第4話
「まぁ良い。しかし『野菜』は……失敗だったな」
フェンリルはその時を思い出す様に「ククク」と笑う。
「ああ。ですがあれは……見方によっては成功? とも言える様な……?」
「これ! あまりこやつを甘やかすな」
「ハハ」
アルフの言葉にフェンリルは少し怒ったが、確かにアルフの言う通り「見方によっては」上手くいった……と言えるような?
ただ、あれを仮に市場などで見かけて「購入するか?」と聞かれてしまうと……リリーはきっと買わないだろう。それを踏まえて考えると、やはり「失敗」になのではないだろうか。
「あれは……まぁ失敗としか言いようがないわね」
「で、ですが味は申し分ありませんでしたよ?」
「それでもやっぱり『見た目』って一二を争うくらい大事な項目の1つだと思うのよ」
「それは……そうですけど」
リリーの指摘に、アルフは縮こまった。だが、これはむしろ「当たり前」とも言える事なのでアルフもそれ以上は言えない。
当初の予定では『野菜』も『薬草』と同じ様に栽培をし、両方売るつもりだった。しかし、この話が出た頃はまだ『野菜』の栽培を始めたばかりだった為、まさかこんな事になるとは思っても居なかったのだ。
「それに、たとえ商品として販売出来なくても私とフェンリルで対処しきれているから」
「ああ」
そう、何も無理をして『野菜』を売る必要はない。それこそ『薬草』の売り上げが良いのであればそちらに力を入れるのは至極当然の話だろう。
「しかし、あれは『見世物』としては大成功だったがな」
「た、確かに『見た目』のインパクトはすごいですけど」
アルフはリリーから「ここで出来た『野菜』も売ってもらいたい」と提案を受けた際に見せられた『野菜』を思い出した。
「あれだけ大きいと持って帰るのにも一苦労ですから」
育ち盛り食べ盛りのご家庭からしてみれば通常のサイズの二倍はあろうかと思われる『野菜』は大変ありがたいものかも知れない。
ただ、その大きさが故に「運搬の問題」から断念するしかなかった。
「むしろそれだけで味は普通だったのがいけなかったのかも知れないわね」
それに、味はいたって普通の『野菜』で、特別「美味しい」わけでも「不味い」というわけでもない。とにかく「普通」この一言だった。
ただ、どうしてその『野菜』がそこまで巨大化してしまったのかと言うと、偏に「この土地で栽培されたから」と言える。
そして、だからこそこの『野菜』には普通に売られている物にはない特性もあるのだが……。
「確かに、あの見た目にさらなるプラスアルファがあれば売れたかも知れぬ」
「そうね。出来れば味をもっと追及すれば……いいえ、それよりもやっぱり大きさが問題よね」
リリーが「まずはそこから……」と独り言を呟いていると……。
「え、それなら。あの『野菜』を食べたら風邪をひかなくなりましたけど……」
「それは……きっとあなたが健康に気を遣っているからじゃない?」
サラリと言うアルフに対し、リリーは信じられないといった様子で振り返る。
「いやいや、何も変えていませんよ。それに、ここ最近流行っている病にも効果があるみたいでこの間スラム街の人にこの『野菜』を干した物をあげたらそれを食べた人たちの病気も治りましたし」
「そうなの?」
これは紛れもない事実なのだが、どうにもリリーには信じられないらしく、半信半疑の様子だった。




