表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生子と間違えられ、捨てられた赤さん、知識スキル『ウィッキーペディア』で成り上がる  作者: アキライズン
第二章 ロンド遊撃隊『クーピーズ』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
76/80

七十六話 ガンス、支配する

 

 人は皆、静かにゆっくり壊れていく。

 どんな者も死の運命からは逃れられない。

 そう、この(わし)を除いては。


 その力は、まさに特異なものだった。

 幼い頃からどんな怪我をしても、一瞬で治すことができる。

 最初は誰もが、儂自身ですら、光魔法の回復に特化していると、思っていた。

 だが、それは違っていたのだ。

 儂の得意属性は確かに光だったが、回復魔法を使っているわけではなかった。


 時間の巻き戻し。


 あらゆるものをほんの少し巻き戻せる魔法を、儂は生まれつき持っていた。


 その力があれば、どんな致命傷を負うことになっても問題なかった。

 たとえ、首が切断されようが、頭を銃で撃たれようが、少し時間を巻き戻すだけで元通りになる。

 魔力の上限をあげれば、身体の細胞すべてを若返らすことも出来るようになるだろう。

 儂はすでに人の摂理から離れ、超越者となる道を進んでいた。

 時間は無限にある。

 やがては、この世界を支配し、生きながらにして神となることも不可能ではない。


 ただ一つ、気掛かりなのは転生子の存在だ。

 この世界に敵のいない儂を、超えることができるのは異世界からやってくる転生子だけだろう。

 たとえ、自分の子であったとしても、その芽は早くに潰さなければならない。


 屋敷の門をくぐり、真っ直ぐに彼女の元へ向かう。

 二人目の子供があと五ヶ月で誕生する。

 二回続けて転生子の可能性は、限りなく低い。

 だが、低いだけでゼロではない。

 予感はあったのだ。

 特異な力を持った者の子は、転生子になりやすい。

 才能がある器でないと、転生した魂は受け入れられないのかもしれない。


「一人目も二人目も、儂の子供じゃからな」


 息子のランスに子種はなかった。

 そのことを知らないランスは、まだどちらも自分の子供と思っておるだろう。

 だが、彼女はそうは思っていない。

 再び儂の子を身篭った時、彼女は半分壊れてしまった。


 転生子なら殺す。

 普通の子なら手駒にする。

 全ては、儂がこの世界に君臨するためだ。


 彼女の部屋を開け、その様子を確認する。

 三人の警備兵に囲まれる中、彼女はベッドの上で虚ろな瞳で座っていた。


「これは、ガンス総統閣下っ」


 話しかけてきた兵士の首をいきなり跳ねた。

 鮮血が飛び散り、彼女に降り注ぐ。


「なっ、閣下っ、いったい何ご……」


 次に話しかけた兵士の首も跳ねる。

 最後の一人は、自らの口を押さえて、首をふるふると横に振った。


「ふん、役立たずが。ここにいるのはシンシアではない。偽物だ」

「え?」


 思わず聞き返した兵士の首も即座に跳ねる。

 残ったのは、偽物の彼女一人となった。


「儂のシンシアはどこにいった?」

「さあ、わかりませんわ。私もシンシアですもの」


 首を飛ばそうとして、やめる。

 死の覚悟を持っているものは、殺しても面白くない。


「ギン、地下牢に閉じ込めておけ。何か知ってるかもしれん」


 気配を断ち、背後にいたギンが、静かに偽物を拘束し、地下へと連れて行く。


「どうやら完全に壊れたようだな、シンシア」


 恐らく、この街からはでていない。

 魔法で変装して、近くに潜んでいるのだろう。


 彼女の目的はなんだ?

 今度こそ赤ん坊を助けるつもりか?

 いや、壊れているなら、その逆もあるのかもしれん。


「どちらにせよ、好きにはさせん」


 部屋の時間を巻き戻し、儂は彼女の追跡を始めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ