史上空前全力開放!!
「ヒャハハハ……!!」
ベリアに、一撃を決めたジョー。確かなダメージを与え、勝利の兆しを確信した──
「……ふんっ!!」
──が、ベリアという戦士はそう甘くなかった。腕を振りかぶり、ジョーを無造作にぶっ飛ばした。
「ぐぉあああっ!!?」
「なにっ!?」
彼女は、口から出た血を親指で拭い、ぐしぐしと潰した。そして、笑った。
「……吐血など、お母様と戦った以来だ。しかし、その程度で私に勝った気で居るのは間違いというものだ。」
「そして、奴をぶっ飛ばした程度で得意になっている貴様もな。」
ローレンスは彼女の背後に回り込んでおり、その背に両足蹴りした。
「っ!!?」
「よくもやったなゴラァッ!!」
蹴り飛ばされた先には、ジョーが居た。その筋肉質な腕を伸ばし、ラリアットしにかかってきた。
「ふんっ!!」
しかしその腕を掴み、ラリアットを止める。そして、思いっきりグルグルとぶん回した。
「ぬぉおおおっ!!?」
「はぁあっ!!」
ジョーを、ローレンスの方へ投げ飛ばす。
「くそっ!!」
ローレンスは手を広げ、彼をキャッチした。
「平気か!?」
「余計なお世話だ!!」
ジョーはローレンスを退かし、拳を握る。そして、ベリアへ突撃した。
「おらぁあっ!!」
腕を振りかぶり、拳を突き出す。
「ふんっ!!」
彼女は半身にしてその拳を避け、伸び切った彼の項へ手刀を落とした。
「ぐぉあああっ!?」
「避けれるかっ!?その状態で!!」
彼に手を向け、エネルギーを込める。しかし、ローレンスが背後に現れ、裸絞めにした。
「ぐっ!?小賢しい!!」
彼女はローレンスを背負ったまま跳び上がり、顔面へ肘打ちを落とした。しかし彼は消えており、肘打ちで巻き起こした衝撃が砂埃を立たせる。それを切り払うように、ローレンスが手刀で斬りかかってきた。
「ふんっ!!」
腕でそれを受け止めた後、彼の脳天へ肘打ちを落とした。
「ぐっ!?」
「しゃあっ!!」
更に、力を込めた足で、顔を蹴り上げた。彼は鼻血のアーチを描きながら、吹っ飛んでいく。
「ぉぁああああッッッ!!」
「とろいな。」
飛びかかるジョーの顔面へ、裏拳を当てた。
「ぎゃあっ!?」
それで彼はぶっ飛び、床へ投げ出された。
「斬空血裂拳!!」
ローレンスが、回転する斬属性を拳に纏いながら突進する。
「それが音に聞こえし斬属性か……しかし、所詮は風属性の贋作!!」
ベリアは熱いエネルギーを拳に纏い、ローレンスの拳と激突させた。それが斬属性を突き破り彼の拳を止めた。しかし、彼は大して動揺していなかった。
「贋作かどうか、試してみるのだな。」
「っ!?」
次の瞬間、彼女の身体中に無数の斬撃が走った。神力を込めた斬属性は、確かに彼女の身体を斬った。
「なるほど、私の見当違いか。しかしッ!!」
彼女は猛烈な拳のラッシュをしてくる。ローレンスは腕をクロスしてガードするも、彼女のラッシュは徐々に重くなる。
「ぐっ!?」
「その程度では、私は倒せぬっ!!」
強烈な拳を放ち、ローレンスをぶっ飛ばした。彼はぶっ飛ぶもすぐに体勢を整えて着地した。
「二度も同じ手が──」
次の瞬間、彼の腹にエネルギーボールが叩き込まれた。
「──ぐはぁあああっ!!!?」
それによりこの部屋を切るようにぶっ飛び、壁に叩きつけられる。その瞬間、凄まじい大爆発が巻き起こった。
「おぉおおおおッッ!!!」
ローレンスが爆発した事など気に留めず、ジョーがベリアに猛攻する。体へ拳を連打するも、彼女の気の壁により拳が直撃しなかった。
「ぐ……!!」
さっきより、壁が重圧になってやがる……!!だがッ!!!
「この俺の拳に、砕けねぇものはねぇっ!!」
拳に神力を込め、振りかぶる。
「ふんっ!!!」
「未発達の神力で、私に勝てると思うな……!!」
「未発達かどうか、試してみるんだなァアアアッ!!!」
その拳で、彼女の腹をぶん殴った。メキメキと、拳が腹筋にめり込む。
「……」
ベリアは眉ひとつ動かさずに、ゆっくりとジョーを見た。
「ぐっ……ぐぐぅううッッ!!!」
彼は拳に力を込める。しかし、手応えは全くなかった。
「諦めろ……!!」
彼女は拳にエネルギーを込め、突き出した。拳の形をしたエネルギーが飛び、ジョーは吹っ飛ぶ。
「こなくそがぁっ!!」
彼は着地し、獄炎のような気を上昇させる。その目が殺意に染まり、邪悪な波動が身体から噴き出る。
「なにっ……!?」
「シュッ!!」
ジョーは一瞬でベリアの眼前へ迫り、猛烈なラッシュを仕掛けた。先程よりも鋭く、速い拳の連打だった。
「オラオラオラオラァッ!!!」
「ぐぬ……!?」
彼女は、少し押され気味に対応する。
こいつ……戦いの中で強く……!!?
「しゃあああッッッ!!!」
ジョーはそんな彼女のスキを見抜き、顔面を掴む。そして、思いっきり床へと叩き伏せた。
「ぐぁあっ!!」
「オラァッ!!いくぞぉおおおッッッ!!!」
彼女にマウントポジションを取り、顔面に拳を連打した。殴るだけ殴った後、また顔面を掴み、立ち上がる。そのままぶん回してから床へ叩きつけ、身体をバウンドさせた。間髪入れず、その腹目掛けて足を振り、蹴り飛ばした。
「ッどうだぁあッッ!!!」
「確かに、凄まじい力だ……しかし、それだけだ。」
ベリアは既に背後に回っており、ジョーの背に手をつける。そこへ神力を込め、爆発させた。
「あああーーーッッッ!!!?」
衝撃が、ビリビリとした鋭い波動が、身体中を駆け巡る。
「そのような力では、私は揺るがんっ!!」
彼の体へ拳を連打しながら、彼女は叫ぶ。
「見せてみろっ!!人間の力を!!」
渾身の一撃を叩き込みながらも、もう一方の拳に神力を込める。
「そして、私を超えてみろ!!」
最後に顎へアッパーし、思いっきり打ち上げた。彼はこの部屋の高い天井に叩きつけられ、バウンドするように床へと墜落した。
「ぐぁあああ……!!!」
吐血しながら、立ち上がろうとする。しかし、ダメージが身体の動きを阻害し、崩れてしまった。
「く……ジョーッ!!」
友のピンチを前にして、ローレンスは持ち直して走る。
「おそいっ!!」
ベリアはローレンスの前に立ち、腕を振るう。その素振りで衝撃が巻き起こるも、彼は揺るがずに踏ん張った。そして、手刀に斬属性と神力を込める。
「面白いッ!!」
彼女はそのローレンスに、あの拳のラッシュを放った。彼は手刀を構え、その拳を全て切り弾く。
「なにっ!?」
「ぜぁあっ!!」
拳の一つに後ろ回し蹴りをして、彼女を大きく退かせた。その隙に踏み込んで、こめかみを足刀で打ち抜き、ぶっ飛ばした。
「ぐぁあっ!!」
こやつ、友の危機に応じて強く……!!?
ぶっ飛んだ彼女に向け、ローレンスは走る。床を蹴って思いっきり跳び、両足蹴りした。
「ぐはぁあっ!」
更に彼女はぶっ飛ぶが、体勢を整えて壁に足をつけ、ローレンスの所へ飛んだ。
「はぁああああっ!!!」
「うぉおおおおっ!!!」
超スピードで、攻防が繰り広げられる。ローレンスはそれに押し負けてぶっ飛ばされるも、床に足をつきながらダウンは免れる。
「ちっ!」
鼻血を拭い、跳び上がる。空中で回転しながら、その回転が最高速度に達する瞬間に足に神力を込め、ベリアを蹴り下ろした。
「くっ!?」
それを腕でガードする。その衝撃がこの空間を揺らし、天井や床や壁に亀裂が入った。
「おぉおおおッッッ!!」
もう一方から、ジョーが殴りかかってきた。しかし、その拳は掌で受け止めた。
「しゃあああッッ!!」
思いっきり力を解放し、二人を吹っ飛ばす。二人はダウンせずに着地し、ベリアを見た。
「おぉおおおおッッ!!これが受けきれるかッッ!!?」
彼女は腕をクロスしてから、拳を二人へ突き出した。すると、無数の鋭い拳圧が二人へ連射された。
「うぉおおーーーッッ!!!」
「はぁあああああッッ!!」
しかし二人はそれを押し、弾き、避け、壊しと対応しながら、彼女に接近する。極まった二人の力がどんどん高まり、戦闘力を上昇させていた。
「な……に……ッッ!!?」
「オラァアアアッ!!!」
「せりゃあああッ!!!」
彼女の後頭部にローレンスの蹴りが、顔面へジョーの拳が叩き込まれた。全力を乗せたその二撃は、確かなダメージを彼女に刻んだ。
「カハッ……!!」
「……ッ!!」
「いやッ!!」
二人は、同時に確信した。「何か足りない」と。確かにこれはダメージを与えられたが……決定打には至らない。そもそも、こんなに上手くいく道理が無い──
「フッ……はぁあああああーーーッッ!!!」
彼女は不敵に笑い、その身体の中心から爆発波を放った。爆発が、二人を飲み込みぶっ飛ばした。
「ぐぁああああーーーッッッ!!!」
「ぬわぁあああーーーッッッ!!!」
二人はぶっ飛ばされ、床に倒れ伏してしまった。彼女は一人、倒れる戦士達を見下ろす。
「……見事な一撃であった……しかし、私を揺るがすにはまだ足りなかったな……」
彼女は首をゴキゴキ鳴らしながら、血が混ざった唾を吐く。そして、二人に手を向けて気を高めた……
「……すまぬ、これもお母様の命令だ。そして、戦いである……吹き飛ぶがいい……」
「……くっ!!」
ローレンスは、顔を伏せる。しかし、ジョーは嗤い、震えながら立ち上がった。
「……馬鹿なっ!?今ので立ち上がるというのか!?」
「……ヒャハハハ!すげぇ……こんな昂り、水龍院と戦う前にも感じた事は無ェ……!!」
自分が負けていると、逆に笑いが込み上げてくる。ヤケクソになった訳じゃねぇ、まだ上があると嫌でも実感できるからだ。
「負けねぇ……!!ここで、負けてられねぇ……!!こんな所で、潰れてたまるか……!!」
そう言いながら、彼の目は闘志の炎が宿っていた。それを見たローレンスは、起き上がる。
「貴様の言う通りだ……!!ここで俺達が負けようものなら、奴に合わせる顔がない!!奴は俺達に全て託してくれたのだ!故に、俺達は負ける訳にはいかぬ!!」
ローレンスの目にも、闘志が宿る。
同時に、二人の直感が告げた。「もうすぐだ」と。
「それが、お前らの信頼か……いいだろう。その力、私の全力をもって応えよう!!」
ベリアの気が、爆発する。それで凄まじい衝撃が巻き起こるも、二人は吹っ飛ばされずにしっかりと彼女を見据えていた。そして同時に息を吸い、目を見開いた。
「いくぞっ!!ベリアッッ!!!はぁああああああああーーーッッッ!!!」
二人の気が、神力が、戦闘力が、どんどん高まる。それで、ベリアの気の衝撃をかき消した。
「なにっ!!?」
彼女は吹っ飛ばされそうになるも、床に踏ん張る。
「俺は、貴様に負ける訳にはいかねぇッッッ!!だから──貴様を、超えてやるッッッ!!!」
ここでローレンスは、気を高めながらジョーに視線を向けた。
「貴様がベリアを超えるのならば、俺も超えてやろう!!貴様にだけは、遅れをとる訳にはいかぬッッッ!!!」
「ほざけぇええッッッ!!!」
そう応えるジョーは、少し笑っていた。次の瞬間、二人の中の何かが極まった。それと同時に確信した──「これだ」と。
「うぉあああああああーーーッッッ!!!!」
二人は、より一層強い神力を噴き上げた。それはとてつもない閃光を放ち、二人を包み込む。
「こ、これは……『属性開放』……!!馬鹿なっ!!人間でありながら、王族の特権を……!!まさか、可能性の殻を、破ったというのかッッ!!?」
閃光が晴れ、二人は姿を顕す。黒髪の艶が増し、燃え上がるようなオーラを纏っており、とてつもない戦闘力をその身に宿したという事が分かる。二人の差異は、目とオーラの色にあった。ジョーは紅蓮の赤で、ローレンスは青藍の青だ。
「まだまだ、ここからだァアアアッ!!!」
「これが俺達の全てだ、ベリアッッ!!!」
「ッッッ……いいだろう、見せてみろッッッ!!!」
限界突破し、可能性の殻を破った二人。対して、遂に本気を出したベリア──
「……うぉおおおおッッッ!!!」
「がぁああああッッッ!!!」
「はぁああああッッッ!!!」
──両者は怒号し、ぶつかり合った。




