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第2話


 どうして「自分を変える」という事が「隣国のブランド王国に行く事」に繋がるのか……それは偏に「自身の実家であるダイアー家がまだブランド王国では商売人としてあまり有名ではない」という点だ。


 シュタイン共和国で「ダイアー家」と言えば「かなり有名な商人と冒険者を有する家」として有名だった。


 それは今も変わらないのだが、当時は一番下の弟が所属している冒険者ギルドが高ランクの仕事を成功させた為、特に注目された。


 もちろん、前を向いて日々精進している少年に背中を押されたのもあるのが、そういった事情も重なり、今まで以上に何も実績を残せていなかったアルフにはかなり厳しい目が向けられていた。


 そうでなくても元々家族が自分。つまりアルフに期待をしているとは全く思っていない。


 そんな中、ブランド王国で一旗揚げられたら……なんて当時は淡い期待を持っていたのも事実だ。


「若かったなぁ。俺も」


 なんて思わず口に出してしまったが、そんな昔の話でもない。しかし、当時は本当にそんな事を考えていたのだ。


 ただ、当時のアルフにシュタイン共和国とブランド王国を結ぶ国境の検問所を通れるほどのお金はなかった。


 そこで無理を承知で俺のすぐ下の弟の冒険者ギルドの中に混ぜてもらって魔物が多数出ると言われる地帯を通ってブランド王国へ向かう事にした。


 今にして思うと、当時の弟としては「一番下の弟が注目されていて面白くない」と思っていたタイミングだったのだろう。


 そんな時にいつも下を向いている出来損ないの兄からこんな話を言われたら……まぁ「鬱憤晴らし」として「置き去り」をされたのも分からなくはない……と今となっては思う。


 アルフ自身も兄で周りから「出来損ない」と相当言われていたので気持ちは分からなくも……ない。


「でもまぁ」


 もちろん、そんな子供みたいなやり口に呆れはするがそのおかげでフェンリル様に出会う事が出来た。そこはあいつに感謝して……。


「いや、なんか癪だな。それも」


 どんな思惑があろうとも「置き去り」にされたのは事実だ。あの時は本当に「どうしよう」と頭を抱え、命の危機を感じ、浅はかな事を考えた自分を恥じた。


 ただ、偶然通りかかったフェンリル様に助けられた。


 そうして何とかブランド王国に辿り着き、そこで持って行ったあいつが作ったペンをものすごく気に入ってくれた方が全て購入してくれたおかげで帰りには検問所を通る事が出来た。


 そもそも通る事すら出来なかった事を考えると、初めてにしてはかなり上出来だった様に思う。


 しかし、たった1回で家族の評価が劇的に変わる……なんて事は一切なく、むしろ弟に頼んでブランド王国に行った事を咎められた。


 結果として「あ、この人たちに何を言っても無駄だ」とアルフは家族……いや、評価される事を自体を諦める事にしたのだった。

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