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公爵令嬢は悪役になってでも自由になりたい。  作者: 黒い猫
第2章 さて、これからどうしましょうか?
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第5話


「だが、あの『ミニマムフォーム』とやらは面白かったな」

「ああ、あれ」


 フェンリルの言う『ミニマムフォーム』とは、文字通り今のフェンリルの体を小さくした状態の事を指す。


 元々、フェンリルとグレートウルフではそもそも「体の大きさ」もかなり違う。


「そもそもあなたの体が大きかったっていう大前提があるのよね」


 そう、フェンリルの方が大きいのだ。


 しかし、いくら従魔を用いた授業が屋外でしかないとは言え、あまりにも大きすぎるとやはり嫌でも目立ってしまう。


「しかし、こればかりは我にもどうする事も出来ん」

「ええ、だから『あれ』を渡したのよ」


 リリーの言う『あれ』とは物体を小さくする魔法陣を施したペンダントの事である。それをフェンリルに付けたのだ。


 元々、従魔契約を結んだ魔物に各々自身の目印とも言える物を付けている生徒はそれなりに多く、目立つ事もなかった。


 もちろん、先生には最初に召喚した時より大きさが変わっている事について聞かれたはしたが、一応この事は伝え済みで、先生は不思議そうな顔をしつつも納得してくれた。


 それはどうしてか、実はこの「物体を小さくする魔法陣」が有効なのはあくまで『物体』であって『生物』には効かないという難点があった為である。


 それなのにも関わらずなぜフェンリルの体の大きさが変化したのか。それはリリーが独自にこの魔法陣を改良したから。


 先生が不思議に感じたのはその「難点」の為だろう。


 しかし、それ以上深く追及してこなかったのは元々この魔法陣があまり使われていなかったからに他ならない。


 そもそも汎用性が低く学ぶ優先度も低いため、この魔法陣そのものを知らないという人が少なくなかった。


「しかし、我の姿形が変わろうとも他の生徒どもの従魔は気づいておったぞ」

「……でしょうね」


 同じ「魔物」となればさすがにリリーが連れている従魔がグレートウルフではなくフェンリルだと他の従魔たちは気付いていたのだろう。


 しかし、残念な事に人語を理解する魔物はそれなりに多くとも、逆に人語が話せる魔物の数はそう多くない。


 つまり、彼らの「ご主人! あいつはグレートウルではありません! フェンリルです!」と言った切実な訴えが自身の主に届く事はなかったという訳だ。


「だが、1つ解せない事がある」

「何よ」


「確か、従魔は普段から連れていても特に問題はなかったと我は記憶してるが?」

「それはさっきあなたが自分で言ったでしょ? 姿形が変わっても他の従魔たちは気付いていたって。あなたの姿を見たらみんな委縮しちゃうでしょ?」


「むぅ、しかしだな」

「それに、学園生活は出来れば平穏でいたかったから下手に目立つ様な真似はしたくなかったのよ」


 確かに、フェンリルと一緒にいればきっと彼が周囲に目を光らせてくれていたはずだ。しかし、それではかえって目立ってしまう。


 特に最終学年の時は計画の遂行も相まって下手に注目される様な事は極力避けたかったのだ。

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