プロローグ
書き直しました。
私の人生が狂い始めたのはいつからだろうか。
きっとずっと昔から狂っていたに違いない。
そうでなければこんな事にはなっていないはずだもの。
神様は本当に私のことがお嫌いみたい。
えぇ本当に、心の底から。
固く閉じていた目を開ければ輝かしいほどの光が目に飛び込んできた。
きらびやかな衣装に包まれた令嬢達が顔を歪めているのが目に入る。
何事かと私を取り囲んでひそひそと聞こえてくる嘲笑は、これからの事を知っていたかのよう。
私に蔑む視線をむけているのは、騙された人達。
そして、
目の前で私に冷めた目を向けているのは――――
「アイリス・リシア・ヴォルテール。お前との婚約を破棄する」
――――操り人形。
この国の第一王子。
ルクス・フォン・アルベルト・ガルシア―――私の元、婚約者だ。
過去の私に向けていた優しい笑みは消え失せ、あの日々が嘘ように優しさの欠片も感じられない態度が胸に突き刺さる。
でも、だけど――ルクス様と過ごした温かな日々は今でも覚えている。
湖に行ったり、お互いの誕生日になれない贈り物をして笑い合ったり―――。
その事を思い出すだけで頬が緩んでしまう。
私はいつの間にか、この状況には不気味なほどの満面の笑みを浮かべていた。
「この状況でよく笑えるわね……」
「……あいつ、何を笑っているんだ」
周りからは理解できないものを見るような目が向けられ、ひそひそと囁かれる。
だけど、私は決して怯まない。
「昔のことを思い出していただけです」
負けじと「可憐な花」と例えられている笑みを浮かべた。
「……何を考えているんだ」
周りからは当然のように非難の声が上がったが、気にしない。
気にしてしまったら私の一番の友達は私の所まで飛んでくるだろうから。
だから、ここまで着いてきてくれた親友を――リリスを巻き込むわけには行かない。
一人で辛くて寂しくて、涙が枯れるほど泣くかもしれない。
それでも良い。
―――――私は最後まで、悪役令嬢を演じてみせよう。




