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ジェットのぼうけん  作者: ジョーカー
中章:激震魔大陸
83/131

史上空前全力開放!!

「ヒャハハハ……!!」

 ベリアに、一撃を決めたジョー。確かなダメージを与え、勝利の兆しを確信した──

「……ふんっ!!」

 ──が、ベリアという戦士はそう甘くなかった。腕を振りかぶり、ジョーを無造作にぶっ飛ばした。

「ぐぉあああっ!!?」

「なにっ!?」

 彼女は、口から出た血を親指で拭い、ぐしぐしと潰した。そして、笑った。

「……吐血など、お母様と戦った以来だ。しかし、その程度で私に勝った気で居るのは間違いというものだ。」

「そして、奴をぶっ飛ばした程度で得意になっている貴様もな。」

 ローレンスは彼女の背後に回り込んでおり、その背に両足蹴りした。

「っ!!?」

「よくもやったなゴラァッ!!」

 蹴り飛ばされた先には、ジョーが居た。その筋肉質な腕を伸ばし、ラリアットしにかかってきた。

「ふんっ!!」

 しかしその腕を掴み、ラリアットを止める。そして、思いっきりグルグルとぶん回した。

「ぬぉおおおっ!!?」

「はぁあっ!!」

 ジョーを、ローレンスの方へ投げ飛ばす。

「くそっ!!」

 ローレンスは手を広げ、彼をキャッチした。

「平気か!?」

「余計なお世話だ!!」

 ジョーはローレンスを退かし、拳を握る。そして、ベリアへ突撃した。

「おらぁあっ!!」

 腕を振りかぶり、拳を突き出す。

「ふんっ!!」

 彼女は半身にしてその拳を避け、伸び切った彼の(うなじ)へ手刀を落とした。

「ぐぉあああっ!?」

「避けれるかっ!?その状態で!!」

 彼に手を向け、エネルギーを込める。しかし、ローレンスが背後に現れ、裸絞めにした。

「ぐっ!?小賢しい!!」

 彼女はローレンスを背負ったまま跳び上がり、顔面へ肘打ちを落とした。しかし彼は消えており、肘打ちで巻き起こした衝撃が砂埃を立たせる。それを切り払うように、ローレンスが手刀で斬りかかってきた。

「ふんっ!!」

 腕でそれを受け止めた後、彼の脳天へ肘打ちを落とした。

「ぐっ!?」

「しゃあっ!!」

 更に、力を込めた足で、顔を蹴り上げた。彼は鼻血のアーチを描きながら、吹っ飛んでいく。

「ぉぁああああッッッ!!」

「とろいな。」

 飛びかかるジョーの顔面へ、裏拳を当てた。

「ぎゃあっ!?」

 それで彼はぶっ飛び、床へ投げ出された。

「斬空血裂拳!!」

 ローレンスが、回転する斬属性を拳に纏いながら突進する。

「それが音に聞こえし斬属性か……しかし、所詮は風属性の贋作!!」

 ベリアは熱いエネルギーを拳に纏い、ローレンスの拳と激突させた。それが斬属性を突き破り彼の拳を止めた。しかし、彼は大して動揺していなかった。

「贋作かどうか、試してみるのだな。」

「っ!?」

 次の瞬間、彼女の身体中に無数の斬撃が走った。神力を込めた斬属性は、確かに彼女の身体を斬った。

「なるほど、私の見当違いか。しかしッ!!」

 彼女は猛烈な拳のラッシュをしてくる。ローレンスは腕をクロスしてガードするも、彼女のラッシュは徐々に重くなる。

「ぐっ!?」

「その程度では、私は倒せぬっ!!」

 強烈な拳を放ち、ローレンスをぶっ飛ばした。彼はぶっ飛ぶもすぐに体勢を整えて着地した。

「二度も同じ手が──」

 次の瞬間、彼の腹にエネルギーボールが叩き込まれた。

「──ぐはぁあああっ!!!?」

 それによりこの部屋を切るようにぶっ飛び、壁に叩きつけられる。その瞬間、凄まじい大爆発が巻き起こった。

「おぉおおおおッッ!!!」

 ローレンスが爆発した事など気に留めず、ジョーがベリアに猛攻する。体へ拳を連打するも、彼女の気の壁により拳が直撃しなかった。

「ぐ……!!」

 さっきより、壁が重圧になってやがる……!!だがッ!!!

「この俺の拳に、砕けねぇものはねぇっ!!」

 拳に神力を込め、振りかぶる。

「ふんっ!!!」

「未発達の神力で、私に勝てると思うな……!!」

「未発達かどうか、試してみるんだなァアアアッ!!!」

 その拳で、彼女の腹をぶん殴った。メキメキと、拳が腹筋にめり込む。

「……」

 ベリアは眉ひとつ動かさずに、ゆっくりとジョーを見た。

「ぐっ……ぐぐぅううッッ!!!」

 彼は拳に力を込める。しかし、手応えは全くなかった。

「諦めろ……!!」

 彼女は拳にエネルギーを込め、突き出した。拳の形をしたエネルギーが飛び、ジョーは吹っ飛ぶ。

「こなくそがぁっ!!」

 彼は着地し、獄炎のような気を上昇させる。その目が殺意に染まり、邪悪な波動が身体から噴き出る。

「なにっ……!?」

「シュッ!!」

 ジョーは一瞬でベリアの眼前へ迫り、猛烈なラッシュを仕掛けた。先程よりも鋭く、速い拳の連打だった。

「オラオラオラオラァッ!!!」

「ぐぬ……!?」

 彼女は、少し押され気味に対応する。

 こいつ……戦いの中で強く……!!?

「しゃあああッッッ!!!」

 ジョーはそんな彼女のスキを見抜き、顔面を掴む。そして、思いっきり床へと叩き伏せた。

「ぐぁあっ!!」

「オラァッ!!いくぞぉおおおッッッ!!!」

 彼女にマウントポジションを取り、顔面に拳を連打した。殴るだけ殴った後、また顔面を掴み、立ち上がる。そのままぶん回してから床へ叩きつけ、身体をバウンドさせた。間髪入れず、その腹目掛けて足を振り、蹴り飛ばした。

「ッどうだぁあッッ!!!」

「確かに、凄まじい力だ……しかし、それだけだ。」

 ベリアは既に背後に回っており、ジョーの背に手をつける。そこへ神力を込め、爆発させた。

「あああーーーッッッ!!!?」

 衝撃が、ビリビリとした鋭い波動が、身体中を駆け巡る。

「そのような力では、私は揺るがんっ!!」

 彼の体へ拳を連打しながら、彼女は叫ぶ。

「見せてみろっ!!人間の力を!!」

 渾身の一撃を叩き込みながらも、もう一方の拳に神力を込める。

「そして、私を超えてみろ!!」

 最後に顎へアッパーし、思いっきり打ち上げた。彼はこの部屋の高い天井に叩きつけられ、バウンドするように床へと墜落した。

「ぐぁあああ……!!!」

 吐血しながら、立ち上がろうとする。しかし、ダメージが身体の動きを阻害し、崩れてしまった。

「く……ジョーッ!!」

 友のピンチを前にして、ローレンスは持ち直して走る。

「おそいっ!!」

 ベリアはローレンスの前に立ち、腕を振るう。その素振りで衝撃が巻き起こるも、彼は揺るがずに踏ん張った。そして、手刀に斬属性と神力を込める。

「面白いッ!!」

 彼女はそのローレンスに、あの拳のラッシュを放った。彼は手刀を構え、その拳を全て切り弾く。

「なにっ!?」

「ぜぁあっ!!」

 拳の一つに後ろ回し蹴りをして、彼女を大きく退かせた。その隙に踏み込んで、こめかみを足刀で打ち抜き、ぶっ飛ばした。

「ぐぁあっ!!」

 こやつ、友の危機に応じて強く……!!?

 ぶっ飛んだ彼女に向け、ローレンスは走る。床を蹴って思いっきり跳び、両足蹴りした。

「ぐはぁあっ!」

 更に彼女はぶっ飛ぶが、体勢を整えて壁に足をつけ、ローレンスの所へ飛んだ。

「はぁああああっ!!!」

「うぉおおおおっ!!!」

 超スピードで、攻防が繰り広げられる。ローレンスはそれに押し負けてぶっ飛ばされるも、床に足をつきながらダウンは免れる。

「ちっ!」

 鼻血を拭い、跳び上がる。空中で回転しながら、その回転が最高速度に達する瞬間に足に神力を込め、ベリアを蹴り下ろした。

「くっ!?」

 それを腕でガードする。その衝撃がこの空間を揺らし、天井や床や壁に亀裂が入った。

「おぉおおおッッッ!!」

 もう一方から、ジョーが殴りかかってきた。しかし、その拳は掌で受け止めた。

「しゃあああッッ!!」

 思いっきり力を解放し、二人を吹っ飛ばす。二人はダウンせずに着地し、ベリアを見た。

「おぉおおおおッッ!!これが受けきれるかッッ!!?」

 彼女は腕をクロスしてから、拳を二人へ突き出した。すると、無数の鋭い拳圧が二人へ連射された。

「うぉおおーーーッッ!!!」

「はぁあああああッッ!!」

 しかし二人はそれを押し、弾き、避け、壊しと対応しながら、彼女に接近する。極まった二人の力がどんどん高まり、戦闘力を上昇させていた。

「な……に……ッッ!!?」

「オラァアアアッ!!!」

「せりゃあああッ!!!」

 彼女の後頭部にローレンスの蹴りが、顔面へジョーの拳が叩き込まれた。全力を乗せたその二撃は、確かなダメージを彼女に刻んだ。

「カハッ……!!」

「……ッ!!」

「いやッ!!」

 二人は、同時に確信した。「何か足りない」と。確かにこれはダメージを与えられたが……決定打には至らない。そもそも、こんなに上手くいく道理が無い──

「フッ……はぁあああああーーーッッ!!!」

 彼女は不敵に笑い、その身体の中心から爆発波を放った。爆発が、二人を飲み込みぶっ飛ばした。

「ぐぁああああーーーッッッ!!!」

「ぬわぁあああーーーッッッ!!!」

 二人はぶっ飛ばされ、床に倒れ伏してしまった。彼女は一人、倒れる戦士達を見下ろす。

「……見事な一撃であった……しかし、私を揺るがすにはまだ足りなかったな……」

 彼女は首をゴキゴキ鳴らしながら、血が混ざった唾を吐く。そして、二人に手を向けて気を高めた……

「……すまぬ、これもお母様の命令だ。そして、戦いである……吹き飛ぶがいい……」

「……くっ!!」

 ローレンスは、顔を伏せる。しかし、ジョーは嗤い、震えながら立ち上がった。

「……馬鹿なっ!?今ので立ち上がるというのか!?」

「……ヒャハハハ!すげぇ……こんな昂り、水龍院と戦う前にも感じた事は無ェ……!!」

 自分が負けていると、逆に笑いが込み上げてくる。ヤケクソになった訳じゃねぇ、()()()()()()と嫌でも実感できるからだ。

「負けねぇ……!!ここで、負けてられねぇ……!!こんな所で、潰れてたまるか……!!」

 そう言いながら、彼の目は闘志の炎が宿っていた。それを見たローレンスは、起き上がる。

「貴様の言う通りだ……!!ここで俺達が負けようものなら、(ジェット)に合わせる顔がない!!奴は俺達に全て託してくれたのだ!故に、俺達は負ける訳にはいかぬ!!」

 ローレンスの目にも、闘志が宿る。

 同時に、二人の直感が告げた。「もうすぐだ」と。

「それが、お前らの信頼か……いいだろう。その力、私の全力をもって応えよう!!」

 ベリアの気が、爆発する。それで凄まじい衝撃が巻き起こるも、二人は吹っ飛ばされずにしっかりと彼女を見据えていた。そして同時に息を吸い、目を見開いた。

「いくぞっ!!ベリアッッ!!!はぁああああああああーーーッッッ!!!」

 二人の気が、神力が、戦闘力が、どんどん高まる。それで、ベリアの気の衝撃をかき消した。

「なにっ!!?」

 彼女は吹っ飛ばされそうになるも、床に踏ん張る。

「俺は、貴様に負ける訳にはいかねぇッッッ!!だから──貴様を、超えてやるッッッ!!!」

 ここでローレンスは、気を高めながらジョーに視線を向けた。

「貴様がベリアを超えるのならば、俺も超えてやろう!!貴様にだけは、遅れをとる訳にはいかぬッッッ!!!」

「ほざけぇええッッッ!!!」

 そう応えるジョーは、少し笑っていた。次の瞬間、二人の中の何かが極まった。それと同時に確信した──「これだ」と。

「うぉあああああああーーーッッッ!!!!」

 二人は、より一層強い神力を噴き上げた。それはとてつもない閃光を放ち、二人を包み込む。

「こ、これは……『属性開放』……!!馬鹿なっ!!人間でありながら、王族の特権を……!!まさか、可能性の殻を、破ったというのかッッ!!?」

 閃光が晴れ、二人は姿を(あらわ)す。黒髪の艶が増し、燃え上がるようなオーラを纏っており、とてつもない戦闘力をその身に宿したという事が分かる。二人の差異は、目とオーラの色にあった。ジョーは紅蓮の赤で、ローレンスは青藍の青だ。

「まだまだ、ここからだァアアアッ!!!」

「これが俺達の全てだ、ベリアッッ!!!」

「ッッッ……いいだろう、見せてみろッッッ!!!」

 限界突破し、可能性の殻を破った二人。対して、遂に本気を出したベリア──

「……うぉおおおおッッッ!!!」

「がぁああああッッッ!!!」

「はぁああああッッッ!!!」

 ──両者は怒号し、ぶつかり合った。

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