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N-Sider02:クオー

【!注意!】




こちらはStory[N-Sider]という、


「西寺衛」という男の視点で描かれるお話です。


本編と少し時間がズレている点にご了承ください。



 

 珍しく一人で座り込んでいる北欧(ほくおう)が居た。

 明らかにテンションが低く、

 顔に影が差してるってのはまさにこの事だろォな。


 


 とはいえ……、

 なんでオレサマがメンケアなんてしねェといけねェんだ。


「……まァ、なんだ。

 とりあえず小南(こみなみ)は休みだ。諦めろ。」


「嫌だぁ~……コミー……。」


 皮肉の1つでも言ってやろうかと思ったが……、

 こうも落ち込まれると張り合いがねェ。


「解斗(カイト)も休みだかんな……、

 今日はテメーとペアなんだが……。」


「コミー……。」

 

 やりにくい。

 この一言に尽きる。


「オラ、現場まで行くぞ。

 ボスの命令を聞く位の元気だせや。」


 無理やり腕を掴んで立たせる。


「い~や~だ~、放せマモル!

 ボクは今日テコでも動かないぞ!」


 暴れる北欧だが、魔法を使わなきゃただの餓鬼だ。

 そのまま首根っこ掴んで引きずって行くことにした。



 ————————————————————


 北欧鳴(ほくおうめい)。


 見た目と言動は餓鬼だが、年齢は21。

 基本的にボスには従順で、性格は良くも悪くも純粋。


 小南に触れるヤツを極端に嫌い、

 氷の鎌で首をハネようとする。


 戦闘能力で言えば元素傾倒は氷、

 【固有魔法】は『スリュム』と言うらしい。


 通常の氷魔法と違って少し深い色……。

 藍色の氷が発動の現れとか言ってたっけなァ。


 目に付くヴィスターを、

 片っ端から藍色の氷でぶっ殺して回ってる訳か。


 この調子だと、

 手を出したらオレサマが殺されそうだな……。


「ねーえー、マモル。」


 北欧は腕を組んだままオレサマを見つめている。


「あァ?もう終わったのか?」


「終わったー。」


 気が付けば……、

 あちこち光の粒子と氷の魔力痕がキラキラと舞っている。

 仕事の早さは流石に認めざるを得ねェ。


「マモルは、陸澤(りくさわ)様のことどーうー思ってんのー。」


 陸澤様ってのはオレらのボス。陸澤黒松(りくさわくろまつ)。

 VSCの代表取締役で、闇魔法の使い手。

 オレ達をスカウトした本人で、相手の能力を見抜くのが得意。


「……ンだよ、藪から棒に。

 ボスには世話になってる、それだけだ。」

 

 なんか居心地の悪ィ質問……。


「あっそー、……マモルはそう答えるよねー。」


 どうも煮え切らねェ。

 欲しかった答えが貰えなかった餓鬼そのものじゃねェか。


「てめェが何を欲しがったか、

 そんなん知ったこっちゃねぇからなァ。」


 顔を背ける。

 どうもやり辛いことこの上ない。

 

「いーや……、んとさ。」


 だんだんとやり辛さがイライラになってきた。

 別に懐が狭いわけではない……と思いてェが、

 いつもの調子じゃないのが不快そのものだ。


「んだよ、ハッキリ言いやがれ。」


「……はー?まいいや。

 コミー、ボスに忠実すぎるーって最近思うんだよねー。」


 ……はァ?


「はァ?」


 思ってることが口をついて出ちまった。

 出ちまったもんは仕方ない。


「言ってもテメェも似たようなもんだろ。」


 そう言うと北欧はオレサマを覗き込んでくる。


「そー見えてるんだー、それならいーけど。」


 まるで最初から、

 陸澤(ボス)を信用して無いかのような物言い。

 前回の事を見るに陶酔しているモノかと思ったが。


「……カイトの能力に見られるとマズいから、

 あんま余計な口開くなよ。

 こっちは残念ながら相棒だから死活問題だ。」


「分かってるー。」


 小南はどうか知らんが、北欧は現状に何か思うところがあるらしい。

 これ以上掘るとオレサマまで思考がジャックされかねねェ。


「次の現場行くぞ、

 小南とカイトが居ない分今日は残業だ。」


「はーい。」


 その後の北欧は、最初の暴れっぷりは何処へ行ったのか。

 そう思うほど静かにヴィスターを討伐していた。


 考えんのはヤメだ……オレサマもやるか。



 ——————————————————————



 会社に帰る頃には22時を過ぎていた。

 良い子はとっくに眠る時間だろうが、

 オレサマの仕事は終わらない。

 北欧は借りてきた猫のようにおとなしいもンだ。


「今回の討伐したヴィスターの報告書、

 上げたから見てくれる~?」

 

 仕事だけはやたら早い北欧からの報告書、

 ボスへの提出をする前にオレサマの印鑑も必要になる。

 内容も問題なし、倒したヴィスターもカウントされてる。

 いわばダブルチェックだな。

 

「おう……問題ねェ。ハンコ押しといたぞ。」

「どーもー。」


 二人しかいない作業スペース。

 いつもならもう少し騒がしいんだが、

 いまだに少しペースが乱れる。

 

 そんな空気の中、電子音が響く。



 ピピッ。

 


「……デスター情報の再交付……?」


 なんだ、これ。

 いつもの時間じゃねェし、量も変だな。


「『スミレ』……、

 『スノードロップ』……、

 『マネーティア』、んだコレふざけてんのか?」

 

 ほぼ情報の無い名前とそれっぽい容姿だけの手配情報。

 しかし不気味なのはその数。

 こんな現代日本に増えるデスターなんてそうそういねェ。

 の……はずなんだが。


「北欧、いいか?ちょっと来て眼を通してくれ。」


 今回ばっかりはオレサマ一人で対応はできなさそうだ。


「……うーん、なるほどー?

 ちょっと本名不詳でこの数は異常だーねー。」

 

「時間も時間だから、明日から調査始めるとするか。

 オレサマは『スミレ』を追う、北欧てめェは……。」


「通常業務も蔑ろにできないからー会社に残るよー。

 明日ならコミーも居るかもしれないしねー。」


 先回りして言われた。

 

「……そうか、なら任せる。」

「なーんか、気持ち悪いね~、マモル。」

「てめェのせいだよ、ヘラ餓鬼が。」




 

 二人で顔を見合わせて文句を言い合う、

 だが今日は喧嘩にはならなかった。

 

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