ゲイルムーヴ・ドリームライフ その結末
無人島に帰ってきました。移動魔法? 神様の力だから魔法ではない可能性もあるな。とりあえずルールとしてイベント前にいた元の位置に戻されたわけだが……言い方が怪しいな。誰か落下中に転移した人でもいたのか?
さて、フラムがお気に入りにしている倒木をくりぬいて作ったベッドに向かったところで大事なことを始めよう。
《イベントポイントと報酬を交換しますか?》
「いえす」
イベントの醍醐味というやつだな。いまいちポイントの獲得条件が分からないが、リヴァイアサンとか倒したから結構貰えているわけだし。
《こちらのラインナップから選択してください。ポイントを越える報酬は獲得できません。
あなたのイベントポイントは1866837です。》
「多い……んだよな? ポイントの内訳的に一位だろこれ……」
ポイントの内訳としては『落魔討伐』で50万、『グイネヴィア方面金剛兵戦・撃破』で50万、『グイネヴィア方面ジェネレイドボス討伐』で50万、後は細々とモンスターの討伐が並んでいた。スタンピードの時のやつだろう。ミルニードルクレイドルの名前あるし。お? 『現地の子供を助ける』がある。そういうのもポイントになるのね。3万ポイントだから高めだ。
『落魔討伐』はリージェスとの折半ぽい。『グイネヴィア方面金剛兵戦・撃破』は独占だろう。きちんと全部のゴーレムを倒したしな。というか50体いたのか?
「こう見てみるとポイントの確保はヒロイックな活躍に関連してそうだな。
ああでも、コンテストも国の無実を晴らすのもイベント以外で使える金が手に入る訳だし……バランスは取れているとも言えるな」
イベント限定報酬とこれからも使い続けるマニーと、どちらを取るのかと言われれば悩むところだ。まぁ選択肢が出ていたわけではないので結果論なんだが。
さてさて気になる報酬は、っと。はーん、必要ポイントの低いところは1ポイントで薬草なり種なりが並んでいる……やべぇ! 見たことないアイテムがいっぱいだ! 何故ならばここは無人島だから!!
「見ろフラム! 薬草にカボチャの種、ナスの種、ニンジンの苗、玉葱の苗、じゃがいもの種芋もある! どうする!? 無人島で農業始めるか!?」
「ふみゅ?」
分かってる、分かってるんだ、どう考えても初心者救済どころか今さら誰も買わないような安いものなんだろう。でも俺は見たことがないんだよ、全部。残念ながら写真がないのでこの世界の薬草がどんなものか俺は知らないのだ。町売りはポーションからだったからな……。
「あ、ロープとピッケルもあるな、これあの街だと売ってなかったたけど……そりゃ国で採掘を取り締まってたなら売らないわな。ポイントは3消費……安いな、買う買う」
これで無人島の開拓が出来る……釣竿もある! なるほど、ここら辺は初期生産職向けアイテムゾーンだな。スクロールバーもまだまだ先があることを教えてくれているが……無人島暮らしなもんで、こういうのにも憧れがあるんです。
「あ、後から個数の変更が効くのね。こういうのありがたい。
えーっと錬金術関連? 分からん。まぁいいや5個ずつ買えば。お、調理道具ゾーン入った。けど漂着物で足りてるな……」
漂着物で足りているという、発言も大概だが。ラインナップに調味料は無いし消費アイテムというわけでもないからな。
そこから先も色々とアイテムが並んでいたが興味が引かれるものは無かった。いや、封印札とか契約札はあの狐悪魔を思い出したが……あれ? もしかして封魔符師になるためには必要なアイテムだった?
「ん? ここからポイントがぐんと上がったな」
上級ポーションとか色々な消費アイテムが並んでいる。蘇生薬なんかもあるがソロプレイなんで関係ないな、でもこういうイベントで使うかもしれないから上級ポーションと一緒に3個ずつ買おう。1個1万ポイントか。
『現地の子供を助ける』でポイント貰えたんだ、蘇生したらどうなるだろうな。元は取れるんじゃないか?
状態異常にするアイテムは要らないな。所謂デバフアイテムもあったが正直普段の相手は攻撃を食らったら一撃でやられるような奴らなのでデバフは関係ない。攻撃力を下げても当たったら死ぬ。
「更にポイントが上がって……ああ、イベント限定アイテムか」
封魔符師の秘伝書・・・ジョブ選択に封魔符師が追加される
剣鮫の封魔符・・・モンスター:一伐鮫(幼体)が封印されている札
なるほど、封魔符師になりたい人向けだな。秘伝書はどうでもいい……いや? 待て待て、確かここら辺に……そうじゃん。
「譲渡不可も売却不可も書いてない……マジか!!」
実は蘇生薬と上級ポーションには譲渡不可、売却不可と書いてあったのを俺は見逃していなかった。しかし、だ。
封魔符師関連はその文字が無い! つまり売れる!
……いや転売は良くないな、普通に良くない。
「譲る方向で考えるか……。そもそも俺とリージェスしか買えない可能性もあるし宣伝として弱いもんな……。3個ずつ買えば……って剣鮫の封魔符は1枚制限なのな。じゃあ、俺のコレクションにしよう」
秘伝書が20万ポイント、剣鮫の封魔符は5万ポイントなので65万ポイント。細々としたアイテムと合わせて現在78万とちょっと。
そもそも譲るって誰にだ? うーん、ジンギスさんに渡してギルド? で希望者でも募ってもらうか。
「ん? イベント記念フィギィア? ……買おう」
譲渡不可・売却不可だけど……こういうの好きだから。お爺ちゃんもトロフィーいっぱい飾ってるしな。俺も真似しよ。5万ポイント? うるせぇ欲しい。
折角なので100万を残して他は細々としたアイテムで埋めることにする。3万ポイントは上級ポーションにして後はピッケル重点。本数制限無くて助かる~。
ピッケルだけで500を越えたけど気にしない。アイテムボックスに入らずとも竜宮洞に置ければいい。なんなら木の虚の安全地帯に収納しておけば良い。だって俺しかいないもん、この島。
「ここから1個50万を越える超高額報酬か。まぁ本来は大勢で挑んで倒すようなボスクラスのソロ討伐と同じとなると……取れるのは俺とリージェスくらいか? あ、コンテスト結果もポイント貰えるのか? ならあんま当てにしないほうがいいな」
コンテストは結局ノータッチだからなぁ……。聞いた話だとセーベルさんが鍛冶技術部門で一位を取ったらしいが。うん、スライム素材で。すげぇなあの人……。
50万ポイントの『水棲魔物の卵』、『陸上魔物の卵』、『飛行魔物の卵』は職専門と書いてあるので選べない。テイマー、お前ら見かけてないけど大丈夫か? 息してるか? 何かとゲームではテイマーが不遇職になりがちなんだよな……。全員テイマー&ファーマーだったアトラクトファームは除く。
そんな中、何故か『昆虫魔物の卵』だけが15万ポイントと低い上に職専門と書いてない。お前……不人気なのか? だから職専門って書いてないのか? 可哀想になってきた……。
「60万が最高で? 起動可能ゴーレム……買っていいの? ちょっと欲しい……。
でも戦闘能力無しだと要らないな」
リージェスは買うかもしれない。後で聞いてみよう。
「60万……『古代怪魚の卵』は職専門、『古代怪魚召喚魔術・秘伝』も職専門、『ドミナディ騎士団装備一式』はフリーだけど誰が買うんだ?」
うーん、めぼしいものがなくなってしまった。
そんなこんなで、『昆虫魔物の卵』が目の前に3つあります。
「みゃう?」
「食べないでねフラム。この子達はそう、フラムの弟か妹になるから」
「うみゃ??」
買ってしまった……いやポイント余るし個数に制限が無かったし……はい、すいません完全に欲が出ました。
折角買えるなら……とも思ってしまった。何より育てれば広範囲を捜索するのに優秀だよね。フラムは飛べるけど白いから目立つし。
餌で派生してスキルとか覚えてくれないかな。梟の肉食べさせまくろうか。あ、それはフラムがやってるじゃん。効果無さそう。ちなみに卵の見た目はダチョウの卵を緑色で塗ったような感じだ。
さて、アイテムは目の前に転送されてきたので竜宮洞に置いておく。あ、限定フィギィアだけは壁に穴を掘って飾っておこう。見た目はリバイアサンを土台にバイクに乗った誰かの姿とゴーレムを蹴り抜く誰かだ。片方鳥人間じゃん、誰だよ全く。心当たりしかねぇ。
大量のピッケルだけアイテムボックスに入れて外に出る。フラムは卵達とお留守番だ。よろしくね。
今ここに! 第一回イベントでの一番の報酬であるピッケルくんの初陣を始める!! 採掘ポイントは山の方が多いと思ったのでいつもよりも遠出しています。背後から小鳥に突き刺されて死んだので実は2回目の挑戦です!! 速すぎんだろ……。
竜宮洞の存在から分かってはいたけど、この島案外大きい。まず間違いなく山のように隆起しているんだろう。見る限りでは高山というほどでは無い、のがなんとなく違和感があるんだよなぁ……。巨体なカブトムシが急に現れるくらいだし気にしたら負けか? ゲームだしな。
一先ず竜宮洞を外から回って登っていったわけだが採掘ポイントというのが表示されるのはありがたい。黄色い下向きの三角形で示された岩をピッケルで叩く。
カキィン!!
岩は残り、ピッケルだけが壊れた。無情過ぎない?
しかし採掘はできたようでアイテムはドロップしていた。よかった……。これでピッケルを壊しただけだったら流石に泣いてた。手に取って鑑定してみる。見た目は青い六角形が敷き詰められたハニカム構造のお手本みたいな半透明な石だけどどうかな?
アストロクォーツ・カプリコーネ レア度:★8
竜脈付近の地中から隆起するアストロクォーツの中でも大地の力を宿したカプリコーネの名を持つ石。かつて存在した星の精霊は幾度の戦いの末土に帰った。既に彼らへの信仰は失われている。
「なんか悲しいこと書いてあるな。まぁきれいだからオッケー」
というかクォーツ? 水晶だか石英だっけ。え? このハニカム構造もしかして割れた角度のせいなの? 本来の姿はトゲトゲな六角柱だったりする?
その後もカンカンガンガン連続して採掘をした。持ってきたピッケルが半分以上壊れてもアストロクォーツ・カプリコーネが23個とアストロクォーツ・トーラス20個、エラーマテリアルが7個だ。このエラーマテリアルが面白いんだ。見た目は細長い円柱なんだけど妙に手に馴染む。それに効果というかテキストも侮れない。
エラーマテリアル レア度:★7
地中に眠っていた魔物の魔力が長い年月を掛けて結晶化した不純な魔力の塊。発見される以前は発掘された魔鉱物に混ざり溶鉱炉での爆発事故が稀に起きていた。
「危険物じゃねぇか」
という一幕もあったものの、とりあえず同じものばかり手に入るので違うところに移動しようかと思っていたのだが。
「足音?」
それも二足のような四足のような、どちらとも言えない音だ。結構な重量級の気がするが猪将軍ほどじゃない。それにしても妙だ。
「この島で足音だと? ドラゴン以来だぞ」
猪将軍は俺から見付けたのでノーカウント。小鳥ことトツゲキイカル、犬ことクルーエルウルフス、味付け肉ことヘルペッパージャッカル、角の生えたウサギもいたが……どいつも足音は立てていなかった。だからこそ初見殺しだったわけだ。
生物が生きる上で大切なのは天敵に狙われないこと……そう考えればこの足音は天敵のいるモンスターではないのだろう。
「まだ見ぬ強敵……」
アイテムを全てしまってヤドリギを一本取り出す。ドラゴンの剣でも良かったんだが負けることを考えるとまずはこれしかない。
近付く足音、今俺は武器以外の装備を全て置いてきた安いTシャツとハーフパンツという出で立ちだ。失うものは何もない。思う存分初見殺されることができる。
「さぁ、何が来る……?」
犬、猿、鳥はもういるぜ? 鹿か熊が怪しいか?
森を走る音が近付いた頃には月明かりが奴の正体を晒した。がしかし、
「気持ち悪っ!!?」
という感想しか出ない。見た目は……想像することすら躊躇うのだが、薄暗い夜に月明かり程度だったのが幸いした。奴はどう見ても……ホラーゲームで登場するヤツだ。
身体は四足、獣ではなく人の足が四本。腕はインド系の神にいそうな四本で、その肉体は筋肉質だが辛うじて服と言えなくはないボロボロの布を纏っている人間の男のものだと分かる。人と人を合わせたケンタウロスみたいな異形の姿。
その顔……1つしかないのは良いのか悪いのか、首から続く人間の顎まではいい。その上は深海魚で見たことがある。デメニギスとかいう魚のように、ゼリー状の頭部の中に眼球がある。そしてその目は、俺の声に釣られてかこっちを見た。
すぐに近付いて攻撃に移る、異形すぎる見た目を意識しないように背後に回りたい。
「先手は貰う、《クロノススラッシュ》!!」
あ? 音すら出な、い?
「……」
胴を狙った一撃を奴は右上手で受け止めた。おかしい、振り抜きすらできないのは始祖鳥の時に弾かれるという形で起きたが、受け止めた? ダメージ判定も無いのか?
「うおっと」
右の下側の手で頭を捕まれた。そして持ち上げられて……おい待て左の二本はなんだ弓を引くように後ろにさ下げて? くっ、覚悟を決めたぞ来いやオラァ!
「が、ぐ、ぐ、がはらが、さばがあ、まぶぐがば」
痛い痛い痛い、ありえねえぐらいの回転率で顔を乱打された。もう顔の原型留めてないんじゃねぇかコラ。
体力は一瞬で無くなったというのに、気を失うまで殴られていたような感覚があった。
アストロクォーツ
災厄が活動していたときに星そのものが対策として産み出した12の大精霊が人間も巻き込んで、頑張った甲斐あって七罪と七星までは封印した。残念ながら自分達も力尽きて竜脈に還った。この石をアクセサリーや武器に使うとさまざまな加護が付く。
MVPはヴィエルジュとパイシーズ。本体が強いというより加護の付与された武器性能が優秀。
しばらく出ないです。




