164「ノルナの修行③頑固者ノルナ」
「ノルナ姫様、今日からの修行は呼吸法です」
「へ? 息の吸い方?」
体内に『気』を取り込む他の特別な呼吸法があると言う。
名付けて『武息』。
①息を思い切り吐き出して肺の中を空にする。
②鼻からゆっくり息を吸う(この際、大気中の気を吸い込む瞑想を行う)
③しばらく息を止め、取り込んだ気を丹田に降ろして行く。
④使い終わった気を息と共に吐き出す。
後は②~④の繰り返し。
丹田に下ろした気は次第に増大するから、凝縮させて行く。
「ここまでが武息の概要です、最初の頃はきつくなると思いますが、頑張りましょう」
「はい、キスナエレア師匠」
しかし、特殊な呼吸法は普段の呼吸と違って、
意識的にする変則的な呼吸だから、長続きしない。
数回の呼吸で息が苦しくなって続かなくなって来る。
「大丈夫ですよ、ノルナ姫様、私も最初はそうだったんです」
「師匠もですか」
何日か続けていると、『武息』も長時間続けられる様になって来た。
それと共に、下っ腹が熱くなってきた。
最初の頃は、ポカポカと温かいだけだったが、
熱湯を掛けたような熱さに、思わず飛び上がってしまった。
手でバタバタと叩いて熱を散らす。
「アチ、アチアチアチチチチ」
「だいぶ『気』が濃くなって来たようですね」
ノルナにも、濃くなってきたのが体感出来る。
【『気』は凝縮すれば物質となり、散ずれば大気に溶け込む】
という説明も体験として理解が行く。
丹田で熱くなった『気』を尾?骨に降ろして行く。
次は尾?骨から背骨に沿って、頭の天辺へ、
顔を伝わせ、上顎に着けた舌を通じ、口から吐いて行く。
第7チャクラ(サハスララ)頭頂
第6チャクラ(アジナ)眉間
第5チャクラ(ヴィシュダ)喉元
第4チャクラ(アナハタ)心臓部
第3チャクラ(マニプラ)丹田
第2チャクラ(スバディスタナ)陰部
第1チャクラ(ムラダーラ)尾?骨
『気』を回す際に、第1から第7の要所要所で、
一端留めて温養するように指導される。
「ノルナ姫様、この行が小周天と言います」
これが出来るまで時間が掛かってしまった。
出来るようになると、次の修行に移行する。
次の修行は『煉気』。
熱くドロドロしている『気』の密度をもっと高めて行く修行だ。
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「ノルナ頑張ってるねー」
ルリアとタリエルが陣中見舞いに訪れた。
「ルリア達だって遺伝子の研究をして来たんだろ、負けられないよ」
「ノルナ様はホント、負けず嫌いなんだから」
「私が不老不死の仙人になったら、寿命で先に亡くなるのはルリア達になるだろうな」
「「う!」」
ルリア姫とタリエル姫は絶句する。
ニホバル王子とルリア姫とタリエル姫は寿命が長いと言っても、700年の命だ。
「ノルナの言う通りかもしれないけど、兄ちゃんとルリアとタリエルは、揃って年老いて亡くなるからね」
「そ、そうです、ノルナ姫様だけが残されると思います」
「う!」
今度はノルナが絶句する。
「な、ならさー、皆で仙道習えば良いんじゃ? 皆で寿命を克服するとかさー」
皆は直ぐには結論が出なかった。
とは言え、寿命の長いルリア姫とタリエル姫に対抗する為にも、
ノルナ姫は修行を投げ出す訳にはいかない。
例え不老不死でも、長く生きれば、何かしらの智恵も在るに違いない。
「ノルナ姫様、修行どうします?」
キスナエレアがノルナ姫の覚悟を聞いて来る。
「キスナエレア師匠、もちろん修行は続行です、覚悟は変わりません」
アマゾネスの根性は半端を許さないし、負けも認めない。
こうと決めたノルナ姫は折れないし、引く事もしないのだった。
『虚仮の一念、巌も通す』の諺を体現する者そのものである。
頑固者も甚だしいとも言うが。
「負けてなるか、キスナエレア師匠、修行を付けて下さい」
「はい、ノルナ姫様、一緒に頑張りましょうね」




