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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第12章 その男【服部半蔵】

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やはり<かなめ>は<かなめ>だった

 これまで俺が学んだ歴史からだと、いよいよ信長様の目的でもある【天下布武】の第一歩が始まる予感がビンビンと伝わっていた、信長様の京上洛…その前に立ちはだかる【六角家(ろっかくけ)】はすでに信長様の敵ではない…となれば、どうやってあの【足利義昭(あしかがよしあき)】を将軍の地位にさせるのか、その手腕が最大の見どころなのだが…。


(間違いなく信長様は俺に宿題を押し付けてくるはず…まさか今度の相手は【足利義昭(あしかがよしあき)】か!)


「おぉ、そうじゃったの…巽殿(たつみどの)殿(との)からの伝言なのじゃが「巽は美濃に戻り次第、城へ馳せ参ぜよ!」だったかの~……で、で、<かなめ>ちゃんはいくつなのかなぁ~❤」


「て、滅茶苦茶大事な伝言じゃないですかーー!!それに、もう夕飯の時間だし、これから城に向かっても完全に深夜ですよ!」


「だって、わしには関係ないお役の話だしぃ~…まぁ今日の夜に戻った事にすればいいではないか♪にしても…ウヒ、ほんに<かなめ>ちゃんは、めんこいのぉ~❤」


「やだ~、そんな事を言ってくれるのは、藤吉郎様だ・け・で・すぅ~♪」


(たく、この色ボケおやじ!)


 俺が背中の痛みに耐えながら虚脱感に襲われていると、障子の向こうから<おねちゃん>の藤吉郎様を呼ぶ声が聞こえた。

 その瞬間、藤吉郎様の顔からスケベな笑みが消えた!。


<ちょっと、いつまでたっちゃんの部屋に居るつもりだい?今夜は<かなめ>ちゃんの歓迎会なんだから、あんたもその準備を手伝いな!でないと、分かってるね?>


「ひっ!す、すぐに行きます!では<かなめ>ちゃん…また後での❤」


「どれ、拙者も藤吉郎殿(どの)の手伝いをするといたしますか…」


 こうして藤吉郎様と竹中様は俺の部屋から出ていくと、いきなりこの部屋には俺と<かなめ>二人きりになってしまった…出来れば<かなめ(コイツ)>も早々に俺の部屋から出て行ってもらいたいのだが…何故なら<かなめ(コイツ)>と一緒に居たら、またろくでもない事ばかり起こりそうな気がしてたまらないからだ。


「ふえぇ~~~…疲れましたわ~……本当に破廉恥オヤジのお相手は大変ですわね…あ~んなお猿顔(さるがお)で格好をつけられても、所詮お猿はお猿ですわ…まだ赤城山の猿の(ほう)が可愛げありますわね…」


(あ、本当の<かなめ>に戻った…)


 藤吉郎様達が部屋から出てすぐに<かなめ>は正座の姿勢を崩し、両足を伸ばしてくつろぎ始めた…その姿は完全にだらけている、それも男性である俺の前でだ!。


(マジ<かなめ(コイツ)>、俺を成人男性として見てないな…親戚の少年か、近所のハナタレ小僧程度なのだろうか…)


「おい、くつろぐなら(かえで)さんの部屋に戻ってからくつろげよ!」


「え~~~、だって…姉様(あねさま)の前でこんな姿は出せませんもの…きっと「はしたないです!」って怒られますわ!だからここでくつろいでいるのですわ、はぁ~~、ふえぇぇ~~~♪」


 どうやら藤吉郎様との面談中<かなめ(アイツ)>は<かなめ(アイツ)>なりに神経を使っていたのだろう…ようやくそこから解放された安堵感が出たのか、自分の足の先から両肩までをゆっくりクネクネと動かしストレッチを始めたのだが…。


「あのな、お前…本当にはしたない姿だぞ…」


 そんな俺はつい右手の人差し指を伸ばしある場所を指摘した、なぜ俺がその様な行動に出たのか理解できなかった<かなめ>も、俺が指した場所へと自分の視線を送る。

 俺が指摘した場所…それはストレッチで着物の裾が淫らにはだけ、乙女らしい白い肌の右太ももが丸見えになっている場所なのだ!。


「……はっ!!……」


 それに気が付いた<かなめ>は急いで着物の裾を直すと、少し頬を赤らめながらもキツイ眼差しで俺を睨み付ける…正直に答えるとすれば、他の男子ならば目の保養になったかも知れないが、俺自身は<かなめ(コイツ)>に女性の色気を感じる事は一切無いと宣言する!。


「…おい【淳一】…さっきからずっと見ていましたの?」


「見えているんだからしょうがないだろ…だが安心しろ、俺はま~~ったく、お前には興味がないから…それに、お前が自分でだらしない姿になったからだろ?」


「くっっ!きょ、興味あるなしなんて関係ありませんの!それに…ど、どこまで見たのですか!ま、まさか…まだ姉様(あねさま)にも披露していない<かなめ>の可憐な【浄土(じょうど)】を!!」


「そこまで暗くて見えるかよ!【もも】の部分だけだよ!それほど気になるなら自分で警戒してろっ!…てか、今とんでもない事言ってなかったか?」


「さぁ~~、何の事でございましょ……ふふ、でも…いい事を思い付きましたわ♪」


 これまで<かなめ(コイツ)>と行動を共にして一度もいい事なんて無い…どうせろくな事じゃないだろうと、俺のシックスセンスが慌て始めている。

 そんな俺の気持ちを察したかのように、ヤツは不敵な笑みを浮かべ俺を見詰めた。


「ねぇ【淳一】今日から<かなめ>がくつろぎたい時は、この部屋を借りる事にしますわ♪」


「なんでそうなるんだよ!(かえで)さんの部屋でいいだろ!」


「ほんとにあなたは記憶する力が劣っておりますわね…先ほども申し上げた通り、だらけた姿を姉様(あねさま)に見せると怒られるからここでくつろぐのですわ!ま、息抜きというところですか♪」


「俺の自由な時間はどうなるんだよ!」


「心配いりませんわ【淳一】が留守の時に使わせてもらいますから♪」


 やはりろくでもない事だった…俺の留守中に<かなめ(コイツ)>が伸び伸びと俺の部屋を使う…もし俺がまだ高校生ならば、断固阻止をするのだが、この部屋には偶然<かなめ(コイツ)>に見られてヤバイ物はない…もしあったとすれば、それだけで俺の立場は終わる…。


(いや、そんな事を考えてどうする!ここは俄然、拒否だ!)


「あのな、男性が留守中に女の子が勝手にその部屋へ入っていいはずがないだろ!なんなら俺が(かえで)さんにこの件を相談してもいいんだぞ!」


 恐らく(かえで)さんの名前を出せば<かなめ(コイツ)>も引っ込むだろうと考えたが、やはり相手が悪かった…。


「あら?そんな強気に出てよろしいのですか?なら<かなめ>は【淳一】に着物の裾を捲られ恥ずかしい所を覗かれたと泣きながら皆様に打ち明けるまで♪」


「そ、それは勝手にお前がやった事で、偶然足が見えただけじゃないか!なにその意味深な言葉に変えているんだよ!」


「は・た・し・て…どちらの言葉を皆様が信じますでしょうか?…まずお猿さんは<かなめ>を信じてくれますわ♪男子はおなごの涙には弱いものですので♪」


「きったねぇ~~!わ、分かったよ…勝手にしろ!」


「はいですの❤」


 どうしても口では<かなめ(コイツ)>に勝てない…まず俺は、戦略や軍略よりも竹中様に【諸葛亮孔明】並みの弁舌スキルを学ぼうと心に決めた!。

 いつかこのムカツク小娘をぎゃふんと言わせるその日の為に!。


<お~~い、巽殿(どの)!<かなめ>ちゃんの歓迎会の準備が出来たから、食堂に来いと<おね>が言っておるぞぉ~!浩一殿(どの)も小一郎も帰って来たでな!>


 マジで歓迎したくない気持ちを殺し、俺は渋々<かなめ>を伴い食堂に向かった…俺のこれまでの人生でこんなに気分が乗らないパーティーは初めてだ…。




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