表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第12章 その男【服部半蔵】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
198/213

怒りの奥義

「む、これは……」


 完全勝利を確信していた【服部半蔵】だったが、(かえで)さんの言葉通り自分の(ころも)に視線を送ると、左右の袖が数か所切断されている事に気が付いた。


二十四(にじゅうし)曼荼羅陣(まんだらじん)…これは全方位防御の(かた)に見えるが、前方から後方に防御を切り替える一瞬、隙が出来る!私は何度も攻撃を繰り返しそれを見切った!」


「ふははは♪見切っただけではどうにもならぬわ!精々(せいぜい)この(ころも)の生地を切るのが貴様の限界…わしに致命傷を与える事などあり得ぬ!」


 あの二十四(にじゅうし)曼荼羅陣(まんだらじん)(かえで)さんに見切られたのだが、まだ【服部半蔵】からは「それがどうした?」と軽い言葉を彼女に出しそうなほど余裕の態度を見せていた。

 それはまだ彼が別の奥義を隠し持っている事を意味しているように俺は感じた。


「ならば、その限界の先を見せてやろう…覚悟せよ…【服部半蔵】……はぁぁぁぁ~~~!」


 (かえで)さんはずっと左手で握っていた(さや)を地面に落すと、まるで弓を射るような形で上段突きの構えをした!。

 だが、これまで彼女の【突き攻撃】はことごとく【服部半蔵】に交わされ、どう考えても一発逆転の技とは思えない…なのに、この場面でも彼女は【突き攻撃】の構えに入ったのだ。


「ふっ、怒りで頭がどうかしたようだな…愚かなり橘楓(たちばなかえで)!【突き攻撃】は一点の急所を狙う剣技、剣先の動きで容易に見切る事が出来るのは貴様も分かっておろう…」


「果たしてそれはどうかな?貴様の目の前に立っているのは毘沙門天の化身となった大和飛燕流(やまとひえんりゅう)伝承者である、それを身をもって知るがいい!」


「言うたな、橘楓(たちばなかえで)…ならば、こちらも奥義を見せてやろう…はぁぁぁぁ~~~…【伊賀(いが)九頭竜斬(くずりゅうざん)】…(かえで)、先に三途の川でこやつらが来るのを待っておれ!」


(まずい!先に【服部半蔵】が仕掛けた!)


 さすが鍛錬に鍛錬を重ねた伊賀の忍びである、あの(かえで)さんに負けず劣らずかなりの高速で彼女へ斬り込んだ!。

 その剣先の速さは正に九頭の竜が鎌首を上げて同時に襲い掛かってくるようだった。


「はぁぁぁぁ~~~………二十四(にじゅうし)曼荼羅陣(まんだらじん)!」


 ♪カンッッッ、カカッッン!カキーーン!


「むっ、貴様!わしの二十四(にじゅうし)曼荼羅陣(まんだらじん)で【伊賀(いが)九頭竜斬(くずりゅうざん)】を!」


 あまりの速さに俺も<かなめ>も何が起こったのか自分の目を疑った…確かに【服部半蔵】は凄まじい連撃を(かえで)さんに浴びせた…だが、彼女は怒りの表情のままその全てを愛刀で弾き返してしまったのだ。


「【服部半蔵】何故(なにゆえ)大和飛燕流(やまとひえんりゅう)が一子相伝なのか教えてやろう…それは始祖より(いのち)を賭けた苦行の成果と不屈の精神の全てを一人の子に遺伝させるためだ…例え私のようにおなごであったとしてもだ…その歴代の伝承者より受け継いだ秘奥義【同化鏡(どうかきょう)】は相手の動きを見切った(のち)、己の技として使う事が出来る…」


「ふ…やはり貴様は、怒りに任せ(やいば)を抜かなくては虎になれぬ未熟者か…まぁいい、それでこそ殺し甲斐があるってものよ…」


「死ぬのは貴様だ…【服部半蔵】…はぁぁぁぁ~~~!」


 (かえで)さんは目線を【服部半蔵】から外さぬまま、静かに自分の身体だけを正面向きから横向きに変え、手にしていた愛刀の(やいば)を空の方向に立たせ、刀の【()り】部分を自分の鼻の位置と水平になるまで上げ構える。


「ほう【(かすみ)の構え】か…まだ分からぬか、(かえで)…突き攻撃ではわしに通じぬと…」


「それは(おのれ)の身をもって知るがいい!…うぉぉぉーーー!!」


 今度は(かえで)さんが【服部半蔵】に向かって飛び込んだ!。

 その速さはこれまで見た速さと格段に違い、正に瞬きの如くである。。


 ♪カキーーーン!!


「やはり突きと見せかけて袈裟斬りに切り替えたか…甘すぎるわ、(かえで)!」


 またしても【服部半蔵】は軽々と(かえで)さんの攻撃をかわしたのだが、何故か(かえで)さんは驚くことも無く不気味にニヤリと笑みを浮かべたのだ!。


「ふっ、掛ったな!【服部半蔵】…大和飛燕流(やまとひえんりゅう)最終奥義【羅漢(らかん)百飛燕(ひゃくひえん)】!うぉぉぉぉーーーー!!」


「むっ!」


 ♪バシュ!バシュシュシュシュシュシュシューーー!!

 ♪カンッ!カカカカカカカーーーー!!


 (かえで)さんの攻撃を受け流し身体のバランスを崩した隙を付いて、彼女は無数の突きを【服部半蔵】へ発動させた!。

 初めに幾度も突きのインパクトを与えておき、一瞬袈裟斬りを見せてからの連続突きに切り替えた事で、さすがの【服部半蔵】でもこの時ばかりは防御するのが精一杯となった!。


「うぉぉぉぉっっーーーー!!」


 ♪バシュシュシュシュシュシュシューーー!!


(な、なんだ!か、(かえで)さんの刀を持つ腕が…何本にも見える!それに、あの【服部半蔵】が…ぼ、防戦一方になっている!)


「す、凄い…姉様(あねさま)…」


「でゃぁぁぁぁーーー!!」


「くっ、(かえで)…こ、こしゃくな…」


 ♪バシュ!バシュシュシュシュシュシュシューーー!!

 ♪カンッ!カッ、カカカカカカーーーー!!


(ん?)


 (かえで)さんの乱撃で【服部半蔵】の衣の生地が至る所で破れ始め、徐々に彼の両腕から血しぶきが飛び始めていく!彼自身も反撃の機会を(うかが)ってはいるものの、その圧倒的な剣戟の速さに防戦するのがやっとのようだ!。


「ぬおっ、こ、この様な奥義を隠していたとは……か、(かえで)!き、貴様ーー!…」


 ♪ドサッ!


 ついに【服部半蔵】が深く傷ついた自分の右腕を左手で(かば)いながら、彼は崩れるように左足の膝を地面に着いたのだ!。


(か、勝った…のか?)


「これで99撃目……次が最後の百だ!【服部半蔵】…貴様の命、もらい受ける!」


「ふ、好きにせい……」


 刀を振るう右腕が傷付いたのだ…もはや、まともに(かえで)さんの攻撃も受ける事が出来ないと悟ったのか、彼は静かに握っていた愛刀を地面に置いた。


「さらば!我が恩師【服部半蔵】!」


 (かえで)さんは恩師から視線を()らす事無く、ゆっくりと【突きの構え】に入った…。


(か、(かえで)さん…せ、殺生は…ダ、ダメだ…)


 ここは絶対に(かえで)さんを止めなくてはいけない…そう思っていても、背中の傷の痛みが邪魔をして大声を出すことが出来ない…ここは<かなめ>の出番だと期待したが、初めて本気になった(かえで)さんの殺人剣を見たからか、彼女も身体が恐怖で硬直し声を出せない状態だった。


(くそ、どうすれば…)


<やめてーーー!(かえで)ーーーー!!>


「…はっ、お、お(きぬ)!」


<止めるんだ!(かえで)ーーーー!!>


「きゅ、久兵衛(きゅうべい)?…」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ