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いじめっ子 VS マヒロ

…マヒロだった。マヒロはアユミたちを掻き分け、栗木のもとに歩み寄る。



真尋「愛子!大丈夫!?(栗木を抱きかかえて)」

栗木「…マ…マヒロちゃん…どうして?」

真尋「陸上部の練習道具取りに来たら愛子の声がしたからさ(ニコ)」

栗木「…そ…そうだっ…うぅ…(再びお腹を押さえてうずくまる)」

真尋「もう喋らなくていいから。あとは私に任せて…」

亜弓「ぼっちのあんたがこんなヤツかばうなんてね…。なにか弱みでも握られてるの?(笑)」

真尋「最近、愛子の様子がおかしいと思ってたらこういうことだったのか…(カケルのヤロー、何も教えないでからに)」

亜弓「だからなに?先公にでもチクる?(笑)」

真尋「…チクる?そんなんじゃ私の怒りが収まらねーわ…(怒笑)」

亜弓「な、なによ…。この人数(4人)相手にやる気!?」

真尋「……(アユミをキッと睨む)」

亜弓「あ、あんたたち!こいつ(マヒロ)もやっちゃいな!口封じするんだよ!」

女子達「………」

亜弓「やるんだよ早く!バレたらあんたたちだってただじゃ済まないんだよ!?」

女子達「…う、うぁぁああ!!」



そういって2人の女子部員がマヒロに襲い掛かる。



真尋:「!(女子部員がモップを振りかざした手を両手で掴み、そのまま手を捻って四方投げを喰らわす)」

女子部員「ひでぶっ!!(思いっきり地面に叩きつけられる)」

女子部員「おぁあああ!(モップでマヒロに殴りかかる)」

真尋「!(今度は半身でかわし、相手の身体を前に流した状態からクルっと腕を回し小手返しを喰らわす)」

女子部員「はろはっ!!(思いっきり地面に叩きつけられる)」

亜弓「…あ…あわわ…!(ビビって後ろにたじろぐ)」

真尋「おあいにくさま♪わたし小6まで合気道やってたの(ニッコリ)」

栗木「…マ…マヒロちゃん…強いんだ…(ニコっと)」

真尋「まぁ、それほどでもあるかな(笑)…さて、アユミ?(ギロリと睨む)」

亜弓「…あ…あ…!(恐れ慄く)」

真尋「次はあんたにも同じ目に遭ってもらおうかしらねぇ?(怒笑)」



その時、トイレの入り口付近から慌ただしく誰かが駆け寄ってくる音が聞こえる。アユミが栗木と言い合いになっている最中、目でミエに指示をしたのは誰かを呼んでいたということだった。



ミエ「アユミ!連れてきたよ!」

亜弓「ミエ!遅かったじゃない!」

金田「…なんだよ、女子便なんかに連れ込んで。ハーレムでも楽しませてくれンのか?(笑)」



こいつの名前は、3年5組の金田珠生かねだしゅう



苗字(金)と名前(珠)を合わせ、付いたあだ名はあっさり「キンタマ」。小学生の頃はマジメで優等生だったが、4つ上の兄貴が高校デビューした影響を受け、中1からグレはじめる。


人を見下し、しつこく嫌味を言う冷めた性格だが、成績は優秀(偏差値70)で運動神経もそこそこ良い。また、生徒会の書記もしている。アユミとは幼なじみで仲が良いらしい。(たぶんアユミに惚れていると思われる)


中2の夏休みにイキがってリュウジにタイマンを挑むが、わずか3秒(左フック一発)で瞬殺されたという無様な過去を持つ。



真尋「…金田?女子トイレ入ってくンじゃねーよ…。大声で叫んでやろうか?」

金田「吉崎じゃねーか…(笑)なにしてンだお前?」

亜弓「こ、こいつがあたしらの邪魔するんだよ!ここに倒れてるのもこいつがやったんだよ!」

金田「…ほう」

亜弓「金田!こいつ(マヒロ)やっちゃって!」

金田「…褒美は?」

亜弓「やってくれたらデートしてあげるから!」

金田「マジだなそれ?」

亜弓「本当!だからやって!」

金田「吉崎ぃ…。俺は女だろーと容赦しねーぞ♪ヤメんなら今のうちだぜ?(笑)」

真尋「愛子やられて引き下がるわけないでしょ…。あんたこそ、私を甘くみないほうがいいと思うけど?」

栗木「……マ…マヒロちゃん…」

金田「…シュボッ!(無言で制服の内ポケットからタバコを取り出して吸い出す)フ~(煙を吐き出す)」

真尋「仮にも生徒会に入ってる人間がタバコ吸ってるとはね…」

金田「俺みてーに勉強も運動もできる優秀な人間はなぁ。多少のペナルティ(違法)も許されンだよ(笑)」

真尋「バカにつける薬はない、か…」

金田「言ってろアマ(笑)」



そう言うと同時に、火のついたタバコをマヒロの顔に向かって投げる金田!



真尋「なっ!?(慌てて避けようとする)」

金田「ニィッ!」



タバコを避けたマヒロの前に踏み込み、金田のボディブローが入る!



真尋「ドスンッ!!うはぁっ!!」

栗木「マ、マヒロちゃん!!」

金田「オラよっ!!」



間髪入れず、そのままマヒロの顔を殴る!



真尋「きゃあ!!(後ろに吹っ飛び倒れる)」

金田「…女だろーと容赦しねぇって言ったろ?(笑)」

栗木「マヒロちゃん!!(急いで持っていたハンカチでマヒロの顔を抑える)」

真尋「……クッ…!(キッという顔で金田を睨む)」

亜弓「ナイス金田ぁ!頼りになるぅ~!きゃははは!」

金田「ヘッ(ニヤリ)」

ミエ「アユミ…そろそろバックレたほうがいいかも…。いつ他のヤツくるかわかんないよ?」

亜弓「…そうね。じゃあ栗木連れて「青年の森」に行くよ」



俺たちが通う沼南中(しょうなんちゅう)には、体育館の裏に「青年の森」と呼ばれる森がある。アユミは、ここに栗木を連れて行こうとしていた。



ミエ「ま、まだやるの!?…今日はもういいんじゃない?」

亜弓「こんなもんじゃあたしの気が収まらないんだよ!いーから早く行くよ!栗木連れてきな!」

ミエ「………」

金田「アユミィ~」

亜弓「なに?」

金田「褒美忘れんなよ?」

亜弓「わかってる」

金田「じゃ、俺は用あっからフケっからよ」

亜弓「…栗木、来な(顎をしゃくって来るように指示する)」

栗木「…い…行かない…わたしはもう…あなたたちの指図は受けない…」

真尋「…ア…アユミ…!あんた…マジでいい加減にしろよ…!(怒)」

亜弓「はぁ?負け犬は負け犬らしく犬小屋でおとなしくして…な!!(モップの柄でマヒロのお腹を突く)」

真尋「ぐふっ!!(お腹を押さえうずくまる)」

栗木「マヒロちゃん!!」

亜弓「栗木ぃ…。あんたが意地張るとこいつ(マヒロ)がヒドイ目に遭うよ?オラァ!(再びモップの柄でマヒロのお腹を突く)」

真尋「ドスッ!ぐっ!」

亜弓「オラオラ!」

真尋「ドスッ!うぅっ!」

栗木「や…やめて!やめてください!(泣き叫びながら)………行く…行きます、だから……」

亜弓「カラン…(ニィと笑みを浮かべながらモップを投げる)最初から言うこと聞いとけブスが…」

真尋「……う…うぅう…(痛さに悶え苦しんでいる)」

栗木「マヒロちゃん…。わたしのせいで…ごめんなさい…ごめんなさい!(泣きじゃくりながら)」

真尋「…愛…子…!い…っちゃ……ダメ…!」

栗木「……(悲しい目でマヒロを見ながら微笑む)」

亜弓「ミエ、連れてきな」

ミエ「……(栗木を起こし連れて行く)」

真尋「あ…愛子……!…ク…クソッ……!」



アユミとミエは栗木を連れて青年の森へ向かう。少しの時間が経ち、女子トイレの異変に気付く男が。



孝雄「う~、ションベンションベンっと♪」

女子トイレ「う…うぅ…!」

孝雄「(な、なんだ?女子便所から呻き声のようなものが…?)」

女子トイレ「………」

孝雄「お、お~い…誰かいるのか?(女子トイレの入り口からそ~っと顔を覗かせる)」

真尋「……フッ。…じょ…女子トイレ覗くなよ…変態…(笑)」

孝雄「マ、マヒロ!?なんだその怪我!大丈夫か!?(口の端から血が出ているマヒロを見て)」

真尋「あ…あたしのことはいいから…。早くカケルに…「青年の森」に行くよう伝えて…」

孝雄「あぁ!?」

真尋「愛子が…愛子がヤバイ…!」

孝雄「栗木ちゃんが!?わわ、わかった!ここにはツトム呼んでくっから待ってろ!(急いでツトムのいる野球部の練習している校庭に向かって走る)」

真尋「…はは…た…頼むわ…」

孝雄「い、一体なにがどうなってやがる!?とにかくツトムにマヒロを介抱してもらうよう頼まなきゃ!(猛烈にダッシュしながら)」

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