四魔姫・ベリアル9世
限界を超えた戦士と、本気の最強の四魔姫が、激突する。
「どぁだだだだだだッッ!!!」
「せりゃあああああッッ!!!」
「ぐぬ……ぐぐぐ……!!!」
凄まじいパワーアップを果たした二人の猛攻は、本気のベリアの防御を切り開こうとしていた。
「ずだだだだだだだ……!!!」
「はぁああああああ……!!!」
とてつもない、二人の超連続攻撃。それも、協調性ゼロのお互いを遠慮しない、お世辞にもコンビネーションとは言えない猛攻。それが、逆に彼女の防御をすり抜けていた。
「共闘では……ないッ!?」
「せいやぁあっ!!!」
ローレンスが、ベリアの腹へパンチする。それで、彼女は目を見開いて吐血した。
「ぐはぁあっ!?」
「ずぁあっ!!」
その胸へ、ジョーが蹴りを放つ。蹴り飛ばされたベリアは後退するも、ダウンしないように床に踏ん張った。
「はぁあああッッ!!!」
「砕けろォオオッッ!!!」
二人は、同時に顔面へのパンチを繰り出してくる。
「くっ!!?」
ベリアは腕をクロスしてガードするも、パンチの衝撃は殺しきれずに吹っ飛び、壁へ激突した。
「ぐぁあああッッ!!!」
二人は高速移動を繰り返し、ベリアに迫る。あっという間に彼女の眼前へ辿り着き、ローレンスは蹴りを、ジョーは拳を放つ。
「ッッまだまだァッ!!」
ベリアは目を見開き、二人に無数の気合砲を叩き込んだ。
「ぐぁああああッ!?」
「考え無しの奴とは違うッッ!!」
ジョーは直撃し、身体を鋭打されながら吹き飛ぶ。ローレンスは防御しており、両手に斬属性を纏い、斬りかかった。
「あまいっ!!」
ベリアはそれを跳び避け、ローレンスの背後へ回りこむ。そして、蹴り上げで彼を吹っ飛ばした。
「ぐぁああっ!!」
ローレンスは吹っ飛び、ゴロゴロと転がりながら床へ投げ出される。ベリアはそんな彼に向かって跳躍し、拳に全力を込めて殴りかかった。
「おっと!!」
ジョーが間に入ってそれを受け止め、笑う。
「なに……!?」
「だぁあっ!!」
そのまま振り回してから、ぶん投げた。
「うわぁあっ!?」
ベリアが投げられている間に、ローレンスがジョーの横へ走ってくる。二人は同時に飛び上がり、彼女の眼前へ迫った。
「うぉおおおおッ!!!」
「はぁああああッ!!!」
ジョーは拳を、ローレンスは蹴りを、彼女の腹へ叩き込む。一閃する赤と青の一撃は、確かに彼女を打ち抜いた。
「ごはぁあアッ!!?」
凄まじい力で打ち抜かれた事により、彼女は吐血しながら床へ墜落した。しかしすぐに起き上がり、構え直す。
「まァだ起き上がるかァアッ!!」
既に眼前にジョーが迫っていた。それを前に、彼女は不敵に笑う。
「フッ。」
そして、ジョーの顎をストレートで一閃した。意識を吹き飛ばされた彼は、ガクンとダウンしようとする。しかし歯を食いしばり、踏ん張った。
「ぐぅっ……!」
「しゃああっ!!」
踏ん張ったばかりの彼に、足払いする。
「うわっ!?」
それを跳躍し、避ける。しかし次の瞬間、顎へアッパーが入り、打ち上げられた。
「ぐぁあああッ!!」
「フン……!」
「どこを見ている!?」
ローレンスが迫り、一瞬で彼女の腹へ無寸勁を叩き込んだ。衝撃が腹筋を突き破り、体内で炸裂する。
「ぐぁあ……!?このッ!!」
彼女が放った蹴りを、腕でガードする。その足を掴み、跳び上がった。
「なぁにっ!?」
「せいやぁあっ!!」
ベリアは床へぶん投げられ、倒れる。その上から、彼は蹴りを落としてきた。
「なんの──」
それを転がり避け、立ち上がった瞬間──
「オラァッ!!」
「!!!」
──ジョーのパンチが、腹へ炸裂する。彼女は吐血し、揺らぐ。
「せぇいやぁあッッ!!」
その顔面へ、ローレンスが回し蹴りした。彼女はそれで蹴り飛ばされて吹っ飛び、床へダウンした。
「っぐ……!!?」
奪われた、ダウン……に悶えている暇ではない。すぐに立ち上がり、二人を見る。
「よっしゃあああーッッ!!!」
「このまま攻め込むぞッッ!!」
既に二人は眼前に迫っており、猛攻してきた。しかし、相手はベリア。魔王の娘であり、四魔姫最強の戦士。二人の猛攻に対応し始めた。
「うぉおおおおっ!!!」
「ずぁあああっ!!!」
「あまいっ!!」
彼女は一瞬の隙を見て、二人の後頭部の髪を掴む。それで、二人は硬直してしまった。
「なっ!?」
「いっ!?」
「ふんっ!!」
そのまま顔面同士をぶつけ、ローレンスを蹴り飛ばし、ジョーを殴り飛ばした。
「ぐぁああっ……!!」
「面白いッッッ!!」
ローレンスは吹っ飛んで、膝をつく。ジョーは踏ん張り、突進した。
「ふんっ!!」
拳と拳が、ぶつかる。それで一旦離れ、足刀同士をぶつけ合った。
「はぁっ!」
「オラァッ!!」
肘打ちを肘打ちで迎撃し、相殺する。ジョーがもう一方の拳に力を込め、顔面へパンチした。
「ぐっ!!はぁあっ!!」
しかし彼女は鼻血を噴きながら踏ん張り、彼の顔面を殴り返した。
「ぬぅうっ!!」
ジョーも鼻血を噴き、一歩二歩と下がってしまう。しかしそこで踏ん張り、跳び上がった。
「ガァアアアッ!!!」
渾身の拳で、殴り掛かる。しかし彼女はそれを片腕でガードし、もう一方の手にエネルギーボールを作る。
「はぁあっ!!」
それをジョーの腹に放った。エネルギーボールは直撃して彼をぶっ飛ばし、壁に叩きつけられると同時に大爆発した。
「っはぁあっ!!効かねぇなぁあああッッッ!!!」
彼は爆炎から飛び出し、滑空しながら殴り掛かる。その拳はベリアをすり抜け、爆発するような拳圧が何も無いところで炸裂した。
「ッッ……!!!」
「こちらだ……!!」
ベリアが、拳に神力を纏いながらジョーの背後に現れる。その拳を、彼の背へ振るおうとした次の瞬間──
「させぬっ!!」
ローレンスが来て、彼の胸に拳を付けた。その状態のまま、目を見開いて力を込める。すると、ジョーの背中から鋭い衝撃が飛び、ベリアの顔面を打った。
「ぐぁああ……!!!」
「おらぁあああッッ!!!」
更にジョーが振り返り、ベリアの顔面をぶん殴る。
「くっ!!なめるなっ!!」
彼女はぶっ飛ぶが、すぐに体勢を立て直し、二人にエネルギー波を放った。
「任せろッッ!!」
ローレンスが、手刀でそれを斬り弾く。その後ろからジョーが飛び出し、思いっきり飛び蹴りを放った。
「ふんっ!!」
彼女はその足首を掴み、思いっきりグルグルとぶん回した。
「うぉおぁああッッ!!?」
「はぁあっ!!」
回転が勢いを増した所で、思いっきりぶん投げた。彼はぶっ飛び、壁に叩きつけられる。
「はぁああっ!!」
次の瞬間、ベリアの腹に青の光が一閃し、とてつもない衝撃がピンポイントに腹を打ち抜いた。攻撃の主は、ローレンスだ。
「グハァアッ……!!?」
「まだ、俺がいる事を忘れたかッ!!」
ローレンスはそのまま、手刀に斬属性を纏う。それで、彼女に無数の斬撃を叩き込んだ。
「ぐぐぅうっ!!」
ベリアは拳を固く握り、腕に力を込める。それで、ローレンスに殴りかかった。しかし拳は彼をすり抜ける。同時に、彼女の直感が「うしろだ」と囁いた。
「くっ!?」
「はぁぁああッ!!」
振り返った次の瞬間、彼は彼女の横腹に後ろ回し蹴りを食らわせていた。
「がぁあっ……!!」
「どうした!?そろそろへばったか!?」
「……いいぞっ!」
ベリアはローレンスの挑発に対して、血を吐きながらも笑って見せた。そして拳にエネルギーを込め、それを拳圧で撃ち出して彼をぶっ飛ばした。
「ぐぁあああっ!!」
彼はぶっ飛ぶが、床に踏ん張って彼女の方へ向き直す。そして、手刀をヒュバババッと動かしてから、構え直した。
「ヒャハハハハハ……!!」
その後ろから、ジョーが重圧な足音を立てながら歩き、彼の横で止まった。
「見せろ……!もっと見せろ!!お前達の全力は、こんなものではあるまい!!全力を出し、私を倒してみせろ!!」
ベリアはそう言って、全ての力を解放して見せた。限界突破したのは、二人だけではなかったのだ。彼女もまた、限界を超えた力を宿していた。
「はぁあああああーーーッッッ!!!!」
溢れ出る気が、彼女の上半身の衣服を吹き飛ばす。隠すべき場所を隠さずに、傷だらけながらも美しく、力強い裸体を晒した。
二人はそんな彼女を前にして、今ある限りの力のありったけを解放する。
「……これで、最終ラウンドだろうな。」
と、ローレンス。
「そうじゃなきゃ困る。」
と、ジョー。
二人は息を吸い、カッと目を見開く。
「終わらせるぞッッッ!!!!」
同時にそう言い、ベリアへ突撃した。
「はぁああああッッッ!!!!」
彼女も怒号し、二人へ突撃した。
一撃が交差し、互いをぶっ飛ばした。
「がふっ……!!」
ベリアは歯を食いしばるも、歯の間から吐血する。しかしダウンはせずに、構えた。
「ぐっは……!!」
「まだまだァアッ!!!」
ローレンスは揺らぐも、ジョーが前に出てベリアと攻防した。
「あだだだだだだだだだ!!!」
「ぉおおおおおッッッ!!!」
彼女は、重く鋭い拳のラッシュを放つ。しかしジョーはそれに対応し切り、彼女の懐へ入り込んだ。
「なっ!?」
「ヒャッハァアッ!!!」
そのまま、アッパーで顎を打ち上げた。
「ぐぬぅううっ!!!はっ!!」
拳にエネルギーを込め、その拳を突き出す。すると、ジョーの体に無数の拳圧が叩き込まれた。
「しゃらくせぇえっ!!!」
彼は全身に力を込め、全て受けて見せた。しかしダメージは蓄積し、フラフラよろめいてしまう。
その彼の横から、ローレンスが飛び出た。
「はぁあああっ!!!」
彼女の眼前へ来て、拳を放つ。しかしそれは掌で止められ、頭を掴まれた。
「なっ!?」
「しゃあああっ!!」
そのまま床へ叩き伏せられ、蹴られる。蹴り飛ばされた先には、ジョーが居た。
「ぐはぁあっ!!」
「!!!」
二人は激突して、重なる。
「受けてみろっ!!!」
彼女は二人に高密度のエネルギーボールを放ち、ローレンスの腹に当てた。彼の腹へ叩き込まれたはずのエネルギーの威力が、ダイレクトにジョーに伝わる。
「ぐぁあああーーーッッ!!!」
「うわぁああーーーッッ!!!」
それは壁へ激突し、大爆発を巻き起こす。しかし二人はボロボロながら、すぐに体勢を整えた。
「……クソがッッ!!!」
ジョーは血反吐を吐きながら、彼女に向く。ローレンスは冷静に、そんな彼の横顔を見た。
「ジョー!!俺を思いっきりぶん殴れっ!!俺から行かせてもらうっ!!」
「分かったァアッ!!!」
ジョーは言われるがままに、思いっきり腕を振りかぶり、全力のパンチを放った。ローレンスは跳び、そのパンチに足をつける。
「行ってこいッッ!!!」
そのまんま、彼はローレンスをぶっ飛ばした。
「はぁあああああッッッ!!!」
彼もジョーのパンチの威力が最高潮になる瞬間に足を伸ばし、飛んだ。一瞬で彼女の眼前へ迫り、その顔面へ全ての力を乗せたパンチを放った。
「ーーーッッッ!!!!!」
そのまま、大きく後退させることに成功した。しかし彼女は床に踏ん張ったまま、ダウンしなかった。そして遂には、止めて見せる。
「なに……!!?」
「ぐ……ぬ……!!!」
それどころか、拳を顔に受けたままローレンスの超パワーを押し返そうと、一歩一歩と歩き始めた。
「ぐ、ぐぬぁぁあああ……!!!」
「まだ……だ……!!その程度では……私は……!!!」
全力を込めているのにも関わらず、彼女の一歩は止まらない。ついにローレンスの腕が、悲鳴を上げ始めた、その時だった。
「うらァアアアアアーーーッッッッッ!!!!」
後ろからジョーが来て、彼女の顔面へパンチした。それで彼女の動きが止まった。
「ッッッ!!!?」
「はぁあああああああーーーッッッ!!!!」
「ぁああああああああーーーッッッ!!!!」
二人の赤と青の気が融け合い、凄まじく強大な気へと変貌した。その気が光り輝き、この部屋を包み込む。
「これが、俺の全てだァアッ!!!」
「強き戦士よ、俺達は貴方を超えていく!!!」
二人の気は、どんどん大きくなる。その気の輝きを前に、ベリアの表情が緩んだ。
「これが……人間の力──」
彼女がフッと笑うと同時に、二人の昂りは最高潮に達する。そして──
「はぁあああああーーーッッッッッ!!!!!」
二人のエネルギーは、とてつもない大爆発を巻き起こした。その威力に、魔王城どころか星に衝撃が響き渡った……
爆発は、今戦ってる一部屋だけに収まっていた。本来なら、魔王城ごと消しかねない威力のものだが、星そのものへにダメージを与えてしまう可能性があったので、それだけは避けた。
「……生きてるか?」
「うるせェ。」
ローレンスとジョーは、普通の状態に戻っていた。神力も魔力もない、普通の状態だ。
「……フッ。」
ベリアは、倒れながら笑っていた。
「全てを出し尽くした……全て味わい尽くした……ここまで清々しい負けは、初めてだ……ふっふっふ……」
彼女はそう言い、二人の方へ向いた。
「もう、動けん……」
「あァ……黄金宝石握ンのすら、億劫だ……」
二人も倒れており、談笑していた。そんな二人に、彼女は意外そうな顔をする。
「……トドメを刺さんのか?」
その問に対し、二人は首を横に振った。
「……共存派は、俺達の敵ではない。」
「敵じゃねぇ奴を殺すことは出来ねぇ。」
「……フッ。どこまでも、愛し甲斐のある人間よ……」
三人は座り込んで、魔王の間の方へ向いた。
四魔姫のベリアを倒した二人。これで、全ての運命はジェットに託されたのだった……




