【天の型】の修業に移る。後は【天の型】さえ習得すれば、晴れて免許皆伝じゃ」
「は、はい! 頑張ります!」
よおし、これでまた一歩、ゴウガイ先生に近付いたぞ!
「ホッホ、よきかなよきかな。…………む!?」
「……え?」
その時だった。
ゴウガイ先生が胸を押さえながら、ブルブルと震え出した。
ゴ、ゴウガイ先生……!?
「――ガハッ」
「ゴウガイ先生ッ!!?」
ゴウガイ先生が赤黒い血を吐き出し、その場に崩れ落ちた。
「ゴウガイ先生ッ!! ゴウガイ先生ええッッ!!!」
慌ててゴウガイ先生を抱きかかえる。
ゴウガイ先生はまるで死人のように、顔色が真っ白になっていた。
あ、あぁ……!
「……ホッホ、どうやらここまでか。……すまんなジェイク。お主に合気道を教えてやれるのは、ここまでのようじゃ」
「そんな……! ゴウガイ先生……!! 逝かないでください先生ッ!」
俺を独りにしないでください、ゴウガイ先生……!
「……ホッホ、大丈夫じゃジェイク。お主ならきっと儂がいなくとも……、世界最強の……、男……に……」
「――!」
ゴウガイ先生はとても安らかなお顔で、眠るように目を閉じた――。
「ゴウガイ先生ええええええええええええええ」




