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ピッキングアウト  作者: もぶ
歴戦の竜と無謀なる者
22/72

レベルアップ……と違和感

明けましておめでとうございます。


新年早々仕事に引っ越しに忙しくて遅くなってしまいました。申し訳ございません。

 朝、ログインしました。場所は昨日のログアウト地点である竜宮洞。簡単に言えばドラゴンの家の前だな。


 さて、ハンドガンを1つ取りだして魔力チャージをする。いつの間にか6発消費してたのか。今ので18減った。これでヘヴィスラッシュが使えなくなったな。


 ハンドガンをしまう。とりあえず……一回死ぬ(リフレッシュ)か。と言っても無駄死によりは挑戦の結果にしたいな。


 記念すべき最初の獲物はどれにしようか。強そうなアレにするか。


「初レベルアップは初戦闘の相手ってね」


 まぁ見付けるまでに何かに遭遇しそうだけど。




◆ ◆ ◆ ◆ ◆




 1回死んだわ。朝は遭遇率が少ないから大丈夫とか思ってたらハナカマキリに捕まった。見たことない花だったから確認しに行ったら捕まって食べられた。うーん、そういうパターンもあるのか……。そもそもこの島、花なんてリィン・カーネーションしか見てないんだけど、赤い花あるの?


 そんななかで見つけたのは鳥の巣。木の根本の窪みを集中的に調べていたら発見できた。これはおそらく心臓大好きな小鳥のものだろう。

 地上性の巣は茂みやこういう木の窪みにあることが多い。そして採取のマーカーが出たので卵を取ってみる。


《【流鏑覚(やぶさめ)の卵】を獲得しました》


 流鏑覚……? ヤブサメ? そういう鳥いた気がするけど……、


トトトト


 足音、来る! 振り向き様に剣を盾として心臓の前に構える。


 ギィン!


「シィ!?」


 物凄い衝撃に手が痺れる。カウンターバッシュではない剣での受け。それは鳥にも大ダメージだろうという俺の予想は……当たったようだ。


 貫く勢いで飛び込んできた鳥を迎撃した俺はその体躯の差を活かして上から切りつける。頭への強い衝撃に混乱していたのか鳥はまともに食らう。そのまま切り返しもいいのが入った。


「体力は少なそうだけど……敏捷特化だろうな」


 頭を振って混乱から抜けた鳥は……全長20cmくらいの茶色い羽。尾が細長い、いつものとは違うのか? それとも雌雄で違うとか? 鳥だし、その可能性はありそう。


 鳥は俺を睨み付け……翼を少し開いて俺に向かって駆け出した。対して俺はビギナーズソードを両手で持って足から力を抜く。流鏑覚は助走から速さを確保して下から上への滑空!

 それに対して俺は野球のバッティングフォームの構え、体をずらして上手くバット()を振り抜く! 内角高め(心臓狙い)は変わらないな!


「オッラァ!!」


「シィ!?」 


 拮抗は一瞬、どんなに豪速球であっても壊れない初心者武器には叶わない。腰を捻って思いっきりフルスイングした剣の面にぶつかった流鏑覚は再度吹き飛ぶ。

 ステータスじゃない、物理的な勝負であれは人間対鳥なら人間のほうが有利だ。


 といっても手が痺れて動かないけど。衝撃凄かったからな。


「さて、さすがにストレート(直線軌道)だけじゃないよな」


 こっからだ。羽を少し開くということは微調整も翼で行えるだろう。さぁ、第三球目。来いよ。


「ピッチャー第三球……振りかぶって……」 


 投げました(飛びました)


「目で追えなくてもな、刃をそこに置くことはできるんだよ」


 やつの狙いは心臓、それだけは変わらない。なら後はビビらぬ度胸、揺るがぬ心、今までは拮抗だった! それを俺の覚悟が押し返す!


 残像を描き鋭い槍と化した流鏑覚、俺を翻弄するかのように俺の周囲を飛び回る閃光はどんどん速度を増し……。


 タイミング、それだけをしくじるな。惑わされるな。両手で支える剣、そして鋼の精神。それだけあれば十分だ。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() 


 猛スピードで心臓に向かう流鏑覚に剣の刃を向ける。そしてその一瞬に。


 俺は足を踏みしめる(アンカーフッド)だけでいい。


「シ、シィ…………」


「残念ながら、初見殺しが精々だよ。お前らは」


 圧倒的速度、そしてその習性(設定)が故に心臓目掛けて飛び込んだ流鏑覚は……その身体を自ら分断した。


「こういう簡単なレベリングを許す辺り、運営の意地の悪さが見えるな」


 さぁ、待ちわびたレベルアップの時間だ。


《経験値を獲得……Loading》


《称号【大器晩成】を確認。取得経験値が半分になります》


《プレイヤー:ゼノンのレベルが13になりました》

 

《ステータスポイント26を獲得。

 称号【大器晩成】を確認。スキルポイント26を獲得》


《ドロップしたアイテムがアイテムボックスに送られます》


 まだまだ行こう。俺はまだ腹が減ってるんだよ。







 食い殺さんと噛み付こうとする2つの顎はそれぞれ違う獲物を挟み込む。俺は二つの得物(短剣)を押し込み地面に向けて獣ごと叩き付ける。生物の弱点は口だ。そして知性ある生物の武器は重力だ。重さによって加算された一撃は低い攻撃力を物ともせず2匹の顎を切り裂く。


 レベル1でも不可能ではなかった撃破、それに踏み切れなかったのは俺がドラゴンを一番最初に倒したかったから。他のモンスターの攻略は寄り道と思っていた。


 でも今は違う。圧倒的強者に、己の全力をぶつけたい。死んでリスタートして追い掛けて戦いを続ける?


「甘っちょろいんだよバカ野郎が!!」


 背後から来る犬に銃を取り出し対応。噛み付きに合わせ引き金を引く。これでも食らえ。


 嘗めプとかじゃない。そんなプレイング、魔王だって待ちくたびれるわ! 「よくぞ来た」を繰り返したらただ興醒めなんだよ!


「友人にそんなダセぇ真似できるかよ!」


 顎を蹴り上げ腹にヘヴィスラッシュを二回当てる。そして喉笛を切り裂いて出血させる。こんなに防御が薄いなんてレベリング用ですと言わんばかりじゃねぇか。


「弱肉強食がこの世の常だ。犬の群れごとき俺の敵じゃなかったんだよ」


 慣性を武器にスティックを振り下ろす。一切歪むことがないスティックは勢いをたわむことなく犬の首に伝える。首の骨が折れたら大体の脊椎動物は死ぬんだよ。


「かかってこいコラァ!!」


 群れは後五匹。俺も止め用の武器は五個あるぜ偶然かな? 軒並み死ぬまで可愛がってやるよ。






「待たせたなナマズ。ご飯の時間だぜ」


 一番最初に攻略法が思い浮かんでたのはこいつだった。鳥は攻略というよりは動ければ行けるかなーって感じだったからな。とすればスティックさえあればいいこいつのほうがイージーゲームだろう。


 木の棒を目印にしていたから場所も分かりやすい。木の棒を四隅にその中心地がナマズの口だ。そしてそこに飛び乗るのはスティックを持った俺だ。


 ガバァ! と静かにだが素早く口を開き俺を奈落へ誘うナマズ……まぁ、噛み付くことは許さないが。


「ヒシィィイイ!?」


「つっかえ棒はどうだい? これはトッピングな」


 銃で口内に6発打ち込む。うーん、ダメージは無さそうだな。じゃあ得物変更、ビギナーズソード。


「フゥー……《アッド》《ヘヴィスラッシュ》、《切り返し》」

 

「ヒシャァ!?」


 エネミーエコシステムを採用している場合、そのエネミーは弱点とは別に生物的脆弱性というものが必然存在する。そりゃあそうだろう?

 牙が刺さらない獲物に誰が噛み付く? 角が刺さらない喧嘩になんの意味がある? 目を潰すことに意味がないのならば、ピラミッドが完成しなくなる。

 分かりやすく言おう。毒で倒れなかったら有毒生物は淘汰されてしまうんだ。


 生態系でHPのシステムは適用されない。だって適用されていたら丸のみされて死ぬはずないもんな。 


 野生動物が喉笛を噛みちぎるように、爪で喉を切り裂くように、身体の中から食い破るように。背中よりも腹のほうが肉が柔らかいという当たり前。


 といっても、あのカブトムシみたいな魔物として生態系にそもそも組み込まれないタイプは関係ないけどな。あれ肉食ではないから生態系ピラミッドだったら一番下と同じ枠だもの。んなわけあるかい。


 ああいうギミックによって発生するエネミー、徘徊型ボス、そして勿論エリアボスというのはその生態系に関わらない食事をする。関連するのが魔力ってやつだな。巨体を動かすのにカロリーだけじゃゲームは成り立たない……そういう話だ。


「毒を食らわば皿まで……っていうけども、お前雑食とかじゃなく、ただ重さに反応しているだけだもんな。じゃなったら()()()は吐き出してるよな?」


 ギギギギと音を立ててその口を閉じようとするナマズ。だがスティックに阻まれてそれは不可能。そしてこのスティックが突然消えたら……すごい勢いで閉じるよな?


 剣の位置を調整し、その切っ先を内側から奴の脳に向けて……どこだろ? この辺? 


 スティックを収納。


 バグン 


「ヒ、ガァ…………」


 閲覧注意……血まみれになってしまった。というかこの島、難易度低いのか? それとも……このゲーム自体魔法に重きを置いていない……とか?


 まぁいいや、経験値経験値。


《経験値を獲得……Loading》


《称号【大器晩成】を確認。取得経験値が半分になります》


《プレイヤー:ゼノンのレベルが28になりました》


《ステータスポイント12を獲得。

 称号【大器晩成】を確認。スキルポイント12を獲得》


《獲得したアイテムがアイテムボックスに送られます》


 順調そうに見えて……なんか違和感。


 あのドラゴンにカブトムシがいる島のエネミーを3種(計8匹)倒してまだ28レベ? 勝手に付いた称号で半減しているとはいえ少なくね?


 ……もしかしてだけど倒し方で経験値下がったりします?





経験値


 経験の値なので取得には差がある。顕著なのは崖からモンスターを落として倒しても取得経験値は戦闘討伐と比べて一割にも満たない数値になる。

 ちなみに崖から岩を落としてモンスターに当てる、首の骨を折るなど生物的ダメージの場合もかなり減る。

 ナマズことトラップホールフィッシュ討伐の経験値は実は1割以下、の更に半減。でもレベルは6上がった。

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