表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
179/397

179「ダンジョン40階層~50階層」

キャンプでの食事も終った頃、

戦士ヨゼロス・魔術師ウペック・治療師ソルラが

タリエル姫の方をちらちら視線を送って来る。


「何ですか?」


「いや、こう言うのも何だが、タリエルさんの剣を見せて欲しいと思ってな…」



「ああ、そういう事ですか、はい」


伝説の武器は誰だって憧れる。

もしタリエル姫が持つ剣が伝説の剣なら、手にとって見てみたい。

そういう思いでタリエル姫に話し掛けたいが、気が引けているらしい。


タリエル姫は自分の剣を彼らに渡した。

実は腰に差している普通の剣なのだが。


「ふむう…………」


「どう見ても特殊な剣じゃ無さそうですね」


「この剣には魔力を感じない」


「何故この剣でグレムリンを倒せたんだろう」



「あら、グレムリンを倒した剣が見たかったのですか」


タリエル姫が剣でグレムリンを倒せたのが気になっていたらしい。

普通なら邪妖精に通用する剣は存在しない。

仮に在るとすれば、『妖精剣』とか『破邪の剣』など伝説に聞く物じゃないだろうか。

彼らの結論は、伝説の武器でなければ、グレムリンなど倒せないだろうという事だった。


タリエル姫は意念の剣を、物質に固めてヨゼロス達に渡した。


「もう一つ剣が有ったのか」


「何処から剣を?」


「不思議な材質の剣ですね」


「普通の鉄や鋼でも無いし」


「もしや噂に聞くミスリル銀? アダマンタイトとか?」


「よくわからんな……」


「噂に聞く魔法剣……じゃ無さそうだし」


魔術師ウペックが言うには、タリエルは普通の魔術師とは思えないと言う。

デュラハンを倒す魔法は聖属性魔法か光系魔法しか知らないからだ。

タリエル姫を魔族と言うのは、知っているが何者なんだろうと感じているらしい。


「タリエル様は賢者ですよ」


ノイミラ姫が話に入って来た。


凄腕の剣士が揃った上に、妖精を連れた賢者とドラゴン人のパーティーだったのか。

やっとヨゼロスたちの疑問が一つに纏まり、納得が出来たのだった。

それ程のパーティーが、冒険者をしているのも不思議ではあるが。

彼女達ほどの実力があれば、王家から誘いがあってもおかしくは無いはずだ。


「私共を賢者タリエル様の弟子にして頂けないでしょうか」


魔術師ウペックと治療師ソルラが、真剣な眼差しで願い出た。


「私は弟子を取るつもりは有りません」


賢者はタリエル姫だけではないのだから、更には賢者の上に仙人もいる。

しかし、ノーチャのやっていた様な学舎はまだ計画は実現されていない。

父王ロンオロスの承認も要るだろうし、タリエル姫の独断で自由に出来る物じゃない。

そんな理由で、誰でも何時でもと言う事が出来ないのだった。


「それでも彼らが学びたいと言うなら、知識を求める冒険をすれば良いんじゃないかな」


ノイミラ姫は話を締め括り、この場は収まった。

明日からは50階層を目指す探索が始まる。





一行の進むダンジョンは、光る苔と水晶の幻想的なダンジョンに変わってくる。

そろそろ松明は必要が無いかもしれない。

頭上の空間も高くなり、壁に挟まれた道を歩いているような感覚に落ちいる。


「通路の横にある水晶って持ち帰れば高く売れるんじゃない?」


「売れますね、だけど持ちすぎると、重くて支障が出ますよ」


皆は適度に持てるだけ持って行くことにした。

ポーターの子供達は、水晶を売れば生活はだいぶ楽になるだろう。

先に進む事を考えると、今水晶を集めるより、帰りに集めた方が良さそうだ。


真直ぐ進む通路は、時々横から魔獣が出てくるが、

苦労する相手は今の所遭遇はしていない。

やがて通路が切れる先は大きな空間が有るようだ。

そういう場所には、お約束のように居るんだよね。



先にある空間にいる50階層のフロアボス、

そいつは五つの頭を持つドラゴン、5m位の大きさのヒュドラだ。

こちらを見つけて威嚇をし始めた。


「ビエル、ドラゴンだよ、どうする?」


「竜種かもしれないけど、あれは私達と違いますね」


ビエルの言うには、竜種でも獣の部類らしい。

獣だから言葉は通じない。

人で例えれば、同じように物を持つ指を持ち二足で歩いても、人間と猿は違う。

それくらいヒュドラとビエル達は違う別の種類なのだとか。


更に言うなら、ヒュドラは首を落としても復活するが、

細胞が増殖する速度は、瞬時にはならないから、

いきなりズボッと生える訳じゃないそうだ。

トカゲの尻尾が切れても、再生するのと同じ事なのかも。


「なら、頭を全部切り落とせば良いのかな」


「生命力が強いから、全部頭を失っても暫くは死にませんよ」


「とにかく、あいつを取り押さえなくちゃ戦いは始まらないねぇ」


「ビエルがあいつを押さえ込みます」


「なら、私達が頭を斬り落とせば良さそうですね」


ビエルは服を脱ぎだした、人化を解いてドラゴンの姿に戻って行く。

5m位の大きさのヒュドラと言っても、16mのビエルに比べたら小物だ。


「これが少女の正体だなんて……」


ビエルの威容に圧倒されるヨゼロス達。

恐ろしい事は恐ろしいが、ビエルは敵じゃない事に感謝をするしかない。


ヒュドラは怯え暴れて逃げようとするが、抵抗らしい抵抗にはならなかった。


ビエルはヒュドラの上に跨って、体重をかけて取り押さえ、

五つの首に手を掛け、力一杯ギリギリと締め上げる。


……一種のチョーク・スリーパーかな?


五つの頭はビエルによって自由を奪われている。


後は全員で抵抗が出来ないヒュドラの頭を落としに掛かる。

仮にも龍種のヒュドラは鱗が固くて、中々刃が通らない。

自動車を剣で破壊するような感じかも。

斧とか鉄球が有れば、龍鱗を壊し易いだろうけど。


動き回るヒュドラの五つの首は、中々ダメージを与えられないけど、

やがて皆の剣は、ヒュドラの首に傷を入れ始め、血飛沫が揚がり始めた。

カンカンカンという音が、ザクザクザクと変わってくる。


「みんな、頑張れ! 後もう一息だ」


「「「「おう!」」」」


全部斬り落とした首から一つだけ持って、

全員は入って来た場所に待機している子供達の所まで逃げ帰る。

ドラゴンモードから人に変わったビエルも後から追い付いてきた。

広い空間では、首を落とされたヒュドラがのたうっている。


あのまま放っておけば、いずれ

朽ちたヒュドラの死体を見つける冒険者もいるかもしれない。

龍鱗もまた高値で売れる希少部位だ。

しかし物を持ちすぎている今は、それほど持って帰れない。


食料の残量の問題も有るから、今回のダンジョン探索は、

これで打ち切り、サッシリナの街に戻る事にした。

出現する魔獣を倒しながら、ダンジョンの上り坂を登り続けるのはきつかった。





「あんた達はスゲーよ」


「俺達だけでもう一回ヒュドラを狩れと言われても、お断りだな」


「それ以前の問題としてグレムリンもデュラハンも倒せないけどな」


ヨゼロス達のパーティーは、冒険者から尊敬と祝福を受ける。

リビガ少年は50階層までのマップが出来上がった。

その情報は高く売れるだろう。

いくらも無いけど残りの食料は、リビガ少年達に全部あげてしまった。


持ち帰った希少部位・水晶・ヒュドラの首・トロールの首・魔石は高く売れた。

何よりヒュドラの首・トロールの首は見事斃したと言う証拠品になる。

皆冒険者ギルドレベルも上がり、ヒュドラを倒した事で、

ドラゴンスレイヤー(竜倒者)の称号も得た上に、50階層到達者の称号も得た。



ヨゼロス達、ウザイン、リビガ少年達と別れ、

タリエル姫達は一端宿で休息を執る事にした。

柔らかいベッドで緊張を解いてゆったりしたかったから。


「タリエルは自信のついた顔になったね」


コロポウネがタリエル姫を褒めてくれた。

タリエル姫もノイミラ姫も、以前のような自信の無い顔をしていない。

ダンジョン攻略で二人が一段成長した事に、チズシアもラザリも嬉しそうだ。



翌日、馬屋で日数超過分を払い、一行の馬車は次の街に向って出発して行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ