第7話:神威発動と職務の現実
誰も彼の声に耳を傾けなかった。仮に聞こえていたとしても、特に気にも留めなかっただろう。
「俺には計画があったんだ! 良い計画だったんだぞ! いやまあ、ギリギリ許容範囲の計画だった! とにかく形にはなってたんだ!!」
タルゴムが叫ぶ。
ゼネクスが手を掲げた。
直後に巻き起こったのは、名目上は「神聖なる介入」であった。
だが現実には、雷雨のごとき不偏不全の精度で、ゼネクスが宇宙的制裁を下したに過ぎない。「今日は例外なし」と雷が意思を持ったかのようだった。
一筋目の雷が、神々が実在することすら理解する余裕のなかった兵士に落ちた。
二筋目は抗議していた民衆の一人に。
三筋目は抗議していなかったが、抗議していたやつの近くにいた者に落ちた。
帽子が燃えた。旗が燃えた。役所のカーテンが燃えた。
何の関係もないソーセージの屋台まで燃え落ちた。おそらく思想的に距離が近かったせいだろう。
そして、ついにボルヴィル三世の番がやってきた。
彼は自分のコレクションを神々に承認してもらえると信じて疑わない尊厳を保ちながら、王国のバルコニーへと姿を現していた。
「お望みとあらば、ここに設計図がございます! ベビーピンクと組み合わせることで——」
帽子を完璧な位置にセットし、ボルヴィル三世が荘厳な声で語りかける。
ゼネクスの雷は、彼が最後まで言い切るのを待たなかった。
「組み合わせる」という言葉が終わりきる前に、裁きは下された。
ボルヴィル三世は「組み合わ」と「せる」のちょうど中間で影も形もなく消滅した。
最後の瞬間まで、ピンクの帽子を完璧にかぶったままで。
ゼネクスが手を引くと、まるで引き出しを勢いよく閉めたかのように、空は急激に晴れ渡った。
広場に静寂が訪れる。
帽子:絶滅。
カーテン:絶滅。
ソーセージ屋台:思い出の彼方へ。
国王:幻影の帽子を残して不在。
崩れ落ちた瓦礫の陰から這い出してきた民衆は、「何が起きたかは分からないが、絶対誰かのせいに違いない」と言わんばかりの顔で見つめ合っていた。
アエディは何も言わずタルゴムの腕を掴み、彼とともに上空へと上昇した。
キキは口笛を吹きながら後に続く。
ゼネクスはすでに「一件落着」といった顔で別の地平線を見つめていた。
ドロマだけが、いつもの事務的な冷静さで地上へと舞い降りた。
「さて」
彼女は名簿と小さな朱肉を取り出した。
「回収すべき魂はいくつかしら」
彼女は一度手を止め、広場を見渡し、再び名簿に目を落とした。
「……ソーセージの屋台は、一カウント? それとも複数カウントすべきかしら?」
遥か上空から、タルゴムは凄まじく長い一日を終え、「これから毎日がこうなるんだ」と悟った人間の顔で彼女を見下ろしていた。
——そしてその時、胸元のメダルが再び脈動し始めた。
(……息子が死んだ)
(……国王はどこだ? 穀物税について正式に苦情を出したかったのに)
(……次の王様は誰になるんだ?)
(……雷で俺の店が吹き飛んだぞ)
(……なぁ、これって火曜日に帽子を被らなくてよくなったってことか?)
お読みいただきありがとうございます!
ゼネクスの容赦なさすぎる「神聖なる介入(物理)」によって、一瞬で平和(?)を取り戻した(??)ヴォルスラム王国。
そして息つく暇もなく、タルゴムのメダルには民衆からの新たな悲鳴とバカげた質問が届き始め……!?
【更新情報】
スタートダッシュとして【1日4〜5話ペースで爆速更新中】です!
「ソーセージ屋台の風評被害で草」「国王の消滅スピード早すぎる」「タルゴムの受難がここから始まると思うとワクワクする」と思ってくださった方は、ぜひ作品ページ下の【ブックマーク登録】や【ポイント評価(★★★★★)】で作品を応援していただけると嬉しいです!
第8話もすぐに更新されますので、どうぞお楽しみに!




