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178「ダンジョン30階層~」

キャンプに入った一行は、水を飲み落ち着く事に。

水なら魔法で出せるから、小さくても水筒があれば事欠かない。

落ち着いた後は食事をして寝るだけだ、明日の鋭気を回復させなくては。

持って来た食料は半分近く無くなった。

ヨゼロスのパーティーの食料は殆ど尽き掛けているらしい。


「しょうがないですね」


ノイミラ姫は来る途中で狩った魔獣の肉を分け与えた。

またどこかで魔獣を狩って、食料にすれば良いだけだし。


「済まねえ、ノイミラさん」



「それにしても、タリエルさんとチズシアさんが魔族だなんて」


「私達が恐いですか?」


「いや、何か有ると感じてるけど、普通の娘さんに見えるよ」


「やる事は普通じゃないけどね」


ソルラの言葉で、場に笑いが溢れた。


「ノイミラさんは人族ですよね」


「そうですよ、ヴァルキュリアは一応人族です」


「ヴァルキュリアだって! アマゾネスの?」


「ラザリもそうです」


女だけの勇猛な戦闘種族ヴァルキュリアは、人族の間では有名だ。

絶対に敵に回して戦いたくないトップランクにいる。

ヨゼロス達もポーターの子供達も、背中に嫌な汗をかいていた。


「では、ビエルさんは一体……」


「ビエルはドラゴノイドなんです」


ドラゴノイド、つまりドラゴン人、人化したドラゴン。

道理で誰一人勝てなかった訳だと納得するしかない。

タリエル達のパーティーが本当の意味で只者じゃあ無かったのだ。


「でもお姉さん達は優しい人だよ」


リビガ少年の言葉に救われる思いだった。

凍りつきそうになっている場に、和らいだ空気が流れ始める。


「まあ、私だって挑まれなきゃ暴れないし」


ノイミラ姫は小声で自己弁護する。

言われてみれば、彼女の行動パターンは判り易い。




食事が終わり、一通り雑談も終わり、雑魚寝で寝る事にした。


「じゃあ、今日はもう皆眠るから、パーテーション着けておきますね」


皆、生活魔法程度なら使えるから、今回はチズシアが土魔法で仕切りを造る。

あちらのグループと、こちらのグループを分けて就寝する事にした。

こちらは淑女ばかりだから、男性達は皆あちら側に追いやった。




ダンジョン内だから、朝なのか夕方なのか判らないけど、

コロポウネが起こして来る。


「タリエル、キャンプの外にグレムリンが来てるよ」


この空間はコロポウネのテリトリーになっているから、

結界としてグレムリンは、入って来る事は無い。

建物など遮蔽物は妖精や精霊には障害にならないけど、

他の妖精のテリトリーにしておけば、入って来れないらしい。


入り口を塞ぐ土壁を崩してみると、

結界の外で三匹のグレムリンがバリアーを破ろうと足掻いていた。

先日傷付いて逃げたグレムリンが仲間を連れて来たようだ。

それにしても、たった三匹って、あいつ人望無いのかな。


「うお! グレムリンが」


「ひいっ、三匹もいるわ」


起きて来たヨゼロス達が戦慄している。

武器も魔法も効かない魔物が、三匹もいれば驚くだろう。

奴等が入ってこれない事に気が付いて落ち着いてくれれば良いんだけど。

ともあれ、グレムリンに対抗出来るのは、タリエル姫とコロポウネだけだろう。


「邪妖精が三匹もいたら大変だろうから、あたしも手伝うね」


今回はコロポウネも対戦に加わってくれる。

妖精に対して、対抗出来るのは妖精だから、実に心強い。

タリエル姫は気を強化して体に纏い、意念の剣を装備し、コロポウネと共に外に出る。


「グギャギャ」

「グギャグギャ!」

「ギャギャギャギャ」


何を言ってるのか解らないけど、早速戦闘開始だ。


ドンドンドン!


コロポウネが投網を発射してグレムリン達の動きを絡め取る。

どうやらコロポウネの投網は葉脈で出来ているようだ。

物質を素通り出来るグレムリンでも、コロポウネの武器は別格のようだ。

網から逃れようともがくグレムリンに、コロポウネは葉っぱ剣で切りつけていく。


シュバ シュバ シュバ


切断には至らないが、良く切れる剣だ。

タリエル姫は意念の剣で、順にグレムリンに止めを刺していく。

それほど時間は掛からないで、三匹のグレムリンは全滅した。


「何なんだ、その剣は、まさか妖精剣とか」


「魔法剣か? それともレアアイテム?」


「人形が私達を助けてくれた?」


驚くヨゼロス達。

彼等では妖精や精霊を倒す事など出来ないから、尚更驚きだった。


「言ったろ、この方達は強いんだよ」


ウザインがヨゼロス達に自慢げに言うのだった。


「ああ、認めよう、彼女等は強いよ、だがウザイン、お前は別だ」


「タリエルさん、その人形は一体……」


「あたしは人形じゃないよ、薬草の妖精コロポウネだよ」


「「「「「妖精だって?!」」」」」


ウザインもヨゼロス達も、妖精を見た事が無いから驚くしかない。

どうやら、妖精とか精霊は人族の前に滅多に姿を現さないようだ。

物語などでは語られるから、知らないものでも無いようだけど。



とにかく慌しい寝起きになったけど、今日は40階層を目指す事にする。

階層を進む風景はこれまでとあまり変わりは無い。

印を付けながら、横穴に入ってみたり、時々出くわす魔獣と戦い斃したり。


「何だか、この辺り明るくなって来ましたね」


ノイミラ姫は異変に気が付いた。

壁の苔が薄っすらと光を放っている。

まだ松明が要らないほどでは無いが、

下に向うほど明るくなっている様子。


人為的にそうなっている訳じゃ無いだろうけど、

下に向うほど明るいというのは、便利と言うより嫌な予感がするものだ。

時々出現していた魔獣も少なくなって来ている気がする。

途中途中にある横穴を覗きながら、歩を進める。


暫く進んだ左側の横穴は、今までに無く深そうだ。

そう思えるのは、空気が動いているのを肌に感じる。

真直ぐ先に動く者が見えないのは、通路が途中で曲がっているのだろう。

多分だが、この穴の奥にフロアボスがいる、直感もそう告げている。


どんなフロアボスがいるのか判らないけど、

ここを進まなければ、更に下の階層に降りられないかも知れない。

一同は意を決して、穴を道なりに進んだ。

曲がり角を曲がれば、先の方には広い空間がある。


その空間に入った時に、やはりフロアボスは其処にいた。

40階層のフロアボスのトロールが二頭動いているのが見える。


「トロールね」


「力押しで行けそうです」


「剣も魔法も効かない相手じゃないから、私達で何とかなりそうですね」


ノイミラ姫・チズシア・ラザリ・ビエルで片方を受け持つ事にした。

ヨゼロス・パド・ヨゼント・ウペック・ソルラ・セアドンはもう一つのトロールを受け持つ。


身の丈が3.5mほど有るだろうか、

魔獣としては、上位に入る二足歩行の魔獣だ。

おそらく、この広い空間をねぐらにしてたんだろう。

中々剣が通り難いけど、斬れない相手じゃない。


十数人の冒険者が乱入して、攻撃に掛かるトロール。

剣士であるノイミラ姫・チズシア・ラザリが前衛で攻撃し、壁役に廻る。

なるべく逃げられないように、三人で囲むように攻撃をする。

ヨゼロス達の方も、同じ戦法を取るだろう。


前後左右どちらに動いても、誰かの剣がトロールに刀傷を入れる。

トロールが腕を振り回し、攻撃してくるが、剣士達は横に素早く回避する。

死角になった所を見つけたビエルはトロールの足にパンチで打撃を加える。

遠方からは、タリエル姫が魔法攻撃を仕掛けてトロールの反撃を封じる。


ボグン


暫くはそういうフォーメーションで攻めていると、

やがてトロールはビエルに足の骨を砕かれ、地に倒れる。

見届けたビエルは、もう一体のトロールの討伐に走って行った。


「的が低くなれば、こっちの物だ」


グオオオオオオーー


ノイミラ姫・チズシア・ラザリが暴れるトロールをザクザクと斬り刻んだ。

やがて体の部分は三人の剣で斬り刻まれ、欠損していく部分が増えて行く。

トロールは段々体の自由を奪われ、遂には止めを刺される。

タリエル姫の剣がトロールの首を斬り落とした。


ヨゼロス達の方はと振り返ると、丁度倒れたトロールを斬り刻んでいる所だった。

後もう少しで決着が付くだろう。

そう思っていると、奥からもう一頭トロールが襲い掛かって来た。


グオー グオー グオー グオー


「三頭いたのかい」


「ビエル、こっちに来てー」


「はーい」


新たなトロールを囲んで、最初のフォーメーションに戻って攻撃をする。

ほどなくこのトロールも最後を迎えるのだった。

同程度の苦労で三頭目のトロールも斃しきる。


「トロールはもう出ないよね」


辺りの気配を探るが、今は静かなものだ。

どうやらトロールは全部狩ったらしい。


「はあはあ、あんた達は二体も狩ったのかよ、強すぎだぜ」


ヨゼロス達はビエルが加勢に駆けつけてから、形勢が有利になったようだ。

足をやられ倒れたトロールは、とにかく剣が届き易くなるし、的も大きくなる。

セイウチを狩るような感じだろうか。

後は希少部位を食料用に肉を切り取っていく。


「お、魔石みっけ!」


テニスボール大の魔石で全部で三つ手に入った。

二つをノイミラ姫達が、一つをヨゼロス達に渡した。

これまでに倒した魔獣からは、ビー玉位の大きさのをいくつか手に入れている。

ノイミラ姫達が二頭も倒したのだから、文句は言わせない。



今日はこのエリアの一角にキャンプをして、

翌日疲れが取れたら、更に奥を目指す事にした。

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