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168「剣聖ヒッポリラ姫vs仙人ノルナ姫」

ザウィハーの式典は王城の中庭で行われた。

ロンオロス王とアビスナアビスナ王太后を前にして、

左側にニホバル王子・ルリア姫・タリエル姫が並び、後ろには侍女達が控えている。

右側には、来賓であるノルナ姫の母ウィラクバリラ女王・ノイミラ姫とヒッポリラ姫が並ぶ。

庭の奥では交響楽団が音楽で式典のムードを盛り上げている。


中庭の中央に表彰台があり、正装をしたノルナ姫とキスナエレアが脇に控えている。

ロンオロス王とアビスナアビスナ王太后の賞賛の言葉が贈られ、

大臣の手から仙人に達成した二人には『賢者』の称号が受賞される。


盛り上がる音楽が終ると、二人を祝すために、

盛大な花火が上がり、王都中に栄誉を知らしめる。




祝典の儀が終わり、ウィラクバリラ女王はノルナ姫に祝いの言葉を贈った。


「母上様、もしや怪我をしているのでは?」


ウィラクバリラ女王の様子がおかしい事に、ノルナは敏感に感じ取った。

脂汗を流し、苦痛に耐える母の表情は傷を負っている証拠だ。


「怪我はここですか?」


城で治療はしてきてはいるが、治りきるには届かない。

ヒーリング魔法で傷は直せるが限度がある。

深過ぎる傷には延命効果しか及ぼす事しか出来ない。


ノルナ姫が傷口に手を当て、仙術で治療を施した。

ヒーリング魔法の上位といった程度だろうか、腹の刀傷は数秒で完治する。

城の治療で治りきらなかった内臓の傷も痛みも数瞬で癒えた。


「一体誰が母上様にこんな事を」


「ヒッポリラに敗れたのだよ」


「ヒッポリラに?」


ノルナ姫は立ち上がりヒッポリラを睨む。


「ヒッポリラ、母上様を殺す気か!」


「命懸けで王位決定戦をしただけよ」


せっかく女王に勝ったと言うのに、母上は王位委譲を認めないと言う。

ヒッポリラ姫が王位に立つためには、姉のノルナ姫を下さなければならないらしい。

この式典に来たのは、その目的も有るのだとヒッポリラ姫は明言した。


「ヒッポリラ!」


「文句があるなら、No.2の母上に言ったら?」


「ヒッポリラ、母上様を侮辱するな」


「そういう言葉はノルナ姉様が、母上様に勝ったら聞いてあげても宜しくてよ」




両王家が見守る中、片付けた中庭でノルナ姫は勝負を付ける事になった。


最初に対するのは、母ウィラクバリラ女王。

巨剣を構える女王に対し、ノルナ姫は徒手空拳で対応する。


「光の移動」


光の精霊から教わった移動で、ウィラクバリラ女王の間合いに入る。

秒速30万kmの速さの移動は、間合いを一瞬で詰める。

ウィラクバリラ女王は驚く間も無く、足を掛けられ重心を崩され、後ろに倒される。

ウィラクバリラ女王が気が付いた時には、青空を眺めているだけだった。


何が起こったのか解らないが、明らかにノルナ姫は、母ウィラクバリラを越えているのが解る。

どんな運動神経を持ってしても、秒速30万kmの速さに対応出来る者はいない。


「妾の負けだ」


ノルナ姫にウィラクバリラ女王は負けを宣言した。



「な? 何をした」


「ヒッポリラ、次はお前だ、楽には負けさせない」


ヒッポリラ姫は剣を構えて、無手のノルナ姫に対峙する。


「ちぇすとーー」


大上段から振り下ろされた剣はノルナ姫を唐竹割りに両断した。

しかし、その剣は空気を斬るように手応えが無い。


「今度はこちらの攻撃だね」


ノルナ姫の半身から、水と炎が吹き上がり始めた。


「ひっ、バケモノ」


横薙ぎに払うヒッポリラ姫の剣は、ノルナ姫を両断した。

両断されたノルナ姫は、二人のノルナ姫に再構築され、ヒッポリラ姫に歩み寄る。

人外の攻撃にヒッポリラ姫は恐怖した。


「来るなー、バケモノー」


どんな技を使おうが、剣を振ろうがノルナ姫を斃す事が出来ない。

それは剣士として絶望的な展開だ、有り得ない事態に恐怖で泣き喚くヒッポリラ姫。




「ノルナ、ウラークルみたい……」


ルリア姫は開いた口が塞がらない。


炎の闘法はウラークルから教わったものだ。

ヒッポリラ姫の攻撃は、ノルナ姫に有効なものは何も無い。

虚しく剣を振るう度に、炎と水のノルナ姫は増えてヒッポリラ姫を取り囲む。


ノルナ姫達は静かに腕を伸ばし、ヒッポリラ姫を指差した。


「風の暴威」


あああああーーー


次の瞬間、ヒッポリラ姫を中心に竜巻が起こり、

荒れ狂う竜巻の轟音と共に、ヒッポリラ姫は空高く巻き上げられていった。


「愚か者めが」


分裂したノルナ姫は融合し、元の姿に戻って行く。


「ノルナ、お前……」


「大丈夫でしたか? 母上様」


「ノルナは人間を辞めてしまったようだの、妾の子供でもなくなってしまったとは」


「いいえ、私は何時までも母上様の子供ですよ」


「だが人間じゃない者は、アサスウイアの女王にはなれないぞ」


「ふふふふ、私はハユバムの、ニホバル殿の嫁でもあります」


「女王の座はやれないが、守護神の座なら用意出来そうだの、ふふ」


ロンオロス王達も、ニホバル姫達も、ノイミラ姫も言葉が出なかった。

ノルナ姫とキスナエレアが目指した、仙人という者の実力の一部を見せられた事。

それは最早常識を超えた未知の何かを二人が手に入れているのだから。



城の衛兵達総出で探索し、やがて見付かったヒッポリラ姫は、

生きてはいるが、全身骨折で無残な有様だった。

もはや戦士として復帰するのは無理だろう。



半分隠居を決め込むウィラクバリラ女王は、頻繁にハユバムに来る様になった。

いずれはノイミラ姫が女王を襲名する事になる。

そのためにも、政治学や帝王学をニホバルと一緒に学ばされる事になった。

ノイミラ姫は、ハユバムにて強化合宿という名目で置いて行かれる事に。

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