第30話:Blossom
Chapter2から本当のフロンテラの戦いが始まります。
此処から物語が大きく進行しますので、ご注意を。
「時は来た。」
VSC本社、誰も居ない会議室。
暗い影から人が現れる。
陸澤黒松。
それが彼の名前だ。
「種は芽吹き、発芽する。」
コーヒーを片手に窓の外を眺める。
外は燃え上がっていた。
それは比喩では無く、
数多の【三の厄災】が暴れて街を焼き尽くしている。
「フロンテラは事実上の壊滅、これからは……。」
「Blossomの時代だ。」
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黒鉄林檎と一ノ瀬丞は一息ついていた。
「マジで……あんた……覚えてなさい丞……。」
呼吸と口調を荒げる黒鉄と、
反対にヘラヘラとしている一ノ瀬。
「良いじゃんべつに〜。
林檎が何とかするって信じた結果の行動だよ〜?」
後ろ手を組みながら、
さも当たり前の顔をした一ノ瀬。
「信頼してるんだか、
ふざけてるんだか分かんないわアンタマジで……。」
イライラしながらも、すべてを否定せず。
黒鉄はタバコに火をつける。
「林檎〜、僕の戦闘時間は〜?」
一ノ瀬はしまっていたタブレットを取り出し、
使用したガジェットのデータの記載を始めた。
黒鉄は時計も見ずにゆっくりと煙を吐いて呟く。
「……37分とちょっとくらいかしらね。」
その時、
一ノ瀬のタブレットを動かす手が止まった。
「待って待って。
それって僕が飛び出した時の時間?
それとも戦闘開始してから?」
「戦闘開始してからよ。それがどうかしたの?」
一ノ瀬は少し悩んだ顔をして、
そのままタブレットをいじり始める。
「いや、気付いてないならいいんだ。」
そう言うと一ノ瀬は、
ガジェットの戦闘データのまとめを再開する。
「……確かに、少し遅いわね。」
黒鉄は朧げに一ノ瀬の言いたい事を理解し、呟く。
「んー、大丈夫だと思うけど、様子見に行く?」
一ノ瀬はそういうと、
色々散らかしてた物を仕舞って立ち上がる。
「……そうね、そうしま……。」
地鳴りと轟音。
一瞬バランスを崩してしまうような。
「この揺れは……!?」
少し足を取られた黒鉄は状況把握に努める。
その時、少し遅れて無線が聞こえてくる。
『丸ノ内だよ。林檎、丞、聞こえる?』
コントロールルームの住人、
丸ノ内神楽の声が無線から響く。
すぐに反応する黒鉄。
一ノ瀬に視線を移すと頷いているのが確認出来た。
意識を無線に戻す。
「ええ、聞こえるわ。
今、状況説明ってどうなってるの?」
黒鉄がそう聞くと、
いつになく真面目なトーンで丸ノ内は話し始める。
『全国各所で【三の厄災】が出現、
立体記号型ヴィスターから未知のモンスターまで。』
黒鉄は口から煙草を落とし、血の気が引いていく。
一ノ瀬は話を聞いて、深く考え込む。
「これ……やられたかもね。」
研究バカな一ノ瀬は常識は無いが頭の回転は早い。
彼の事だ、2.3手先まで想像したのだろう。
「神楽ちゃん!雫ちゃん達には伝えた!?」
数秒の無音の後、
聞こえてきた無線に黒鉄は項垂れる事となる。
『……。空原操、冷泉雫、天国御来。
上記三名の生体反応は現在[消失]無線応答も無し。』
「っ……!」
『そして夕凪茜、夕凪達也、藤林幻。
上記三名は現在[行方不明]。スマホGPS反応無し。』
「これは……まずいかな。」
一ノ瀬の表情は強い影が差していた。
『フロンテラは現在を以て、
全ての現場指揮権を丸ノ内神楽が継承。』
『同時に、フロンテラ職員全員へ。
強制帰投を命令します。
ブリーフィングでの勝手な行動は許可しません。』
「神楽ちゃん!まだあの子達が!」
『黒鉄林檎!』
今まで一度も聞いたことのない丸ノ内神楽の大声。
そんな悲痛な声は黒鉄に取って冷水となった。
『ボクだって辛いけど、
残存メンバーをミイラ取りにはさせない。
情報共有が必要なの、戻ってきて。』
彼女の声は無線越しでも涙声なのが伝わる。
「丞、帰りましょう。」
「……そうだね。」
車へ向かって二人は走り出した。
『ありがとう、二人共。
……一手は指したから、少しだけ博打だけど。』
丸ノ内神楽は願った。




