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第25話:真実と修正


 空原操(くばらみさお)はフロンテラの自室で目を覚ました。


 先日、(あかね)が所長室で話した内容。

 それが繰り返し頭をよぎる。



 ――――――――――――――――――――



「何も急に【目覚めし者】(グロワー)になれとは言わないよ。

 でも君達にはこれからの事を考えて、

 もっとレベルアップしてもらわないと。」


 そう告げる茜の眼は何処か虚空を見つめ影が落ちている。

 

 視線は空原達を見つめているはずなのに、

 ()()()()()()()()を思って話している。

 そんな風に操は感じた。


「……事情も、

【目覚めし者】(グロワー)もなんもかんも分からねぇ。」

 達也(たつや)が呟く。


「姉貴。

 俺らが強くなれば姉貴は()()()をやめてくれんのか?」


 そう言った彼の眼は茜と対称的で、光に満ちていた。


「……さぁね。」

 茜は達也から視線を逸らす。


 光魔法での攻撃、話の内容。

 彼女なりの罪悪感があるのかもしれない。



「俺達は、世界樹を踏破する。

 その為の[フロンテラ]、だよな?」


 達也がそう言うと茜は背を向けながら頷く。


「そう。

 私たちの一番の目標は【三の災厄】(トリニスタ)狩りじゃない。」


「あくまで、世界樹を調べること。」

 傍に居た(しずく)も呟く。


「えっと、申し訳ないんですけど。

 世界樹を調べる事ってどうして必要なんですか?」

 操が申し訳なさそうに茜へと問い掛ける。


 二人より後にフロンテラに入社した操は、

 「世界樹を調べる事」の理由を知らなかった。


「そっか、言ってなかったっけ。」


 茜は操の方を向く。


「世界樹を踏破する理由、それはね。」




 ――――――――――――――――――――



()()()()()()()()()、……か。」

 

 フロンテラのリーダーの茜が言っていた事だ。


我妻(あがつま)と俺だけだろうな、知らなかったのは。」


 この魔力が発生した現代社会をあるべき姿に戻す。

 その為には世界樹の調査。

 そして破壊が必要になるであろうと予想されている。


 国が魔力を消したい理由は幾つかあるらしい。

 

1.【三の厄災】(トリニスタ)の存在。

 これは元々治安のよかった日本が、

 治安悪化の傾向にあることが理由付けられている。


 実際、地震や台風などの天災に晒されやすいこの国。

 その上、自然発生や魔力の悪用等で現れる、

 【三の災厄】(トリニスタ)まで居ると治安維持が難しいらしい。

 今、日本は何処でも安心という訳では無くなっている。


 元々存在していなかった「モンスター」。

 気性も荒く、生態系も不明。

 先天的か後天的かも分からない以上、

 対処するには人員が必要になる。

 

 さらに「ヴィスター」。

 こちらに関してはさらに厄介だ。

 突如として出現する上、発生する場所や時間も不明。

 比較的出現しやすい場所はあるようだが、

 法則性が完全に解明されたわけではない。


 そして、上記二種や魔力を使い犯罪を行う「デスター」。

 人間だから厄介な上「固有魔法」を所持していた場合。

 手に負えないケースも存在する。

 それは先日出会った『スミレ』が良い例だろう。


 

2.環境への影響。

 魔力が環境に多大な影響をもたらすことは、

 様々な方面での証明がされている。

 魔力の宿った植物や水。

 そして魔力の宿った生物、モンスター。

 

 これにより、生態系に大きな変化が発生した地域も多い。

 世界樹踏破は、絶滅危惧種や家畜が失わない為の措置。


3.世界樹の存在。

 これは、仮説とのことだが。

 国お抱えの魔力研究家が言うには……。


「世界樹は()()()()を吸って、

 魔力を供給している……ねぇ……。」

 

 頭の中の情報整理をしていた操も、

 突拍子もない話に思わず声を出してしまう。

 また、とんでもない話だ。

 

 一介の警備員(元……?現……?)としては、

 全く遠い話というか。


「わかんねぇことばっかで嫌になるね、まったく。」


 操は思考を放棄し、もう少し寝なおそうとする。

 身体をベッドへと預けたその時。


 コンコンコンッ。

 

 扉がノックされる。


「空原くん、いる?」

 この声は……雫さん。


「居ますよ、今行きます。」

 

 ベッドに預けた体重を跳ね返すように飛び起きる。


 扉を開けた時、彼女の顔が目の前に来る。


 

「ちょっと、お話しない?」



 雫は勇気を出して此処に来たようだ。

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