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寿々の迷い

これから少し更新が遅くなるかもしれません。すみません。

夏休みが明けた。暦はすでに秋なのに、いつまでも残暑が厳しくジリジリと焼かれる。



夏休み明け最初の休日。寿々は今日も真澄のところにきていた。最近は芳宏もいたりいなかったりしている。今日は仕事だと屋敷にはいなかった。



ここ最近寿々の心を占める悩みが自然と顔に出ていたのだろう。話題が途切れたタイミングで真澄に声をかけられた。



「寿々さん。元気がないようだけれど、何か気になることがありまして?」



そういいながら、カラフルなマカロンを勧められる。

少しの間話そうかどうか迷ったが、ここ2ヶ月近くの間に真澄とはかなり打ち解けていた。なので、素直に真澄に話してみることにした。



「あの、真澄さんは芳宏さんとつがい同士だと聞きました。真咲さんに好意を持ってもらっているのですが、最近どうしたらいいかわからなくて。」



「そうなの。私がはじめて芳宏出会ったのもちょうど高校生の時でしたのよ。その頃の芳宏はすごかったの。私、ヤンキーって初めて本物を見ましたわ。」



そう言うと真澄はコロコロと笑った。今のスポーツマン然とした芳宏から当時の様子は全く想像できない。

そもそも寿々もヤンキーはみたことがない。寿々の精一杯の知識から、リーゼントで胸くらいの丈しかない学ランと裾が窄まったズボンを履いた芳宏を想像してみたが、全く想像がつかなかった。



「私は生まれた時から家族と呼べる人たちはいませんでしたので、どうしたらいいのかよくわからないんです。つがいというのも本当にそんな人がいると思わなくて…。そもそもつがいってどういうものなのかも実感がなくて。」



普段は言えないようなことも、なぜか真澄に対してはするりと口から出てきた。真澄はおっとり笑う。


真澄はクッキーを1つ摘み、紅茶を飲んでから言った。



「そうねぇ。私たちの場合はだけれど、少なくとも私にとって芳宏さんは一目見た時からかけがえのない人ですわ。目が離せなくてそばにいると居心地が良くて。もちろん言い争いになることもあるけれど、それでもお互いに妥協点を探りながら生活していくのは他のご夫婦と変わらないのではないのかしら。」



寿々はマカロンを1つ口に入れた。口の中でホロリとくずれた。



「でもね。1番は、後悔しないことだと思いますわ。私たちが結婚するときも、いろいろなことを言う外野がいました。それでも、その外野に負けて何もせず芳宏さんとお別れするより、ダメでもやってみようと思ったのです。だって、失敗したところで困ることってあまりないでしょう?死ぬわけでもないし。」



死ぬわけではないとはまた極端だ。大胆な言葉に、寿々は驚いてしまった。



「まだ高校生なのだし、思うがままにやってみたらいいの。もし失敗したら私はあまりお役に立てないだろうけど、芳宏さんが後始末してくれます。」



真澄は茶目っ気たっぷりにパチンとウインクした。



その言葉は寿々の中にしばらく残った。

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