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第十七章『確定』
救急車の音。
白い光。
誰かの声。
すべてが遠い。
「意識ありますか!」
娘の体が運ばれていく。
だが、わかっていた。
もう遅い。
なぜなら。
俺は、見た。
あいつの状態を。
“死に至る形”を。
確定させてしまった。
「……違う」
否定する。
まだ、生きている。
呼吸もある。
だから、まだ――
「相沢さん」
椎名の声。
「それは、“途中”です」
「……は?」
「死は、一瞬ではありません」
一歩、近づく。
「あなたが見たのは、“死に至る過程”です」
理解してしまう。
今の観測で。
“死ぬ未来”が固定された。
「やめろ……」
「もう、変えられません」
静かな宣告。
膝が崩れる。
救えたはずだった。
見なければ。
なのに。
見てしまった。
“確かめたかった”から。
それだけの理由で。




