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N-sider03:クーデター

【!注意!】








こちらはStory[N-Sider]という、

「西寺衛」という男の視点で描かれるお話です。

本編と少し時間がズレている点にご了承ください。


今回の話は22話の後の話となります。



 「ンつー厄日だぜ……ったくよ。」



 スミレの情報自体は取れたが、

 さァてどう報告したもんか……。

 

 馬鹿正直に言う訳にもいかねェし、

 実際の所居場所が分かったもんじゃねェ。

 話した内容的に言やァ二束三文なんだが……。


「だからと言って……、

 あっこで武力行使はねェわなァ……一番ねェ。」


 多対一、しかも向こうの頭取の茜(あかね)も居た。

 あんなの相手してたら命が何個あっても足んねェ。


「あァ……クソッ。」


 道端のペットボトルを蹴飛ばして、

 ゴミ箱へとシュートする。

 ストレス発散と同時にボランティアもできるってワケだ。


「……あァ?ありゃカイトじゃねェか。」


 駅へと歩いていくカイト、

 オレサマが見間違えるわけない。

 確か今日は非番だったはずだが……。


 (……あのアタッシュケース、

 武器入れてやがんなァ……。)


 普段の仕事で使っているアタッシュケース、

 それを持って何処に行くんだか。


 先ほど聞いた言葉が頭を巡る。

 

(そのままの意味だよ。

 VSCの計画を乗っ取ろうとしてる奴がいる。)


 クソ女(アマ)のセリフを思い出しちまった……な。

 


「……、少し追ってみるか。」

 

 


 ————————————————————




 好奇心で追ってみたはいいが……。




(オレサマァなんで新幹線に乗ってんだ……?)




 軽い気持ちで追ったはいいが、

 このまま九州なんかにまで行かれた日にぁ……。

 とんでもねェ大損だぜ。



(そろそろ戻……。)


 そう思った時、

 カイトが動いた。


 降りる駅は……、『新富士駅』。



「世界樹……だよなァ……ここで降りるってのはよ……。」



 ここいらが潮時だな、一旦引くとするか……。

 


 別の車両から降りたにも関わらず、

 カイトが一瞬こちらを見た気がしたが。

 


(流石に気のせいだ、結構距離もあったしなァ。)



 骨折り損のくたびれ儲けをして帰るとすッかな。


 

 ————————————————————



「さて、と。」



 んで今日の会議の時間。

 席には当然ながら一つだけ空きがある。

 カイトの席だ。


「会議をはじめようか。」


 陸澤(りくさわ)が椅子に深々と座りながら足を組む。


「おうボス、眼鏡バカ(カイト)がまだ来てねェぜ。」



 ちょっとカマをかけてみる。

 ……こういうのはガラじゃねェんだが……。



「彼は別命にて出張中だ、何か問題でも?」


(……ボスの指示なのか。)


「いや、最近はなかなか全員揃わねェと思っただけだ。

 止めて悪かった、続けてくれ。」


 色んな余計な考えが頭に浮かぶ。

 小南(こみなみ)と北欧(ほくおう)が静かだな。

 あークソクソ、思考が引っ張られちまう。

 

 疑い出したらキリがねェ。

 ……あんのクソ女余計な種を撒きやがって。



「――と言うわけだが、西寺(にしでら)君。

 スミレについての報告をもらえるかな?」



「え、あ、あぁ。そうだな。

 こっちで分かったことと言やァ……、

 民間人の一人がスミレに襲われたらしい。」


「ほう?それはただ事ではないね。」


 反応の割にボス(陸澤)は眉一つ動かさねぇ。

 ……知ってたのか?

 昔から腹の探り合いは苦手なンだよ……。


「民間人は薬草屋の店主で、スミレから、

『魔力を譲渡する薬草』を要求されそれを拒否。

 その後スミレに攻撃されたってのが事の顛末らしい。

 これ以上は何もわからなかった。」



 嘘は言ってねぇ……、が……どうだ?



「……ふむ。」

 

 ……。


「そうか、ご苦労様。

 まあゼロから探したにしてはいい調査報告だ。」

 

 はぁ……なんとか及第点だったらしい……。

 

 安堵のため息と共に椅子へと腰掛ける。


 それにしても不気味なのは小南と北欧だ。

 アイツらが今まで一言も話さなかったとこなんて……、

 オレサマが覚えている限り一度もなかったんだが。



「……せ……。」



 と思った矢先に……。

 


「おィ……北欧?」


 

 嫌な予感がする。



「……えせ。」


 まずい、この流れは絶対にマズイ。

 今動くのは……マズイッ!


「返せッ!」

 

 ガンッ!

 大きな衝突音が会議室に響く。

 

 オレサマの反応が後手だったこともあり、

 手を出せなかった事は不幸中の幸いだった。


 北欧の鎌は陸澤(ボス)の首……、

 じゃなくて小南の槍とかち合っていた。



「何のマネかな、北欧。」



 陸澤は瞬きすらしなかった。


「黙れ陸澤!……どういうつもりだ!

 コミー!なんでそいつを庇う!」


「クオー、そっちこそどういうつもり?

 陸澤様に刃を向けるなんて。」


「それは!コミーが!」


 陸澤がオレサマを見てる。

 

「西寺。」


 今は求められたことをしなきゃいけねェ。



「あァ……【箱庭(キューブ)】。」



 オレサマは、北欧を捕縛した。



 ――――――――――



 「マモル!どういうつもり!?」



 オレサマの眼の中で暴れる北欧。


「落ち着けや、

 お前に本気を出されたらオレサマが失明しちまう。」


 精神世界の中に分体を置いて北欧に話しかける。


「今しかなかった!今しか!」


 そうやって暴れようとする北欧。

 

「今しかなかったなんてこと無ェ。」

 なんとかたしなめようとするが……。


「マモルにはわからない!今が一番の……。」


 駄目だなこれは、完全に錯乱シちまってる。



「落ち着けって言ってんのが聞こえねぇのか!北欧鳴(ほくおうめい)!」


 

 胸ぐらを掴む。


 

 今の今までフルネームで呼んだことはなかった、

 それを覚えてたのか、それとも気迫に押されたのか。


「っ……!」


 北欧が黙った。


「てめェが言いたいことと、

 してェ事はなんとなく分かってる。」

 

 指を鳴らして外の映像を繋げる。


『北欧が大人しくなったら出しなさい、

 彼女にはまだ使い道がある。いいね、西寺。』


『あァ……。』


「オレサマだって何時迄も傀儡のつもりはねェが、

 この場だとお前は3:1の状況だ。まず勝ち目は無ェ。」


「でも……コミーが。」


「VSC内に裏切り者がいる。」


「……!」


 北欧は息を呑む。


「フロンテラの頭(かしら)からのお言葉でな。

 最初は半信半疑だった。」


「今は……?」


「今日だけの材料だからよ、

 今すぐ判断は厳しいが仮説は立った。」



 少し溜めてオレサマはソレを言葉にした。

 


「裏切り者は……恐らく……ボスだ。」



 

――――――――――――――――


『まだ北欧が暴れているとなると、

 今日の会議はお開きかな?』


『あァ、わりィな。』


 外のオレサマが生返事をする。


『構わないよ、彼女にも伝えておいてくれ。』


『次はお互い向かい合って話そう。』



「誰が!……いや、ごめん。」




「オレサマに謝られてもなァ……。」



 

 ここが、ターニングポイントって奴かなァ……。


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