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155「忘却の彼方へ」

「じゃぁ、私ら帰るね」


謎の心霊現象は全て解決し、大元の原因も断った。

シレラ・ミモ・タリマ・ピルアーナは、このまま元の世界へ直帰する。

本音を言えば、ルリア達のいる世界を観光したい気持ちはあった。

しかし、ミモが何もしなくても、悪目立ちするから無理がある。


「あ、帰る前にこれ渡しとくね」


ルリアにシレラからメモが渡された。

ニホバルからのお願いが書かれている物だ。

ポータルはシレラ達が潜ると、光の輪は次第に閉じていった。

光が消えると、元の部屋の風景が戻って来る。



「あ、あの、あの人達は一体……」


目をパチクリしながら、思考をまとめようとする藤田さん。

タリマの智の迷宮の影響で、もう少し時間が経てば、現実と妄想が入れ替わる事になるが。


「ああ、あの方達は神とジンニーヤです」


「神とジンニーヤ?」


「三面十臂の最強の戦女神、チャンディー・ヴィカラーラ様と無属性の精霊なんですよ」


「チャンディー様の別名をドゥルガーと言いますね」


藤田さんは段々驚かなくなって来ている。


「ドゥルガーって、インドの神様?」


「出身はそうなのかも」


「ジンニーヤって、ランプの魔人の女性版だったような」


「そう、それですね」


「何だか凄く納得しました ? そういえば私、除霊に来たような記憶が…??」


「それはもう終りましたよ」


「さすが藤田さんです、助かりました」


「そうだったかしら……??」


話はいつの間にか、『神』や『精霊』のファンタジー談義をしている事になっている。


「なぁんだ、やっぱりタリエルさん、こういう話が好きなんじゃないですかぁ」


「だって、人前で話すのって恥ずかしいでしょ」


どうやら、藤田さんの記憶からピルアーナやシレラ達の事が、妄想の彼方へ追いやられた様子。

今はルリアとタリエルに、ファンタジーの話をしていただけという認識に収まった。

彼女の中では、ピルアーナやシレラ達は、自分の作り出した想像上の人物と思っている。


「また、良かったらタリエルさんもルリアさんもサークルに遊びに来て下さいよぉ」


「ごめん、それはちょっと…」


あそこの雰囲気はタリエルには苦手だった。

妄想の世界で遊ぶ者と、ファンタジーが現実の者との違いは明確だから。


「今からコーヒーを淹れるから、飲んで下さいね」


チズシアが飲み物とお菓子を用意を始めた。


「そういえば、さっきのメモは………」


メモは買って来て欲しい物のリストだった。

米、味噌、醤油、胡椒、ワサビ、カラシ、カレールゥ、ごま油、日本酒、焼肉のたれ、等々


「何ですか、これ、誰か料理屋でも始めるんでしょうか」


藤田さんは、ルリアが読み上げる調味料ばかりのメモの内容に不思議に思うのだった。

しかし、ルリアにはニホバルの思惑は透けて見える。

ルリア達が帰ったら、また父王と母上、兄ちゃんで親子の(ささ)やかな食事をするのだと。


「チズシア、このメモの品物を箱買いでお願い」


「姉さん、何か私の知らない良い事企んでるでしょ?」


「タリエル、その時には貴女も呼ぶわ」



「あのー、私も行って良いですか?」


藤田さんも参加したそうだけど、それは無理。

ザウィハーに連れて行く訳にはいかない。

これらの荷物は国に送るのだと説明した。


それにしても、ルリアさん達の国って何処なんだろう、

知りたくても、極秘扱いになっているから、聞く事は出来ないのだが。

それでも会社の人じゃない、チズシアさんに聞いてみれば、或いはと考えた藤田さん。


「チズシアさん、あなた達の国って本当はどこなんです?」


「ハユバムですよ」


タリエルと口裏を合わせたかのように、同じ事を応えるチズシア。


……ああ、やっぱり教えてくれないのか。


明日、会社でまた会いましょうと別れて帰るのだった。

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